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4507号 2026年6月28日

今週の一冊『「趣味に生きる」の文化論 ―シリアスレジャーから考える』

(本日のお話 2311字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

土曜日は、台風が2つくるということで
少しドキドキしていましたが、大事がなかったようで何よりでした。

ということで軽く5kmほどのランニング。

その他、大学のリーダーシップの授業の課題、
そして、子どもとお出かけなど。

また、久しぶりに夜ゆっくり眠れたので、
ボディバッテリーなるものが回復してよかったです。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、最近読んだ本の中から一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナーです。今週はこちらです。

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『「趣味に生きる」の文化論―シリアスレジャーから考える』

宮入 恭平 (編集), 杉山 昂平 (編集)
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さて、皆さまは、趣味をお持ちでしょうか?

推し活に全力を注いでいる方、アマチュアながら相当なレベルに達している音楽家の方、
あるいは「仕事が趣味です」という人もいるかもしれません。

私自身も、ランニングを「趣味」と言いつつも、
結構ガチ目にやっていて、相当な時間を投資しています(笑)。

そんな中で、娯楽でも気晴らしの趣味でもなく
「真剣に打ち込む趣味(シリアスレジャー)」というものが、一体どういうものなのか。
そして、それが私たちに何をもたらしてくれるのか。

そうしたことを学術的に研究した本が、本日ご紹介する一冊です。
ということで、早速みてまいりましょう。

それでは、どうぞ!

■シリアスレジャーとは何か

「シリアスレジャー」という言葉、
日本ではあまり耳にする機会がないかもしれませんね。

まず、わかりやすい入り口として、
アマチュアとプロフェッショナルの違いを見てみます。

プロではない、だからアマチュアと言えるにしても、
それでは「粗すぎる」こともわかります。

プロではないが、単なる遊びでもない。

そのちょうど間にある領域で、
相当な時間と努力を注ぎ込んでいる人たち。
アマだけど、セミプロみたいな人です。

この人たちは、一体、何をしているのか…?

そこでは、カナダの余暇社会学者ロバート・ステビンスが、
1982年の論文の中で、「真剣に打ち込む趣味(シリアスレジャー)」を次のように表現しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆シリアスレジャーとは・・・

"アマチュア、趣味人、ボランティアによる活動で、
彼・彼女らにとって大変重要で面白く、充足をもたらすものであるために、
典型的な場合として専門的な知識やスキル、経験と表現を中心にした
レジャーキャリアを歩み始めるもの"
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

つまり、言うなればこういうことです。

「カジュアルレジャー」が、
「専門性なし、場当たり、気楽/リラックス」であるのに対して、

「シリアスレジャー」は
「専門的な知識・スキル、継続性、本気・真剣・真面目・ひたむき」である。

本書の中で挙げられている例としては、
ボランティア活動、ランニング、夢追いバンドマン、アイドル活動などがあります。

(私自身のランニングも、そしてピアノの発表会に向けて練習を重ねるときのあの感覚も、
まさにこれに近しいな、と読みながら感じました)

■シリアスレジャーの6つの特徴

本書では、シリアスレジャーの特徴として以下の六つが指摘されています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<シリアスレジャーの特徴>
1.時に「忍耐」を必要とする
2.その道のキャリアが形成される
3.専門的な知識や技術に基づいて個人的に努力する
4.自己実現・自己開発などの永続的なメリットがある
5.独特のエートス(価値観)や社会が形成される
6.アイデンティティが構築される
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この6つを眺めてみると、単なる「気晴らし」とは全く異なることがわかります。

シリアスレジャーは、
その人の生き方や人格そのものにまで深く関わっていくものと示されます。

特に「アイデンティティが構築される」という点は、
腑に落ちるものがありました。

私がランニングを続けているのも、タイムや距離のためだけではなく、
「走り続ける自分」という感覚が、自分自身のあり方と結びついているからなのかのかもしれない、
と改めて気づかされました。

■「たしなみ」と趣味

本書の中で、もう一つ印象的だったのが、
「たしなみ」という日本語との関係について触れている箇所です。

「たしなみ」という言葉の語源をたどると、もともとは
「苦しみ」「困窮で苦しめる」「咎める」といった意味から
スタートしているそうです。

そこから「苦しみに耐える」「苦しみを引き受ける」へと変わり、

やがて「苦しみを避けるための心がけ・用意」となり、

最終的に「好き・好み・芸事に関する心得」という意味に落ち着いていった、

という歴史があるというのです。

ちなみに「たしなみ」は「道楽」とは違います。

「道楽(娯楽)」は受動的で、快楽的な傾向がありますが、
「たしなみ」は能動的に、個性と結びつきながら、
苦しさを超えていくなかで育まれていくもの。

そこにはなんだか深みがあるようにも思えます。

そして、「大人のたしなみ」と言われるように、
こうした「苦しみの先の芸事」のようなものは、
年を経ても、奥行きがあるその人の味のようにもなるのかもしれませんね。

■まとめと感想

本書を読み終えて、改めて感じたこと。

それは「シリアスレジャー」とは、
労働でも純粋な娯楽でもない、その中間にある領域である、

ということです。

最初は仕事という現実から離れるために、
気楽なレジャーとして始まったものが、少しずつ没頭・没入していくことで、
シリアスレジャーへと昇華していく。

そしてそれが、今度は仕事や日常の活力にもつながっていく。

こういうサイクルが生まれるのだということを、
本書は学術的な視点や具体的な事例を交えて教えてくれます。

ここでは紹介できませんでしたが、

「バンドマンの活動」「ランニングにハマる人の活動」など個別のインタビューから、
それらのシリアスレジャーがどういう意味を持っているのかを、丁寧に読み解いています。

そして、そこには大変共感するものがありました。

趣味とはいうものの、それによって自分のアイデンティティが作られていくという感覚、
没入していくなかで新しいコミュニティが生まれ、仲間ができていくという体験。

これはまさに、私自身がランニングやピアノを通じて感じてきたことそのものです。

自分も「たしなみ」を育てていきたい。改めてそんなことを思った一冊でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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