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831号 2016年5月24日

屋久島の縄文杉が教えてくれた、「存在し続ける」という価値

(今日のお話 2134字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。

昨日はお休みを頂き、
屋久島にて、樹齢3000年を超えるといわれる、
「縄文杉」を目指して山道を20キロ、
ひたすら歩いた1日でした。

ガイドさんからのお話、
屋久島の歴史、そして壮大な大自然から、
色々と気付かされることがありました。

今日は、屋久島にて思った、

「存在し続ける価値」

について、思うところをお伝えしたいと思います。

それでは、どうぞ。

■屋久島といえば、
ジブリの映画の「もののけ姫」のモデルにもなったと言われる、
深い森が有名です。

特に、世界自然遺産にもなっている
高度1300メートル地点からのエリアは、
植林など、人工的に作られたものとは違う、
自然そのものの世界。

苔むす木々に、切り株から当たらしい木が生え、
樹齢1000年を越す木々が立ち並び、
本当に美しく、幻想的な光景でした。

そんな道中、ガイドさんが
こんな話を教えてくれました。

「屋久島で有名な、壮大な”屋久杉”は、
 昔はもっとたくさんあったんです。

 しかし、江戸から昭和にかけて、
 そのほとんどが切り倒されてしまいました。

 それは、屋久島は漁業と林業の町で、
 立派な屋久杉はお金になったからです。」

「ほら、だから色々なところに、
 大きな切り株があるでしょう。

 これは、過去切り倒された木の名残なのです。」

実際に見てみると、
そびえる荘厳な”屋久杉”自体の数以上に、
切り倒された切り株の数が圧倒的に目立つのです。


■(もったいないことをしたものだな・・・)

と思いながら、ふと一つの疑問がわきました。

そして、ガイドさんに聞いてみます。

私「大きな木はお金になったんですよね?
  では、今現存する樹齢3000年以上の、
  『大王杉』とか『仁王杉』、『縄文杉』のような、
  今観光スポットになっている木々は、
  どうして当時、切り倒されなかったんですか?」
と。

ガイドさんは、こう答えます。

 「いい質問ですね。
  実は、昨今注目されている現存の
  仁王杉、大王杉、縄文杉は、特徴があったのです。
  それは、

  ”まっすぐではなく形が悪い木”

  であったということ。
  当時はそう見なされ、売れなかった。
  だから切られずにすんだのです。」
と。


■当時はまっすぐでスラリと高く、
太い屋久杉が価値を持っていた。

だから、ゴツゴツとした、
いくつもの木々が重なり合ったような、
大王杉、仁王杉、縄文杉は、
当時、価値を持たなかった。

しかし、時を経た今、どうなったか。

それは世界遺産に
登録され、1日300人以上の人が訪れ、
その姿を見て、

「なんて荘厳な姿なのだろう」
「自然の力強さを感じる」
「世界、どこを探しても、めったに見ることができない」

と感嘆の声を挙げるようになった。


■そして、この事実を見て、思ったのです。

当たり前のことかもしれませんが、

「何が価値なのかは、時代によって変わる」

ということ。

当時はお金にならない木々が、
今では屋久島の顔になっている。

だから、価値というものは、
時代によって変わるのだ、

そのことを改めて思いました。

と同時に、です。

やはり原則として、
「いつの時代も変わらぬ価値」
があるとも感じたのです。

それは、


『存在し続けた時間』


というものは、
それだけで素晴らしい価値を生むのではないか、

ということ。


■形が良かろうが悪かろうが、
樹齢を経た屋久杉は、それだけで
やはり神々しいものを感じます。

当時の人がどう感じていたかはわかりませんが、
やはり高値で売れた、ということからも、
「存在し続けた価値」というものは、
今も昔も変わらなかったのではないか、

そのように思います。

そして当時は「売れ残り」だった屋久杉が、
また更なる時を経て、今そこにあること。

ただ長くそこにいたという

『存在し続けた時間』

そのものだけで、
歴史を感じさせ、
人の心を打ち、大きな価値を生むのではないか、

そのように感じたのです。

それが、たとえ
まっすぐでなくとも、形が悪くとも、
ただ”そこにいた”というだけでも。

それを素晴らしいと思うのです。


■そして、思うのです。

これは私たちにも
同じことが言えるのではないか。

どんなに小さなことでも、
ただただ、それを続けていくこと。

そして生き残り続けること。

それは、それだけで、
価値を持つものではないか、

そう思うのです。



見渡してみると、
そんな人、いるものです。

例えば、

・町で100年の小料理屋。
・その道50年の生保レディ。
・「人の幸せ」について研究を続けて、
 75年のハーバード大研究室。
・伝統工芸を80年守り抜いてきたおじいちゃん。


新聞に取り上げられるような、
華々しい活躍をしたわけでもない。

ただ着々と、地道に、淡々と歩み続け、
そこに生き残り続けてきた。

それはまるで「縄文杉」のように、
形は綺麗でなくとも、
3000年にわたり根を伸ばし続け、
生き続けてきた姿そのもののようです。

そしてそれは、
”存在し続けた価値”として、
人の心を打ちます。


■素晴らしい才能がなくとも、
また、華々しいスキルがなくとも。

【ただただ、存在し続ける】

こと。

このことは、
それ自体で価値を生む、
そのように思います。

単純だけど、
「生き残ることこそ難しい」、
そう誰もが知っているからこそ、
価値を生み出すのではないか、

そのように思う次第です。

続けること。

存在し続け、愚直に歩み続けること。


私自身も、改めて沿う決意した次第です。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本日も皆様にとって素晴らしい一日になりますように。

【本日の名言】 自分が立っている所を深く掘れ。
そこからきっと、泉が湧き出る。

フリードリヒ・ニーチェ

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