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今週の一冊『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』

今週の一冊『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』

3223号 2022年12月18日

(本日のお話 3133字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、
大学院の論文フィードバック会でした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は

========================

『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』

後藤 宗明 (著)/日本能率協会マネジメントセンター


========================

です。



■2022年5月、

岸田文雄首相がロンドンでの基調講演において、
以下の項目について、発言をされています。

**

「新しい資本主義のビジョンと実行計画について」

 ・人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、
  スタートアップへの投資など、これまで申し上げてきたことに加え、
 
 ・副業・兼業、”リスキリング”を含む、教育訓練投資の強化による
  労働移動の積極的投資、
 
 ・NISAの抜本的拡充等による『資産所得倍増プラン』、
 
 ・10年で150兆円のグリーントランスフォーメーション関連の
  官民投資を引き出すための制作イニシアティブ

**



■NISAについては
先日、恒久化や年間投資枠、
生涯投資枠などが大幅にアップデートされました。

上記の内容については、
実現に向けて踏み出していますが、

同じ時に語られたのキーワードが
本日ご紹介する本のタイトルにもある


”『リスキリング』”


です。



■さて、このリスキリングですが、
一体どのような意味なのでしょうか?

以下、著書より引用します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・『リスキリング』とは

= 新しいことを学び、
  新しいスキルを身につけ実践し、
  そして新しい業務や職業につくこと
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

とのこと。

日本では、

リスキリングを”学び直し”と訳すことが
多いそうですが、それは不正確な表現といいます。

その理由は、

・学びだけにフォーカスするのではなく
 「学んだ後に新しい仕事に就く」というのが
 セットになっている意味を持つ”
 
からだそうです。

ゆえに、

生涯学習の手法と考えられている
「リカレント教育」と混同するのは違う、

とのこと。



■「リカレント教育」は、

”リカレント=反復”

を意味します。ゆえに、

”教育と就労のサイクルを繰り返す
 生涯教育手法の一つ”

であるわけです。

新しいことを学ぶために、
職を離れ、そして学び、また働く。

そんな

”働く→学ぶ→働く→学ぶ のサイクル”

を繰り返すことがリカレント教育の概念となるため、
リスキリングの「新しい仕事に就く」を包含する意味とは、
変わってくるわけです。



■ちなみに、

その他の混同しがちな言葉として

・アップスキリング
・アウトスキリング

などもあるそうで、
こんな意味の違いだそうです。


・「アップスキリング」
 =現在の職務の専門性を更に向上させるために、
  新しいスキルを獲得すること
  
・「アウトスキリング」
 =会社が、人員整理の対象となった従業員に対して、
  退職前にリスキリングの機会を用意する支援策のこと


とのこと。

混同しがちですが、
このように定義すると、

リスキリングの持つ、


”新しいことを学び、
 新しいスキルを身につけ実践し、
 そして新しい業務や職業につくこと”
 
 
という意味を、よりはっきり
理解することができます。



■そして、

『リスキリング』というと
”DX戦略”とセットになって
語られるイメージもあります。


それもそのはず、

「学ぶ+新しい仕事に就く」
という文脈で考えると、

デジタル化により、
テクノロジー代替される職業が増える中で、

・”技術的失業”が増えるから

そして、

・”デジタル領域の仕事のニーズが
 今後高まっていく”
 
からです。


ゆえに、

既存領域でのDX領域
新規事業でのDX領域

の方向性において

リスキリングが進められていくことは
必然といえば必然のようです。



■この著書では、


・リスキリングの定義

・リスキリングが求められる市場環境

・リスキリングを進めるシナリオ


について、
豊富なデータと共に、
紹介をしています。


リスキリングは

”仕事の一環”として進めるものであり、
組織戦略に組み込まれる活動ですが、

一方、

今後、代替されそうな既存領域に関わっている
”働く個人”も意識して行う必要がある
キャリア戦略に紐づく活動でもあります。



■じゃあ、組織として
リスキリングをどう進めるのか?

・既存領域の社員を、
 どのようなシナリオで
 リスキリングしていけばいいのか

あるいは

・働く個人が自分自身をリスキリングして
”新しい仕事に就く”ためにどのような考えを持ち、
 どのように計画し、行動するのか

についても、
具体的な例を出しながら伝えています。



■例えば、

・自分の保有スキルをAIが分析し、
 スキルの類似性がある領域から、
 どんな能力を拡張すれば新しい仕事を獲得できるのかを示すプログラム
 (=The Future Skill Pilot)

のお話での事例を紹介されていたり、
あるいは

・スキル類似性を元に、
 拡張させていくキャリア開発の例
 
 1)ヘルプデスク(3万7611米ドル)
  ↓
 2)インサイドセールス(3万7780米ドル)
  ↓
 3)営業教育担当者(5万5739米ドル)
  ↓
 4)カスタマーサクセスマネジャー(8万2874米ドル)
 

などを紹介し、

リスキリングを個人がどのように計画し、
進めていくのかというシナリオを
イメージさせてくれる情報を紹介しています。



■今後どうなるかわからない、
未来がどうなるか見えない、

確かにそれはそうであるものの、

「すでに起こっている未来」

というのもあるわけです。

それがいわゆる
技術化の波であり、
そこに影響される労働市場です。


その中で私達が
長く活躍し続けるために

「スキル類似性」

という概念からいかに
キャリア開発を拡張させていくのかを
わからないなりにイメージさせてくれるのは
本書の価値であると私は感じました。



■以下、本書のご紹介を
引用させていただきます。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【内容紹介】
リスキリングとは、
「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」で、
主に企業の人材戦略の一環として言われる。

今まではこうしたことは新規社員の採用で行ってきたが、
近年日本でもリスキリングの重要性が叫ばれ、
国や企業でもリスキリングの流れや取り組みが始まっている。

こうした背景のなかで注目されているのが「個人のリスキリング」だ。
とくに近年はDXに関するリスキリングの重要性が注目されている。

本書は、現在注目されている「リスキリング」がわかる&実践できる本。

これからリスキリングを実践しようとしている人だけでなく、
リスキリングという言葉の意味やこれからのビジネストレンドを知りたい人、
ならびにリスキリングを自社に導入したいと考えている企業担当者にも役立つ一冊です。


【目次】
第1章 リスキリングの必要性と外部環境の変化
・リスキリングとは?
・世界におけるリスキリング
・日本におけるリスキリングの課題 など

第2章 リスキリングする方法
・「リスキリング」というスキル
・会社員(大企業)編
・会社員(中小企業)編 など

第3章 リスキリングを実践する10のプロセス
・現状評価
・マインドセットづくり
・新しいキャリア、仕事の選択 など

第4章 リスキリングと「スキルベース採用」の時代の到来
・海外企業が導入し始めている「スキルベース採用」への注目
・スキルに関する最新トレンド
・リスキリングに必須「類似スキル」「隣接スキル」 など

第5章 リスキリングによるキャリアアップと人材の流動化
・リスキリングとキャリアアップの関係
・リスキリング経験が自分の人材としての市場価値を高める
・リスキリングは昇給、昇格をもたらす

第6章 AIやロボットが同僚になる新たな時代に向けて
・日本におけるリスキリング浸透
・AI、ロボットと人間の協働する時代
・すべての人に必要なグリーン・リスキリング など

※Amazon本の紹介より引用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。



■また個人的に、著者の方が

ご自身のキャリアを歩む中で

壁にぶつかりながら、時に傷つきながら、
自らをリスキリングさせて続けてきた物語が
著書の中から垣間見えてきました。

理屈だけを語るのではなく
泥臭くリスキリングを続けてきた実践者としての姿が
私はとても好感を覚えた次第です。


私も、プログラミングなど、
そうしたベースを学んでみようかな
(苦手ですけど)

そんなことも感じた一冊でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』

後藤 宗明 (著)/日本能率協会マネジメントセンター

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