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24号 2013年4月4日

パラダイムを理解しないと、こうなる。

■おはようございます。紀藤です。

4月と言えば、新しい門出の季節ですね。
新入社員が入られている企業様も多いのではないでしょうか。

私は昨日、とあるお客様の新入社員研修に立ち会わせて頂きました。
研修のテーマの一つが「パラダイムシフト」について。

「パラダイム」とは物の見方のことで、
今までの自分の経験や価値観だけに固執せず、
必要に応じて自らパラダイムを転換していきましょう、
というお話を新入社員の皆様にお伝えし、
色々と気づきを得て頂けたようでした。


■そんなフレッシュな方々に触れて、
「パラダイム」に関する私の印象的なエピソードを思い出しましたので、
個人的な内容ですが、本日はそのお話をしたいと思います。(少し長くなります)

私は、新卒で某有名大手居酒屋チェーンに
店長候補として入社しました。

1年目はキッチンの管理を任せられますが、
新入社員は何もしらない素人同然。

そしてお店には、店のことは何でも知っている
影のボス的な年長のアルバイトリーダーがおり、
強い影響力も持っていました。

とはいえ、夢が溢れるピカピカの新入社員。
素人目で見てもモラルが崩れているお店を、
良くしたいという思いだけはありました。


■とある金曜日、猛烈な忙しさに見舞われました。

キッチンはオーダーの嵐。
人数も足りず、料理は遅延が出始めていました。

アルバイトリーダーは言いました。

「ゴイクン(生春巻き)を品切れにしましょう。もう回りません。」

しかし、当時ゴイクンは最も人気な商品の一つ。
材料はある。
だからお客様のためにも
エビのゴイクン、ツナのゴイクン、アボガドのゴイクン、
3種類のうち、どれか一つだけでも残しておきたい。

結果、私の個人の判断で2種類を「ヤマ(品切れ)」にし、
エビのゴイクンだけを残しました。

まだオーダーは止まりません。

そしてエビのゴイクンが入ってきたのを見て、
アルバイトリーダーは激昂し、

「ヤマにしろって言っただろ!
 じゃなきゃ、ゴイクンは全部お前でやれよ!」
と怒りに満ちた声で叫びました。


■後々に聞いてみると、アルバイトリーダーは、

「回らないと結果的にお客さんに迷惑をかける。
 かつスタッフにも負担が掛かりすぎてモチベーションが下がる。
 だから皆のことを考えて、品切れにすべき」
と思っており、私は、

「回らないのはわかるが、まだ遅延は何とかできるレベル。
 お客さんは食べたがっているから一つでも残すべき」
という視点(パラダイム)で見ていました。

経験が浅いということを除いて考えれば
双方正しいところもあり、
目的とするところは同じだったようにも思います。

しかし、自分のパラダイム(見方)に固執するあまり、
結果的にキッチン内の雰囲気を最悪な状態にしてしまい、
その後の営業も散々な結果に終わってしまいました。


■この出来事の教訓は多々ありますが、
「ピーク時を何とかしたい」と思う気持ちは同じでも、
考える解決方法(見方)が違っていた、ということです。

この時に、
アルバイトリーダーが何を大切にしていて、
どんな気持ちで「ゴイクンをヤマに」といったのかを
こちらから察しようとすれば結果は変わっていたかもしれません。

新入社員だった頃は昔の話になりましたが、
今でもこういったことは頻繁に起るように思います。

組織においてゴールを目指す上で、
「第五の習慣 理解してから理解される」ことは大切です。

そしてそのための準備として、
相手がどんなパラダイムで見ているのかを考え、
理解することが、とても重要なことではないかと感じています。

「相手を知った気にならないこと」
心に戒めたいと思った私の経験でした。

だいぶ長くなってしまいましたが、
何か感じて頂けることがあれば幸いでございます。


今日も皆さまにとって良い一日になりますように。

【本日の名言】 物事について
自分の側しか知らない人は、
そのことについて 
ほとんど知らない。
                           ジョン・スチュアート・ミル 

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