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1985号 2019年7月28日

今週の一冊『実験思考 世の中、すべては実験』

(本日のお話 2478字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、朝から『7つの習慣』研修の実施立ち会い。
その後、コーチング研修(受ける方)でした。

最近、研修を実施する&受講するのオンパレード。
ちょっとリミットいっぱいになって来つつありますが、
お盆までは駆け抜けたいと思います。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する、
今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

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『実験思考 世の中、すべては実験』
(著:光本勇介)



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です。


■『実験思考』。

この本の出版自体が、
「実験である」一冊であり、
ゆえに、非常に説得力に満ちた一冊です。

通常のビジネス書であれば、
1500円程度するものを、
この本は、「390円」で販売しています。

これは「本の印刷代の原価」そのままの金額であり、
そして、印刷が必要ない電子書籍Kindleに関しては
なんと「0円で買える(もらえる)」という本。

内容は通常のビジネス書通り、
(否、著者の体験や先見性から考えるとそれ以上の)
非常に有益な内容です。


■ちなみに、
この本の出版がどのような「実験」かというと、

「”価格を読者に委ねる”ことをしたら、
 果たしていくら支払ってもらえるのか?」

「定価で書籍を売るよりも、儲かるのだろうか?」

という、
(自分が出版の約2000万円のリスクをとって行った)
一種の社会実験なのです。


、、、そして、その実験の結果。

・支払総額: 1億24万円
・支払い人数: 2259人
・1人あたりの支払い額: 44,374円
(なんと一人で1000万円支払われた方も、、、)

という結果になり、1.5ヶ月で1億達成、
原価としてのリスク約2000万円は1日で回収できた、

となったのでした。


■もう、この設定の時点で、
そして実行に移すだけでかなりクレイジー。

そして、この著者の光本氏は、
このことだけでなく、学生時代からその先見性で、
あらゆる「クレイジー」と言われる活動をします。

まだシェアカーのサービスが始まる前から、
カーシェアのビジネスを立ち上げる。
(しかし、先を行き過ぎていて流行らなかった)

インターネット黎明期の頃から、
今のクラウドワークスのようなサービスを作る。
多数の翻訳者に仕事を割り振って、「翻訳サービス」を展開する。

いわば、

「時代の流れを読み、アイデアをビジネスにする天才」

といって過言ではない方なのだろうな、
そう思わされる人物だな、と思ったのでした。


■この本を読んで面白いのは、

「では、そのようなアイデアを次々に生み出す人は、
 普段どんな生活をして、何に意識を向けているのか?」

ということが、具体的に覗き見できるところ。

かつ、それらの人が、

「これからの先の時代は、どうなると予測しているのか?」

についても、わかりやすく平易な表現で、
語りかけるように書かれているところが魅力です。


これからの時代を創る人物、というのは、
その頭の中身を覗き見る機会もないもの。

しかし、この本では、その頭の中身を、
余すところなく私のような一般人にも伝えてくれています。


■詳細は是非本書を読んでいただければと思いますが、
光本氏いわく、アイデアの源とは、

「これ不便だなあ…」

という、日常生活に潜む出来事をを、
ひたすらアンテナ高く探していくことである、

といいます。



例えば、医療の現場。

・病院はなんであんなに混んでいるの?
・休日の緊急外来は、なぜあんなにまたないといけないの?
・なぜ(月)~(金)営業の病院ばかりなの?

だったら、「(日)~(木)営業の病院」があったら、
流行るのではなかろうか?

という「不便なこと」への疑問がわく。
そしてそこには同時に「ビジネスチャンス」がある。



あるいはAIでの病気治療が流行っているという現状。
とはいっても、「人の目での診療」がいい、という需要があるはず。

かつ、医療の現場では、
若手の医者は給与が低いと聞く。
アルバイトをする医師もいるらしい。

ではでは、若手の医師が、
希望者のレントゲン画像をアプリでチェック、
「健全」or「注意が必要」を答えて、500円支払われるアプリを作ったらどうか。

患者は1万円の予算で20人の医師からの、
健康診断のチェックが行ってもらえる。

これはきっと、需要があるだろう。

、、、そしてそれは、
「日常の観察」から生まれるのです。


■つまり、

『日常に潜む「なぜ?」を追求すること』

そのために、できるだけ忙しくせず、
運動して、考えて、メモをとって、ウロウロする時間をつくること。

そういった「何もしていないけど何かを見つける時間」、
もしかすると、それこそが、無から有を生み出す、

「未来の知的な仕事」

ではなかろうか、そんなことを思ったのでした。


■よく企業の現場で、
やれイノベーションだ、やれ新規事業の立ち上げだ、
と言われていると感じます。

しかし同時に、そういった部署や立場にいる人が、
意外と外に出ずに、いつも社内にいる、という場合も、
往々にしてあるように感じます。

でも、この本で語られるように、

”「新しいアイデア」などというものは、
 職場と家の往復をしている頭で生まれるものではない”

のだと思います。

日常の観察、知らないことへの好奇心、
人間心理への飽くなき探究心…

そのような土台となる思考と行動があり、
それらを常に365日動かしているからこそ、
見えてくるものが「新しいアイデア」なのだろう、、、

私自身、自戒を込めてですが、そう思うのです。


■光本氏いわく、

「人間はめんどくさがりだから、
 ほとんどの人は”思考停止”になっていく」

といいます。

便利なアプリに身を委ね、
ランチ先も提案してくれて、
今日食べる食事も提案してくれる、

そんな究極に便利な世界に身を委ねる人が、
過半数になる世界がやってくるだろう。

そしてそんな中では「エンタメ」が力を持ち、
かつ、所有する側と、所有しない側が
より明確にわかれていくだろう…

、、、そんな未来予測もしています。

そんな中、自分はどうしていきたいのか?

正解はありませんが、これからの先の未来を考える上で、
少し先のリアルな状態を見ているような、
そんなイメージを持つことができる一冊。

これからの世の中を想像する上でも、
非常によい刺激になる一冊かと思います。

書籍は安いですし、電子版はタダですし
値段以上の実りを、間違いなく得られるはずです。

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<今週の一冊>

『実験思考 世の中、すべては実験』(著:光本勇介)



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