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2115号 2019年12月5日

「給与計算の女性」から、”プロフェッショナルのあり方”を学んだ話

(本日のお話 3072字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は、2件のアポイント。
並びに、2020年のビジョンを作成。

不思議なもので「ビジョン」(=こうなりたい)と言うものを、
精緻に書けば書くほど、1年経って振り返ってみると、
結構なものが実現していることに驚きます。

また夜は、システムコーチングの仲間と共に、
師匠の働くシェアオフィスweworkにて、
ビール(無料)を飲みつつ情報交換。

その後、別のコーチング仲間と、
コーチングのオンライン練習会でした。



さて、本日のお話です。

昨日のシステムコーチングの仲間と、
「自分の仕事」について話をしていたのですが、
その時聞いたお話が大変印象に残るものでした。

本日は、その方の話から
学びと気づきを皆さまにご共有させていただきたいと思います。

タイトルは、


【「給与計算の女性」から、”プロフェッショナルのあり方”を学んだ話】


それでは、どうぞ。



■現在システムコーチングを学んでいるのですが、
その中の1人で、今まで何度かご一緒にしているものの、
なかなか話す機会がない方がいました。

偶然、昨日は小規模の飲み会で集まり、

その方がどういったお仕事をされているのか、
何がきっかけでコーチングや、システムコーチングを学び始めたのか、

そんな話を、ビールを片手に聞かせてもらいました。

そしてその話が、

「プロフェッショナルとはとはこういうことを言うのだな」

と、至極感動したのでした。


■ちなみにその方のお仕事は、

「給与計算」

です。

某有名企業で、数万人規模の社員を抱え、
そんな組織で、最終的な給与計算のまとめをする係にいた、

とのこと。


ちなみに「給与計算」という仕事は、
想像に難くありませんが、

”きちんとできて普通。ミスしたらダメ”

という類の仕事のため、
きちんとやったからといって誰かに褒められる、
という仕事ではありません。


しかしながら、彼女はそのキャリアの中で、自ら

「自分は給与計算の総まとめをする部署に行きたい」

と手を挙げてそのポジションについた、
と言っていました。


■彼女が「給与計算の仕事」について語る中で
印象的だったものが、


『給与計算には、あらゆる仕事の要素が詰まっている』


という強い言葉でした。

曰く、

「”給与”、と言うものは、
 実にいろいろな要素が詰まっています。

 社会保険もそうだし、住民税もそうだし、
 その人の賞与の計算方法もそうだし、
 福利厚生に置いて家族構成もそうだし、
 場合によっては退職金もそうだし、
 お亡くなりになられた死亡退職金と言うケースもある。

 そうすると、「給与計算」を追求していくと、
 幅広く、法律のことも、税金のことも、
 学んでいく必要があるんですよね。

 そして、最終的な成果物が
 「給与計算」に集約されていく。

 それが面白いんですよー」


大変な、熱量。
心底そう思っているのが伝わってきます。
そして、彼女は続けます。


「だから、”給与計算をまとめる係”に手をあげました。

 でも、自分の会社では、
 「自らそのポジションがやりたい」と
 手を挙げる人はほとんど皆無でした。

 ゆえに、人事異動があるときに自分がそのポジションに行けたのは
 自分が「これがやりたい!」と言葉で伝え、手を挙げたことで、
 「あ、そういえばあの人がこれをやりたいと言っていたな」と思い出してもらえて、
 そのポジションに付けたのだと思います」



■「給与計算」に、
そこまで並々ならぬ思いを持っている人が
存在しているのか、、、。

そのような感動とともに、
そこにいた4人に仲間から質問がでます。

「ちなみに、どうして”システムコーチング”を、
 高いお金を払ってまで学びにきたのですか?」

すると、


「子会社に、給与等の変更を伝えに行く時などに、
 なかなか伝わらないな、と思うことがあったんですよね。

 だからコーチングの技術で、
 相手の状況を理解することを学べば、
 給与計算の仕事がもっと上手くいくと思いました。
 そして実際、使えるんですよね」

とのこと。

あくまでも、「給与(自分の仕事)」のため。
”今後役に立ちそうだから”みたいな話ではなく、
自分の仕事の責務を全うする上で、
高いお金を払い、自分で学びに来ている。


■それらの話を、疑いもなく、
嬉々として語られるのです。

誰から理解されずとも、自分がわかる、
大げさにいえば、”少なくとも自分だけ”はわかっている、

「給与」という仕事の役割を通じた、
自分の仕事への誇りと、楽しさと、意義を、
心より感じていることが伝わってきました。

ちなみにこの方は、
このレベルで「給与計算」に向き合っているため、

どんな会社でも必ず必要な「給与」について、
あらゆる規模の会社で、あらゆるケースに対応できる
経験・力量をお持ちである事は、素人でも話を聞いていてわかります。

数万人規模の組織での、
早期退職、異動、福利厚生、職務、雇用形態、死亡時の対応等々、
複雑な変数を網羅して、「給与」を見ることができる人は、
おそらく相当レアでしょう。

その”彼女の特異性”と言うのは
耳を傾けて聞いてみないとわからない。

しかし、聞けば聞くほど、
その熱量と知見は特筆すべきものがあり、
その方がいるからこそ会社は回っており、いわば、

『日陰にいるスーパースター』

のごとき存在なのであろう、、、

と思ったのでした。


■私の所感ですが、
「プロフェッショナル」と言うのは目立つ目立ないに関わらず、
以下のような条件を持っている人ではないか、と考えています。

その条件とは、


1,自分のやっている仕事に「意義」を感じている

2,それにより学び続けようという、
  エネルギーを自ら生み出すことができる
  (誰になんと言われようとも、あるいは言われなくとも)

3,ゆえにその分野において、
  卓越したスキルと経験を身に付け続ける


このプロセスの中にいる人は、
必ずやその分野において、突き抜けていくのでしょう。


■「いわゆるプロフェッショナル」と言うと、

・新進気鋭のクリエイター、とか
・敏腕マネージャー、とか
・トップセールスマン、とか
・人の心を動かすプレゼンテーター、とか
・新しい研究を行った研究者 などなど

周りが見て、新しくて、注目されやすく
大きなムーブメントを作るような「スター」を想像するかもしれません。

でも、実際そのような、
日の当たるところでスポット浴びるスターはごくわずか。

大多数は、

「日陰のスター」

であり、目を凝らしてみると、
どこそこに存在しているのだと思います。

舞台の上でスポット浴びている主演の背景に、
照明係や、大道具係、舞台監督、小道具係に、振付師、
そして観客の中で感動し涙を流して場を作る人がいるように、

たくさんの存在がいて、
ぱっと見スポットを浴びている人よりも、
たくさんの「プロフェッショナル」が存在しうる。

そのことをこの
「給料計算の女性」の話を聞きながら、
しみじみと感じたのでした。


■「自分が面白い!」と思えることが見つかり、
そして、それが周りの人にとっては

「それ、何がそんなに面白いの?」

と思えることであればあるほど、
”自分の希少価値”は高まっていきます。

実際私の周りにも、

「え、それ大変じゃない?」
「何が楽しいの?」

と、つい言ってしまいたくなる仕事で、
しかしやりがいを持って一点突破をしている人は、
存在感を持ち、代替の効かない存在になっています。

例えば、

・経理業務において、細かいズレを発見することに
 並々ならぬ熱量発揮される方(寝ずにできる)

・シェアハウスと言う人間関係が渦巻く中で、
 多くのトラブルの中でも平然とポジティブでいられる管理人
 
・そして、今回の給与計算の女性のように、
 マニアックな仕事の喜び(失礼)を追求できる方、

などなど。

他にも、きっと色々あるはず。


■いずれにせよ、

自分が自分の仕事について、

「どのように意義を見出し、
 そして、どのように向き合っているのか」

これは働く全ての人に言える、
とても大切な問いだと思います。

そしてその理想的な一つのケースを、
「給与計算の女性」から学んだ気がしている次第。

素晴らしい方でした。


皆さまは、ご自身の仕事に、
どのくらい意義を見出していますか?

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<本日の名言>
ゆうゆうと焦らずに歩む者にとって長すぎる道はない。
辛抱強く準備する者にとって遠すぎる利益はない。

ラ・ブリュイエール(フランスの思想家/1645-1696)
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