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2523号 2021年1月16日

物語の学習理論 ~”理論と物語のアプローチ”の違いを考える~

(本日のお話 2945字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、2件のアポイント。
並びに読書など。

引き続き大学院受験の勉強。
その他、キックボクシングジムへ行きました。



さて、本日のお話です。

学習科学によると、

「人が物事を理解するために
2つの思考様式がある」

と言われています。

今日はその話に関連して、
「物語が持つ力」について、

心理学の視点から皆様に学びと気づきを
ご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【物語の学習理論 ~”理論と物語のアプローチ”の違いを考える~】

それでは、どうぞ。

■教育・研修の業界に入って
約10年になります。

まだまだですが『7つの習慣研修』を始め、
多くの研修に立ち会ってまいりました。

仕事も関係なく、
個人的に参加したセミナーなども含めると

数百の単位で研修に触れてきたかと。

■その研修やセミナーの中で

「人の心が大きく動く瞬間」

も目撃してきました。

なんというか、空気が変わる瞬間って
やっぱりあるのですよね。

■そしてその場の空気に影響を与えるのは
研修の講師やファシリテーター。

その中には、実に様々なタイプの方がいます。

ある講師は、論理的かつ説得力があり、
滑舌もよく明朗な話し口と論理展開で
納得のいく説明をできる。

ある講師は、あんまり滑舌が良くなく、
一瞬何を言っているかわからない(苦笑)
でも、滲み出る人柄で、場全体を巻き込んだりする。

ある講師は、情熱的な語り口で
場をぐっと動かしたりする。

などなど。

様々なタイプがいます。

■では、どの講師が1番良いのか?

、、、と言われると、
一言ではなんとも言えません。

参加者との相性、その場の空気、
コンテンツの内容にもより変動しますし、

同じ状況で2人の講師がやった場合を
比較することも現実的に無理です。
加えて、満足度も参加者の主観ベースになるため
絶対的な正解はありえない、

と理屈で語れば言えるかと。

■ただ、あえて
”私(紀藤)の主観”として思うことは、

・論理的でロジカルな関わり方の講師は、
「平均以上で安定している」が
「メガヒット(感動されること)もない」

一方、

・論理以上に、情熱で迫力がある講師は、
「人によって好き嫌いは分かれることもある」が
「メガヒット(感動されること)がある」

という傾向があるように感じるのです。

(繰り返しますが、
あくまでも”私の主観”です)

■ただ、もしその主観が
ある側面で正しいとすると、

・論理的で客観的なアプローチは
頭では理解するし、スッと入ってくるけれども、

飲み込みやすさがゆえに、心に刻み込まれるような
”感動レベル”の体験にはならない

という一方、

”その人のリアルな体験に基づく生々しい話と言うのは
感情が動かされるがゆえに、理屈では語りづらいけれども、

心の襞に触れ、参加者の気持ちを大きく動かし、
ずっと残るものになることがある

のではないか、、、
と思ったのです。

■冒頭の話に戻ると

学習科学の分野において
心理学者ジェロム・ブルーナーは、

以下のように語りました。

1,人間の根源的な認識には、2つの思考様式がある

2、それは、”論理ー科学様式”と、”物語様式”である

と。

すなわち、人は

「論理的に理解するパターン」と
「物語として理解するパターン」がある、

という話です。

■こちら、重要なポイントなので、以下、

『物語の学習理論』ということで
整理をしてみました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<『物語の学習理論』>

・物語と人間の思考について思索を深めた
心理学者ジェロム・ブルーナー。

・人間の根源的な認識は
2つの思考様式が存在するとした。

↓↓

◯論理―科学様式(=パラグマティックモード)

・普遍的な真理性と論理的一貫性を求め、
簡潔な分析・理路整然とした仮説を導く思考様式。

※営業研修で学んだ、「営業を科学する」ように
理屈で学ぶのはこの様式になる

◯物語様式(=ナラティブモード)
・「もっともらしさ(迫真性)」を求め、人間の意図や行為、
人間の体験する苦境やドラマを含む出来事の変転を取り扱う思考様式。

※営業マンの「先輩の武勇伝から学んだ」系の述懐は、
この物語様式にあたる

(参考:『企業内人材育成入門』(編著:中原淳)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■そして、ここで強調したいのが、
心理学者ブルーナーは

この2つのアプローチは相互補完的であるが、同時に、
”物語的思考様式がともすれば軽視されがちである”

と語り、

<教育の場面においての
『物語の学習理論』の復権を主張している>

というのです。

平たく言えば、

「論理とか科学に寄りすぎでない?

物語、その人のもっともらしさ、
もっと大事にしたほうがいいんじゃない?」

ということです。

■確かに、”理論や科学”はパワフル。

「論理的にいうと、、、」
「ファクトベースで語ると、、、」
「帰納法的な視点で見ると、、、」
「結論を3点で簡潔にまとめると、、、」

なんていうと、説得力があって、
使い勝手が良く、反論もすくなそうです。

聞いているほうも、
「論理や科学」を出された瞬間に、

水戸黄門の印籠をつきつけられたのごとく
無条件に受け入れてしまうような、

そんな空気がすることもあります。
(逆もありますけどね)

■しかし、理論だけで
心動かされることよりも、

理論よりも、物語のほうが
ずっと心に残ることもあるものです。

”理論は、その人の生の体験や、
リアルな感情から出た
魂も叫びにも似た迫力には勝てない”

とも言えるのではないか、と思うのです。

■理論的に語ることは、大切です。

もし皆様が、フォロワーを率いるリーダーならば、

なぜその戦略をすべきなのか、
自分たちのゴールは何なのか、

”論理的”に語ることも大事です。

しかしながら、一方、

”2つの思考様式どちらも重要で(相互補完的で)
ともすると論理によりがちである”

と言われるように、

物語様式の伝え方を軽視してしまい、
伝わるべきものが、伝わっていない、

心が動かされていない可能性もあります。

■、、、とすると、
組織にとって、チームにとって、
自分にとって大切なことを、

『自分の言葉で、自分の気持ちを合わせて、
自分の物語として偽りのない言葉として
伝えられているかどうか』

このことが、人を巻き込み、
人を動かし共に歩む上で極めて重要なことである。

そのように思う次第です。

補足:

ちなみに余談ですが、メルマガでも、

論理科学的な話(心理学、社会心理学、認知科学、教育工学によると、、、)
と書くときは、

メルマガの解除は少なく(苦笑)
書いている内容にも安定感はあるのですが、

一方魂が乗り切らない事もあり、
ご感想たくさんいただけることもまた、少なかったりします。

逆にメルマガでご感想が多いのは、
「自分の生々しいエピソード(物語)」であること多いと感じます。

※例えば

『177キロマラソン体験記
~ 超ウルトラマラソンを走ると、どんな感情が生まれるのか? 前半〜』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/8951/

『カナダの研修体験記』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9151/

などは、論理性などはないですが、
リアクションが大きかったですね。

、、、ということで余談でした。
本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

本当の腹底から出たものでなければ、
人を心から動かすことはできない。

ゲーテ(ドイツの劇作家/1749-1832)
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