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4426号 2026年4月8日

「アイデンティティが拡散する」ってどういうこと? ー『中年からのアイデンティティ心理学』#3

(本日のお話 2054字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は早朝から13kmのランニング。
また立教大学のリーダシッププログラムの第一回目の授業でした。

その後、高校のリーダーシップ概論の授業打ち合わせを
教頭先生と行わせていただいておりました。

来週から、色々と始動していきそうで、大変楽しみでございます。
準備も仕上げをしていきたいと思います。(フルマラソンも⋯!)



さて、本日のお話です。

先日に引き続き、本日も『中年からのアイデンティティ心理学』の読書レビューです。

「アイデンティティ」とは、「自分とは何者か」「本当の正真正銘の自分とは何か」を意味します。
こうした問いは、親の庇護から離れ、主体的な生き方を模索し始める時期(思春期や青年期)に考えさせられるものと考えられてきました。

まさに、友人との違いを意識し、進路を考えたり、就職を選択したりするタイミングで「果たして自分は何者か」と考えてしまうのは、誰しもが思い当たるところではないかと思います。

かつて「アイデンティティを模索する」というテーマは青年期のものと考えられてきました。しかし、今日では変わりつつあります。

長寿化、ライフサイクルの変化で「自分らしい生き方とは?」というお題は、青年期だけのものではなくなってきました。

そして、成人発達研究が進展するにつれて、成人してから人が発達し続けるプロセスが明らかになってきました。
成人しても、人は、対人関係、職業、結婚生活、親子関係などで、様々な葛藤などを抱えながら発達プロセスを遂げていきます。この中にも「アイデンティティ(自分は何者か)」という問いは、常について回ると言えます。

「第2章 心の発達をライフサイクルを通してみる」では、この「アイデンティティ」についてより深く掘り下げています。

私も読むまで「アイデンティティってそもそもなんだ?」「拡散とか達成するってどういうこと?」と思っていましたが、その答えがより明確に見えたように思いました。

ということで、早速中身を見てまいりたいと思います。

それでは、どうぞ!

■「アイデンティティが拡散する」とは何なのか

思春期・青年期の発達課題に「アイデンティティ達成 vs アイデンティティ拡散」があるというお話は、先程述べた通りです。

では、「アイデンティティが拡散する」とか「達成する」とは一体何なのか? その基準はどこにあるのか?

この点が、非常に曖昧なわけです。

そもそも「自分とは何者か」という問いが、思春期・青年期にくっきりはっきりわかることなんて、あるのだろうか⋯。
少なくとも、私の周りにそんな悟った若者のような人(?)はいなかったように思います。

◯パターン1:「素直でいい子」が、自分で決められない

ここで、マルシア(1964)という研究者が「アイデンティティ・ステイタス論」という見方を提唱しました。

まず、アイデンティティは『迷い(危機)』と『決断・実行(関与)』の2軸で決まるとします。

そして「アイデンティティが拡散する」ということは、以下の状況である、と説明されています。

1つ目が、「本当の自分に直面したことがないので、自分で考え、自分の責任で何かを選択しなければならないときに、どうしたらよいかわからず、混乱状態になってしまう」というケースです(「危機前アイデンティティ拡散」と呼びます。
例えば、すべて親に選択を委ねる「素直でいい子」が、いざ一人で考えようとするときに、何もできずに途方に暮れる⋯というイメージでしょうか。
これは、「迷い、立ち止まり、考え、自分について考える体験」をしてこなかったためにおこります。(こうした迷う期間が「危機」と称されます)

◯パターン2:「まだ本気出してないだけ」と言い続けている

そして、2つのアイデンティティ拡散のパターンが「すべてのことが可能であり、これからもずっと可能なままにしておかねばならない」というパターンです。
これは迷いが生じ、自分自身なりの解決に至りきっていないものの、それ以上、積極的に「自分は何者か」を探求することを諦めてしまう状態(=積極的な関与を拒否する)です。

一生懸命生きるほどに、自分の能力の限界などに打ちひしがれる経験がある人は少なくないのではないでしょうか。
そこで、「自分にできること、できないこと」があることを葛藤と共に受容しようとし、その上で自分の選択をしていくわけです。

ちょっと極端に言えば「まだ何だってできる。まだ本気出していないだけ」と可能性を残しておくことで安心するプロセスに似ています。
積極的な関与を拒否することで、その危機を見ないようにしている、とも言い換えられます。可能性を残すことで一時の安心は得られますが、現実の自分から目を逸らし続けてしまう危うさがあります、

■「アイデンティティ達成」とはどんな状態か

一方『アイデンティ達成』をした状態というのは、以下のように説明されています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
幼児期からのあり方について確信がなくなり、いくつかの可能性について本気で考えた末、自分自身の解決に達して、それにもとづいて行動している状態
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これは、迷い・考える時期(危機)を経験し、積極的に関与することで、自分なりに解決し、そして行動できている状態です。

そして『モラトリアム』というのは、「いくつかの選択肢について迷っているところであり、その不確かさを克服しようと一生懸命努力している」状態です。積極的に関与しています。

また『早期完了』とは、自分の目標と親の目標に不協和がないので、どんな体験も、幼児期以来の信念を補強することになっている、という状態です(融通がきかないのが特徴だそう)。

■まとめと感想

「いい子でいる」ことの副作用、また「迷う時期」の大切さ。そんな事を考えさせられる節でした。ずっと迷ってばかりでは、社会生活に「外的適応」がしづらくなるのはあるかと思います。

ですが、進路・就職ほどに、迫りくる外の世界に対応するだけではなく、そのプロセスの中で「自分とは何者か」という「内的適応」に向き合うことは、その人が自分の人生を過ごす上で、重要な儀式というか、戦略なのだな、と感じた次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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