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2735号 2021年8月17日

リーダーシップ開発研究。その25年の歴史。

(本日のお話 2504字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は4件のアポイントでした。
今朝、東京に戻ってきましたが、
ゆっくりした良い時間でございました。

場所を変えて仕事をするだけで
休み感がでて良いですね。



さて、本日のお話です。

本日も、大学院で紹介された

”リーダーシップに関する論文”

より、学びと気づきを
皆様にご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【リーダーシップ開発研究。その25年の歴史。】

それでは、どうぞ。

■「リーダーをどのように育成するのか」。

これは様々な組織において、
とても気になるテーマで、

リーダーシップの大御所(?)の先生方も
様々な角度から研究をおこなっているようです。

■そんな中で、

『リーダーおよびリーダーシップ開発の進歩
~25年間の研究と理論のレビュー~』

デビッド・V・デイ、ジョン・W・フレイナー、リアン・E・アトウォーター、
レイチェル・E・スターム、ロブ・A・マッキー(2013)

という論文において、

「過去25年間に発表されたリーダーおよび
リーダーシップ開発に関する理論的および実証的な文献をレビューした」

と語っており、

その内容がなかなか興味深いものでした。

ライフハックなタイトル風に言うと、

”25年間のリーダーシップ研究について
わかったことをまとめてみた!”

みたいな感じでしょうか。

■詳細は、ぜひ
読んで頂ければと思うのですが、

平たくいうと、こんな概要でした。

以下、超ざっくりな視点で、
まとめております。

(41ページもあるので、大幅に割愛しております)

■まず、

<リーダーシップ理論や研究の分野と
「リーダーシップ開発」は違う>

とのこと。

リーダーシップの理論はたくさんある。

しかし、リーダーシップ開発は
状況が絡み合った実に複雑なテーマ。

ゆえに、一般的な理論とは、
別で考えるべきである、

とこの研究の大切さを語っておりました。

■そして次に、

<リーダーシップ開発を考える時に、
3つの切り口で考える>

ということで、以下の視点で
リーダーシップ開発25年の歴史を紐解いています。

1、成功するリーダーシップスキルを開発するため、
「どのような要因(What)」が重要かを見極める

※ちなみに、Whatには、
リーダ育成に関する内的要因(特性、性格など)と
対人的要因(周りの人との関係など)を考えることも含む。

2、リーダーシップ開発の「方法」を考える

組織の中でどのようにリーダーシップが行われるのか、
あるいはリーダーシップを促進する実践方法はどんなものか説明する

3、リーダーシップの「縦断的性質」について考える
(リーダーシップは、長期間に亘って観察が必要なものである)

とのこと。

上記のそれぞれに、

様々な研究者の実験が紹介されておりますが、
長いので、またの機会に、、、。

■そして、最後の結論は、

<結論。リーダーシップ開発は複雑>

とのことでした。

(と、私は感じました)

、、、というのも、

◯リーダーシップ開発は、社会システムを通じて出現する
人と環境の複雑な相互作用である(Day,2000)

なので、個人への単体の関わりで育つものではない

◯リーダーシップ開発は、「幼少期」から始まる。

親が変革型リーダーシップを発揮していると、
それを見た子供は”モデリング(真似る)”ことで
リーダーシップを発揮しやすくなる傾向あり。

◯リーダーシップ開発は、「パーソナリティ」も影響する

外向的な性格の子供は、リーダーシップを発揮しやすい。
でも成人したら関係は薄くなる。

◯リーダーシップ開発は、「自己認識」が関わる。

ゆえに、360度フィードバックは効果的。

◯リーダーシップ開発は、「経験」が影響する。

リーダー育成プログラムではなく、普段の日常に
育成するための機会が大事。

◯リーダーシップ開発は、「縦断的な性質」を持つ。

時間経過に応じて少しずつ育ったりするものだから
長期的な観察が必要。

◯リーダーシップ開発は、「建設的発達理論」など
自己と世界のつながりをより精緻に理解する力(=成人発達理論)
と関連している。

他諸々、とのこと、

そして、人は当然ながら、
個人特性や周りにいる人、
また業界などの環境も含め状況が違います。

つまり
「様々な関連する結果変数がある」ため、
厳密にリーダーシップ開発を測定するのは難しい。

ただ、測定の仕方としては研究されているので、
今後の研究に期待したい。

、、、と締めておりました。

■「結局何やねん!」

とツッコミたくなる気も
しないではないですが(汗)

この論文をヨミながら、
ハッキリわかったことが、
一つあります。

それは、

【企業でリーダーシップ育成研修をやったから
明日から急に変わるものではない】

ということ。

そもそも、リーダーシップとは

・縦断的性質(長期間で変わっていく)がある

ものであるし、

掘り下げると、

・”幼少期”からの影響もあるし

・”親のリーダーシップ”の影響もあるし

・”パーソナリティ”の影響もあるし

・”出会った上司”の影響もあるし、

・”本人の自己啓発”の影響

もあるわけです。

(他にもたくさん…)

■とすると、

リーダーシップを育成しよう!
としたときに、

「これさえやっときゃOK」

という安易な話は、
あり得るはずもないでしょう。

できることとしては、

”どのような行動が現れたらOKとするのか
明確なゴール設定をする”

というのも必要になりそうだし、

”単発の研修イベントではなく、
現場でも活用できる仕組みを作る”

ことも大切になるでしょう。

イベントではない
地道な土壌づくりと種まき。

そして水やりのように、
ちょっとずつ、ちょっとずつ、
長期・継続的に育てる体制を作る、

という話にもなるのかもしれません。

■いずれにせよ、

多くの研究者が、
様々な要素に分けて研究することにより、

「リーダーシップの連立方程式の難しさ」

を向き合って考えさせられるお話です。

その上で、何が最適なのか
現段階で腰を据えて考える、
企画をすることが重要なのであろう、、、

そんなことを思った次第です。

リーダーシップ、実に深きかな。

そして学ぶほど、
悩ましく思ってしまった次第です。

探求の旅は続きます。

※本日のお話は、以下論文を参考にいたしました。
『Advances in leader and leadership development: A review of 25 years of research and theory』
David V. Day a,⁎, John W. Fleenor b, Leanne E. Atwater c, Rachel E. Sturm c, Rob A. McKee c(2013)

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

1つのことが万人にあてはまりはしない。
めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ。

ゲーテ(ドイツの劇作家/1749-1832)

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