メールマガジン バックナンバー

2828号 2021年11月18日

これからの人事は「KKD」から「JDR」へ

(本日のお話 2234字/読了時間2分半)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
午後からは管理職向けの研修でした。
また、夜は7kmのランニング。



さて、本日のお話です。

今月の2021年12月号の
ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)

『これからの人事』

なる特集が組まれていました。

その内容を改めて見て、
”人事の未来”について
諸々考えさせられました。

今日はそのお話について、
学びと気付きをご共有させていただければと思います。

タイトルは、



【これからの人事は「KKD」から「JDR」へ】



それでは、どうぞ。



■以下、今月号のハーバード・ビジネス・レビューの

三菱ケミカル取締役 常務執行役員
(リソース所管)の中田るみこ氏の
インタビュー記事より引用です。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<社員の能力を最大化 科学の力で未来に貢献する>


人事のDXについては、
ピープルアナリティクスの導入を急いでいます。

昨年(2020年)フェーズ1から活動を始めたものの、
まもなく典型的な壁に突き当たりました。

人事業務で必要なデータが散在していたのです。
社員の職歴、給与や異動の情報、研修受講履歴などの
データはもちろん存在していましたが、利用するシステムや
保存するデータベースがそれぞれ異なっていたのです。

そこで、それらの情報を集約して
一元管理し、データ分析ツールを導入することで
統合的に分析できる環境を構築しました。

(中略)

2023年には、データ分析や予測に基づいて
戦略立案や施策実施を行なう「データドリブン」な人事運営を
可能にしたいと考えています。

同時に社員に対してもデータ活用を促していきます。
一例を挙げると、ナレッジ共有のプラットフォームを整備し、
学び方や研修を自律選択型にシフトしているところです。

(中略)

目下の課題は、社内にデータを扱える人材が少ないことです。
データサイエンスを究めた専門人材とはいかないまでも、
データの分析や活用ができる人材をもっと増やしたいと考えています。

同時に、全社員の意識改革も大切です。

ことに人事の戦略や施策については、
まだまだ感覚に頼って議論される事が多く、
今後はデータに基づいて判断や意思決定をしていく
必要があると思います。

※引用:
 2021年12月号『ハーバード・ビジネス・レビュー ~これからの人事~』
 人事は変革の伴走者であり、支援者である

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


■最近

クライアントと研修について
相談をさせていただく際に、

「何が対象者の抱えている課題で
 どうしてそう言えるのか?」
 
「その課題を解決すると、
 成果にどのようなインパクトを与えるのか?」
 
というディスカッションになることが
ますます増えてきていると感じます。



■上記のインタビュー記事でも、

”ことに人事の戦略や施策については、
 まだまだ感覚に頼って議論される事が多く”
 
と語られていますが、

特に誰もが関わる
マネジメントや営業などは、


「KKD(勘・経験・度胸)」


の世界であったのが、
これまでの通例だったように思います。



■ゆえに、なぜ
そのような問いかはわからないけれど、

研修受講後のアンケートは、

・研修満足度はどうだったか?

・講師の話はわかりやすかったか?

・受講環境はよかったか?

と、特に考えなく
流用して実施している、、、

ということも少なくありません。

ちなみに上記の問いが
良い悪いというより、

”「なぜそれを聞いているのか」を
 明確に説明できずに聞いている”
 
事がけっこうあるもの

(=つまり「経験」だより)

だよね、というのが
人事の課題なのだろう、とつくづく思います。



■そしてそれを問われなかったゆえ、

企業人事も
研修会社のコンサルタントも、

”KKDでOKな人事”

という暗黙の了解が
これまではあったのではなかろうか、、、

そんなことを、自戒を込めて
考えさせられる記事だな、

と思ったのでした。



■しかし、最近、

まさに今回のハーバード・ビジネス・レビューで
取り上げられているような

「人事のDX」

は、確実にやってくる未来であり、
それに対応することが、

人材開発・組織開発に関わる人にも
求められていくのだと思います。



■例えば、1on1についても、

これまでは、

「大事だから(みんなやっているから)
 やったほうがよい」

という話だったのが、

先行研究でも、

「上司の内省支援が部下の能力向上に資する」

というデータが見つかっているし、

あるいは、
大学と企業の共同研究である

『称賛データを用いたポジティブ1on1』



・仕事の熱意度、
・強みの認識、
・自己効力感、
・フィードバック探求行動

に優位な影響を与えることが
わかっていたりもします。



■そのような「理論」を背景に、

そして「事実・データ」を元に
現状と目指す姿と明確にして
施策を行なうことができるとすると、


「部下との1on1は、能力向上や離職を防ぐ意味で
 行ったほうがよい」
 
とか

「承認を通じたポジティブな関わりのほうが
 生産性のプラスの影響があるから
 行ったほうが良い」

等の共通認識が持てて、

組織における利害関係者の巻き込みも
よりやりやすくなっていくのでしょう。


そしてそのような姿が、

1つの人事の未来であり
データを活用した人事DXの姿なのかな、

と思ったのでした。



■ということで、


『これからの人事は
「KKD(勘・経験・度胸)」から
「JDR(事実・データ・理論)」へ』


と、やや強引ですが
Daigo風にまとめたいと思います。



大学院のデータアナリティクス演習なるものが
自分の処理能力の限界値を超えそうですが、

これからの人事には必要になることであろう、
ということで自戒を込めて学んでいきたい、

と思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

==========================
<本日の名言>

数値は人々を操作の対象にしてしまう。
権力があからさまに行使されないところで、
代わりに数値がひそかに知らないまま採用している。

ミシェル・フーコー

==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す