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2870号 2021年12月30日

「課題設定」の5つの罠(『問いのデザイン』より)

(本日のお話 2003字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

先日は読書。また年明けに行う
研修の企画ミーティングなどでした。



さて、本日のお話です。

昨日ご紹介しました、

『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』
安斎 勇樹 (著), 塩瀬 隆之 (著)


の書籍より、

引き続き、学びをご共有させて
いただければと思います。

(とても良い本です。
 人材開発、マネジメントに関わる方には
 大変お勧めでございます)
 
それでは早速参りましょう!


タイトルは、



【「課題設定」の5つの罠(『問いのデザイン』より)】



それでは、どうぞ。



■組織でも、家庭でも、
地域のコミュニティでも、

どこを見ても、「問題」なるものは
見つかるものです。


(例えば、
・組織としてもっと自由闊達な文化を作りたい
・若手の主体性を高めたい
・新規事業を成功させたい
 などなど)


■そしてその問題は

数学の1次方程式のように
わかりやすいものならまだしも、

現実の人・組織の問題は
そうではないことも多いです。

特徴として、

・目標状態もはっきりしない
・問題に対する解も複数ある
・ゆえに、目標に到達するまでのプロセスも特定できない

という、”難易度の高い問題”と
なっていることのほうが多いもの。

(ちなみに、
 「難定義問題(ill-defined-problems)」
 というらしいです)



■それらも踏まえて、

「問題」とは以下のように
定義づけられているようです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「問題」の定義とは?

何かしらの目標があり、
それに対して動機づけられているが、

到達の方法や道筋がわからない、
試みてもうまくいかない状況のこと。

※Dunker.(1945) On problem solving, Psychological Monographs 58,no.270
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

、、、とのこと。

つまり、

”何かしらの目標はあるけど
 行き方がわからず五里霧中状態”

なのが、
「問題」のようですね。



■ちなみに、問題の
解像度を高めていくと

「課題」

という言葉に繋がります。

ご紹介の著書では

”関係者間で「解決すべきだ」と
 前向きに合意された問題のこと”

と定義されています。


■ちょっと混合しがちですが、
「問題」だと関係者間で、

・目標もあいまい
・前提条件もあいまい
・到達のプロセスの方向性もバラバラ

であり、

関係者間での認識のズレが
想定されていない、

というニュアンスがあります。



■しかし、

「問題解決のために、
 何を課題として設定すべきか?」
 
という問い、つまり、

・目標を具体的に何とするか
・目標に到達する方向性はどうすべきか
・これは皆で解決すべき問題か

を関係者間で
「課題」として対話し、
ブレイクダウンすることで

現実的なステップとして
取り組みやすくなる、

とのこと。

(なんだか複雑ですが、
 ニュアンスとして伝われば幸いです)



■さて、そんな課題設定。

「つい陥りがちな失敗パターンがある」

とのこと。

それを知っておくことで、
日常に潜む(?)課題設定の問題に
上手に対処できそうです。

以下、ご紹介いたします。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<「課題設定」の5つの罠>


(1)自分本位

課題の設定が、自分の本位の視点に偏っている。
関係者全員にとって建設的な課題になっていない。
解決する社会的意義が欠如している。


(2)自己目的化

目的があって、ツールやソリューションの導入を検討したはずなのに、
「導入すること」自体が目的化してしまうようなパターン。

(例:「どうやったら1on1を導入できるだろうか?」
 →そもそも、1on1の導入が目的ではなかったのに・・・)


(3)ネガティブ・他責

同じ問題状況であっても、対峙した状況を
ネガティブな視点で解釈すること。

悲観的が必ずしも悪いわけではないが、
ネガティブな視点の問いでは、解決に向けての動機づけが下がり、
思考や感情が刺激されづらくなる傾向がある、


(4)優等生

課題の設定が前向きだったとしても、
問いが”優等生的”になっているケースだと、
思考や感情は刺激されず、創造的な対話が深まらないケースが多い。
規範的な思考に揺さぶりを与える課題を設定する事が重要。

(例:NG/優等生的「持続可能な社会を作るにはどうすればよいか?」
 → OK/揺さぶり「”持続的でない”社会とはどのような社会か?」)


(5)壮大

設定された課題が壮大過ぎるパターン。
「100年後の人類を幸せにするプロダクトを作る」
「教育の評価システムを変革する」等、問題のサイズが大きくなり
現実的な解決に向けての対話が難しくなる。


※安斎 勇樹, 塩瀬 隆之『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』学芸出版社
 より引用、一部編集

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。


■特に仕事において、

「課題設定は重要」というのは
よく言われることかと思います。

その中でも、

”ついハマりがちなパターン”

というのは、あまり認識しないことも
多いのかもしれません。

ただ、それらについて
自覚的になっておくことは、
適切な課題設定を行う上で
便利なツールになるかと思います。



■なんとなく問題解決とか
課題設定という言葉も使うかもですが、

・そもそも課題設定とはなにか
・課題設定でうまくいくパターン、いかないパターンとは

を細分化して理解しておくと、
現実世界でも応用しやすくなるものだな、

と感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

二人の人間がビジネス上の問題で常に同意しているとしたら、
片方は不要である。

ウィリアム・リグレー・ジュニア(米国の実業家/1861-1932)

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