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3046号 2022年6月24日

効果的なリフレクションのための3点セット ー自分を知る力・本質を考える力・疑う力ー

(本日のお話 2117文字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は午前中、ソフトウェアの会社の
マネジャーの皆様へ、オンラインでの
コーチング研修の3日目でした。
コーチング研修も回を重ねるごとに、
より論理的に説明できるようになってきて、
参加者御の皆さまへの付加価値を
高めることが出来ていると感じます。

これもこういった機会をいただけていることと、
大学院の授業のおかげ。ありがたや。。。

またその他、2件のアポイント。
また夕方から10キロのランニング。



さて、本日のお話です。

「リフレクション(振り返り)」の重要性について
研修等でもお伝えすることがあります。

そして実際「めちゃ大事」だと思っています。

そんな”リフレクション”についての論文、

Finlay, Linda (2008).”Reflecting on ‘Reflective practice’.
(「リフレクティブ・プラクティス」の振り返り)

を読む中で、
改めて「振り返る」という行為の
世界の広さ&深さに刺激を受けております。

今日はその論文からの学びと気付きについて、
皆さまにご共有させていただければと思います。

タイトルは、

【効果的なリフレクションのための3点セット ー自分を知る力・本質を考える力・疑う力ー】

それでは、どうぞ。

■「人は経験から学ぶ」、
、、、のではなく、

『経験を”振り返ること”から学ぶ」。

こんな話を何かの本で見た時に、
たしかになあ、と思ったものです。

■ただし、一言で
「振り返る」といっても、
色んなパターンがあるようです。

例えば、

・行為をした後に振り返るのか
(=リフレクティブ・オン・アクション)

・行為の最中に振り返るのか
(=リフレクティブ・イン・アクション)

という視点でも方法が変わってくる、
という専門家の意見もありますし、

他にも、

・文脈における振り返りの理論の違い

(”教師”の振り返り=「ALACTモデル」コルトハーヘン
”看護士”の振り返り=「リフレクティブサイクル」Gibbs(1988)
など、野で使われるものが違ってくる(らしい)

ということもあります。

■また「振り返る」といっても

その振り返り方が、
何となく表面をなでただけだと、
効果的なものにならないこともあります。

・何が起こったのか?
・どんな気付きがあったのか?

だけではなく、

・本当にそれは事実なのか?解釈ではないか?
思い込みではないのか?
・本当は何がしたかったのか?

という、深く内省する力
自分自身や社会を批判的に見る視点がなければ

「やっぱそうだよね」「思っていたとおりだった」
という安易な自己正当化につながってしまう、

こともあります。

■とはいえ一方、
批判的に見る力が強すぎると

自分の概念を大きく揺るがされ過ぎて
(精神的に)ダメージを負うことになってしまう

という懸念も考えられる、、、

なんていう話もあるようです。

■ゆえに、
一言で「リフレクション」と
専門家の方々が行っている言葉に
少し触れただけでも、

実に広く、深い世界が
広がっているのだな、、、

と感じていた次第。

■そんな「リフレクション」という広い世界の中で、
1点、Eby(2000)が提唱している

”「リフレクティブ・プラクティス」を構成する3つの要素”

というお話が、

深く、身のあるリフレクション(振り返り)を
実現するために、腹落ちをするものでした。

、、、ということで、以下
ご紹介をさせていただければと思います。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【リフレクティブ・プラクティスの3つの要素】

<1)自己認識>
・(ルーツ):現象学
・直感で考え、感じ、知ることが出来る認知能力
・自己認識によって得られた知識を評価し、理解を深める

<2)内省>
・(ルーツ):実存的現象学と批判理論
・解釈学と批評学の理論を用いる
・自己啓発・社会貢献・社会活動推進ツール
・自己表現・学習・協力の向上
・理論と実践の紐づけ

<3)批判的思考>
・(ルーツ):懐疑論と批判理論
・思い込みの確認と挑戦
・文脈の重要性に挑戦する
・内省的懐疑主義に選択肢を想像、探究すること

※Finlay, Linda (2008).”Reflecting on ‘Reflective practice’.
(「リフレクティブ・プラクティス」の振り返り)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■それぞれ、
哲学的な理論を背景として

「自己認識」
「内省」
「批判的思考」

の3つの要素の統合で
リフレクティブ・プラクティスが成り立っているとのお話。

■上記の論文の言葉は
やや硬い感じがしますので、

平たく私なりの言葉で解説すると
こんなことかな、と考えております。

**

◯「自己認識」=自分を認識する力
(自分がどう考え、感じ、何を知っていて、何ができるのか
などを理解することができる)

◯「内省」=深く本質を考える力
(起こったことを分析し、批判的に考え、
行動につなげるなどの一連の思考)

◯「批判的思考」=疑う力
(思い込みを認知し、時に手放すこと。
自分や社会についての当たり前を疑う)

**

ちょっと乱暴な解釈で、
専門家の方に蹴飛ばされるかもですが
そんなイメージかな、と考えてみました。

■しかしながら改めてこの3点セットは、
「振り返り」の上で大切に思います。

「自己認識」がなければ、
外界とのギャップは大きくなるでしょうし、

「内省」がなければ
本質的な答えにたどり付かず
表面的なところで終わってしまうことになるでしょう。

「批判的思考」がなければ
自分の思い込みや、社会の当たり前から
距離を置くことができず、自己正当化のループから
抜け出すこともできない、となるかもしれません。

、、、そう考えた時に、

「リフレクティブ・プラクティス」
(内省的実践者)

すなわち、

振り返りを日々の実践に活かすために、
ただ振り返るではなく
そういった3つの思考が前提としてあるか、

に目を向けつつ考えることも
重要なことではなかろうか、

そんな事を考えた次第です。

振り返り、奥が深いですね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

自分が感じていることは正しくないかもしれない。
だから、常に自分をオープンにしておくんだ。
あらゆる情報や、たくさんの知識を受け入れられるように。

アイルトン・セナ(ブラジルのレースドライバー/1960-1994)

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