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3099号 2022年8月16日

サビカスのキャリア・カウンセリング理論(前編)ー3つのキャリア支援ー

(本日のお話 3156字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
その他研修プログラムの作成など。



さて、本日のお話です。

先日図書館へ行って、
キャリア論、キャリア・カウンセリングなど
関連の書籍を借りてきました。

これまで「キャリア」については、
断片的にいくつか論文で読む程度でしたが、

改めて見返してみると、
”働く”ということは多くの人にとって、
とても大切なテーマであり、実に興味深いと感じます

(1歳の子供も『はたらくくるま』という動画を
ガン見しております。)

今日はその中で読み進めている

『サビカス キャリア・カウンセリング理論  <自己構成>によるライフデザインアプローチ』
(マーク・L・サビカス/著)


という本が実に面白く

そこからのキャリアに関する学びを
皆さまにご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【 サビカスのキャリア・カウンセリング理論(前編)ー3つのキャリア支援ー 】

それでは、どうぞ。

■「キャリア」というと
皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

なんとなく、
”長期的な働くこと”に関する何か、
というイメージはあるかと思います。
(ま、そうですよね)

ちなみに、その定義を一つ引用すると

”職業人生そのもの、
もしくは職業人生を通じて身につける能力・態度のこと。
Hall(1976)

だそう。

うーん、実に広くて深い。

■いずれにせよ、我々は働いていると
「キャリア」について考えることがあります。

例えば、

・今の仕事が本当に向いているのだろうか?
・これからのキャリアはどうしようか?
・定年後、どのように仕事に関わろうか?
・働く意味ってなんなのだろうか?

、、、などなど。

特に、よく言われうように仕事の考えも、
安定して一社で働き通すという時代でもなくなってきており、

雇用形態もフリーランス、契約社員、コンサルタント、自営業者
などなど様々な働き方も増えていると同時に、

定年後再雇用、70歳まで働くなど
キャリアに関して関わる期間も長くなってきています。

選択肢も増え、時間も長くなっているからこそ
キャリアに関連する悩みも増えてきてる、

、、、というのが現状かと思います。

■私(紀藤)の話で恐縮ですが、
自分で小さな会社をやっておりますが、
やっぱりキャリアについてよく考えます。

・教える専門家としての道
・仕組みをつくる経営者としての道
・ポジティブ心理学をかけ合わせた違う分野への展開の道

、、、など、いろんな方面での道を考えます。

おそらくそれは絶対にこの道と確定するものではなく
自分の成長や興味の変遷に伴って
常に考え続ける人生をかけての問いになる、、、

と私は思っております。

■というように、
「キャリア」については多くの人が考える問い。

その中で、キャリアを支援する施策について
上述の書籍で3つの方法として分類されており、

それが頭がスッキリする感じがして、
非常にわかりやすいな、と思ったのでした。

以下、まとめです。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【3つのキャリア支援】

<1)職業ガイダンス>
◯内容:
・個人差という”客観的視点”から
クライアントを”演技者”として認め、
彼らを”特性”についての”得点”によって特徴づけ、
職業がそれ自体に”似た人々を雇用する”ときに
クライエントがその職業に”マッチングする”のを支援すること。

◯キーワード:
演技者、数値、特性、相似性、マッチングする、客体(Object)

**

<2)キャリア教育>
◯内容:
・個人の発達という”主観的視点”から
クライアントを”エージェント(行為の主体者)”として捉え、
クライアントのその”ライフステージ”に適した”発達課題に取り組む準備”がどの程度できているかで特徴づけ、
彼らがそのキャリアをさらに上に”押し上げるため”に
必要な新しい態度、信念、能力を身につけるのを支援する。

◯キーワード:
エージェント、ステージ、課題、レディネス、実行する、主体(subject)

**

<3)キャリア・カウンセリング>
◯内容:
・個人による設計という”計画的視点”から
クライエントを”著作者”として捉え、
彼らをその”自伝的ストーリー”によって特徴づけ、
クライエントが”キャリアを構築”していく時に支柱となる
”ライフ・テーマ”について内省するのを支援する

◯キーワード:
著作者、ストーリー、テーマ、内省性、構成する、企画体(Project)

※引用:マーク・L・サビカス(2015)『サビカス キャリア・カウンセリング理論 <自己構成>によるライフデザインアプローチ』.福村出版 P16-17
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■さて、いかがでしょうか。

凝縮された言葉が並んでいるため、
ぱっと見て少し入りづらいかもしれません。

が、よくよく見ると、
「なるほど・・・」と唸らされるな、
と感じたのでした。

■重複となりますが、
改めて私なりに解説してみると、

「1)職業ガイダンス」は、
”職業と特性のマッチング”です。

いわゆる”適性テスト”など、
自分の関心や能力の特徴に基づいて
(分析が得意、人と接するのが好きとか)

「あなたはサービス業向きですね!」
と”マッチング”するようなアプローチ。

、、、とはいえ、
人はそんなに単純なものではないです。

こうありたい、という思いもあれば、
自分の中で成長したいという思い(課題)もあります。

ゆえに、職業と特性を当てはめるだけで、
キャリア支援がオールOK!かというと、そんなことはない。

大事な観点ではありますが、それだけでは不足していると思われます。

■そして、次に

「2)キャリア教育」は、

”それぞれのステージにおける課題において
キャリア発達を支援する”ことです。

例えば、ある程度年齢を重ねると、
管理職として更に多くの人を巻き込むため
マネジメントスキルを獲得していきたい、という人もいます。

あるいはより、専門性を磨くために、
スペシャリストとして腕をあげていきたい、という人もいます。

もしくは、自分役割を続く後輩に譲っていくという
ステージもあるでしょう。

それぞれ自分のステージにあった課題があり、
それに立ち向かう考え方、姿勢、能力などが必要であり、
それを支援するアプローチになります。

「課題と発達」がキーワードかと思います。

■最後が、

「3)キャリア・カウンセリング」です。

”キャリアにおける自分の物語(ストーリー)を作り上げる”支援です。

個人的には、このアプローチが最もグッときました。

人は、それぞれが持つ特性も能力も
1)で言うように違います。

同時にそれぞれのキャリアにおける課題も
2)で言うように、違ってくるものです。

そして”理想的なキャリア”などは、
誰かとの能力や特性との比較にあるものではありません。
誰かに課題を決められていくものでもありません。

大事なのは、

「自分がどうしていきたいか」
「自分でどのような物語を描くか」

という”自らキャリアを構築(創造)していく”
という考えです。

それぞれのキャリアの正解を、
過去・現在・未来と自分で言葉で作り上げること。
まさに”物語の著作者”になるわけです。

キーワードを自分なりにいうと
「創造」ではないかと思います。

過去すらも、物語として時間軸を伸ばすと、
その出来事の意味づけが変わってくるのです。

■著書に、このようにあります。

”われわれは、語ることで自分自身を形づくる。

言葉は、意味を考え作り出すことを可能とし、
生きていくための資源を与える。

前に述べたように、キャリア構成理論は、
本質的な自己の実現ではなく、自己の構成に集中する。

言葉は、先験的な、いわば本質的な自己に固着しているものではない。

むしろ言葉が自己概念を形作り、
自己を構成するのに必要な言葉を提供するのである。

※引用:マーク・L・サビカス(2015)『サビカス キャリア・カウンセリング理論 <自己構成>によるライフデザインアプローチ』.福村出版 P27

、、、と。

■私たちは、言葉によって現実を作っています。

それは自分のキャリアも同じです。

自分をなんという言葉で表現するのか、
自分のキャリアをどのような言葉で言い表すのか、
それによって現実が立ち現れてきます。

そして未来を創ることにも繋がります。

キャリア支援はどれも大切なアプローチである中、

”物語をつくることができる”

という創造的な特徴をもつ
「キャリア・カウンセリング」という手法は、

特に決まったルートがなく、
様々な道を選ぶ事ができる今にあっているような気がして、
とてもワクワクさせられたのでした。

この世界、もっと深掘りしていみたい
と思っている次第です。

明日は後半として
サビカス博士の語るキャリア・カウンセリングの上で重要な
5つの質問についてご紹介したいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

最短の道はたいていの場合、いちばん悪い道だ。
だから最善の道を通りたければ、
多少なりとも周りに道をしなければならない。

フランシス・ベーコン
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