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3159号 2022年10月15日

マズローの語る「科学のもつ9つの機能」

(本日のお話 2246字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は大学院でのプロジェクトで
コーチング実践研修でした。

まだまだ改良の余地はありますので
更に磨き上げていきたいと思います。



さて、本日のお話です。

今日もマズローの著書からの学びを
引き続き、ご共有させていただければと思います。
今日は「科学」のお話です。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは



【マズローの語る「科学のもつ9つの機能」とは】



それでは、どうぞ。



■大学院の授業で

「科学とはなんでしょう?」

なる問いを先生から
投げられたことがありました。

自分は「はて、なんだろう、、、」と
答えが出ずにもにょもにょしていましたが、

クラスメートの一人が、

「反証可能かどうか、だと思います」

とカッコよく答えており、
なるほどなあ、と思った記憶があります。



■「科学」という言葉には、力があります。

科学とか理論というと、
それだけで説得力があります。

しかし、その言葉が意味することを、
深く考える機会はなかなかないもの。

そんな中、心理学者のマズローが、
「科学」について著書で考察しており、
その内容が実に面白いものでした。



■まず1つ目の面白かったのが、

「なぜ科学者は科学するのか?」

という”科学者の欲求”について。

マズローはこう言います。

**

”科学者に最も関係するのが
 認知的欲求であることは明らかである。(中略)
 
 普通の人の場合、たった1つだけ
 非常に重要な動機があるという場合は少なく、
 むしろ同時に”あらゆる動機”がさまざまにからみあって
 作用することのほうが多い。
 
 どんな科学者でも、その仕事は、真理への愛だけではなく、
 単純な好奇心によっても動機づけられているし、
 また名声のためばかりではなく、
 お金をかせぎたいという欲求などによっても
 動機づけられていると考えるのが最も無難であろう。”
 
(※引用:マズロー(1970)『人間性の心理学』.第1章 科学への心理学的アプローチ 2-3)

**

とのこと。



■うーん、実に面白い。

科学者も人間。

崇高な雰囲気の
「真理への愛」を探究しているとて、

やっぱり、名声やお金を稼ぎたいという欲求も
あってしかるべき、というところに、
リアルを感じます。

お金も大事。



余談ですが、思想史研究をしている
たいへんに聡明な大学院生の知人が

「もっとも知に近づいており
 金銭や名誉欲などから距離をおいているはずの
 大学という機関において、
 
 どろどろした縄張り争いのような
 やり取りをしているのに失望して
 フランスの大学院にいった。
 
 しかし、結局、
 日本もフランスも、同じようなものだった」

と言っていたのを思い出しました。

科学者も人間。
そして人間臭くて、興味深い。



■そしてマズローは
このようにも言います。

**

”人は、社会生活・仕事・結婚などに
 多くの異なった満足を求めているが、 
 それは科学的仕事においても同様である。
 (中略)
 
 科学に、直接的に人間的目標を求める人もあり、
 また、まさに科学の非人格的・非人間的性質を楽しむ人もいる。
 
 まず第一に合法性を求める人がいる一方、
 内容を強調し、たとえ精密さや的確さに欠けるとしても
 「重要な」事柄についてもっと知識を得たいという人もいる。 
 (中略)
 
 理想的な妻の像を語るのが難しいように、
 理想的な科学・科学者、方法論、問題点、活動、調査などを
 述べるのも難しい。”

(※引用:マズロー(1970)『人間性の心理学』.第1章 科学への心理学的アプローチ 5)

**


■科学にも幅がある。

科学がもたらす
現実社会に使える成果を求める人もいれば、

科学がもたらす論理性、再現性等の
説明力に期待する人もいる。


どの立場かによって、
科学や科学者のスタンスも変わってくる、
というわけです。



■マズローは「科学」について

「科学が持つ9つの機能」がある、と述べています。

こんな内容です。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<科学が持つ9つの機能>

1,問題を探究し、問題を設定し、予想を促進し、仮説をたてる機能
2,テストし、照合し、検証する機能(仮説を吟味しテストする)
3,組織化、理論化、構造化していく機能(普遍化・一般化する)
4,発達の歴史を広く調べ、集める機能
5,技術的側面。すなわち道具、方法、技術
6,管理、執行、組織的側面
7,公にし、教育する機能
8,人間がしようできるように応用する機能
9,真価を認め、享受し、賛美すること

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


■うん、どれもよく見ると、納得です。

科学と言っても、
そこには様々な機能が存在しています。

そして一人の科学者が
全部を完璧に網羅していることはありません。

先述のように

・科学者には、さまざまな動機があること
・科学者によって、求めるものも違うこと

などから、必然的に
主張する立場が違ってくるわけです。

曰く、

”物理学者、生物学者、社会学者は
 既に領域の選択という重要な点で、
 根本的に異なっているということを示している”

のです。


■なるほど、たしかに。

科学者によって
主義主張にするところが違う。
よって、お互いへの批判もある。

批判があるからこそ発展もあるので、
それによって、科学は進化して来たのだと思います。



■ただ、重要なのは、

自然科学も、社会科学も、
より大きな観点では融合する要素がある、
ということ。

偉大な科学者は、
アインシュタインも、レオナルド・ダ・ヴィンチも
人間的・哲学的・社会的・審美的関心と
多彩であり多方面にわたる興味を持ち続けました。


このように、
自分の領域に固執することなく、
柔軟に、幅広い関心を持っていくことが
大事であろうし、

自分が正解とする科学に固執していては、
それこそ科学的ではない、

とも言えるのであろう、
そんなことを思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

発見とは、偶然と準備された心との出会いである。

セント=ジェルジ(ハンガリーの生理学者)

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