メールマガジン バックナンバー

3282号 2023年2月17日

人間、その非合理な存在よ ー事業承継勉強会に参加をして思うことー

(本日のお話 1,777字/読了時間2分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日はコーチング1件と
アポイントを3件。

また、午後は事業承継についての
大学院関連の勉強会でした。

夜は大学院の仲間との懇親会でした。
今週はほぼ毎日飲んでおります。



さて、本日のお話です。

昨日、一昨日と

「事業承継の勉強会」

に参加をしておりました。

今日はその勉強会に参加をした学びについて
皆さまにご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは

【人間、その非合理な存在よ ー事業承継勉強会に参加をして思うことー】

それでは、どうぞ。

■事業承継は、今の時代、
大きな問題の一つとなっています。

日本でも創業後後継者不在により
廃業するという会社が多く存在しています。

そこには、

ビジネスの市場の問題
売上規模の問題

など、今後の成長が見込めないから
廃業をするというパターンも
もちろんあります。

■一方、企業としては
成長を続けているのに

・後継者が育っていない
・創業者と後継者の信頼の不足
・創業者が離れたがらない(役割喪失の不安)
・父と子のこれまでの歴史や感情のわだかまり

等により、
上手く事業承継がなされず、

そして事業的にも
関わる人の感情としても
望ましくない結果になるケースもままあるようです。

■そうした

・事業承継
・ファミリービジネス

において

論文を合計16本参加者で分担して読み、
お互いに説明し合うという勉強会が
2日間に亘って行われておりました。

■色々内容が濃くて
自分の中でも整理できていないのですが

「特に面白いな」

と個人的に感じたことが
ある論文において語られていた
以下のお話でした。



どういう内容かというと、

同族企業のオーナーの
40グループを対象に行なった調査にて、

「後継者育成のプロセスを破綻する要因」

をインタビュー調査したところ
以下の3パターンが見出された
というお話です。

曰く、

・その1:家族間の関係の問題(2つの分析で60%の割合で言及された重要な要因)

・その2:相続人の準備が十分でない(25%)

・その3:計画・統制活動に関する問題(10%)

により後継者育成プロセスが
上手くいかなかった、とのこと。

※引用:ファミリービジネスの移行における成功の相関関係。
Morris, M., Williams, R., Allen, J., & Avila, R. (1997).
Correlates of success in family business transitions. Journal of Business Venturing, 12, 385-401.

■なるほど、、、実に興味深いです。

後継者育成のプロセスを
上手くいかなくさせている半分以上が

「家族間の関係」

なのですね。。。

ファミリービジネスにおいて、
仕事は仕事、家庭は家庭と割り切れない。

まさに、

”人間くさくて生々しい”

ようすが興味深いです。

■また他の研究では、
こんな事が言われています。

創業者の”心理”のような話です。

・後継者育成を先延ばしにする理由は、
起業家が引退を自分の死と結びつけることである
(Poe, 1980; Lansberg, 1998; Jacobs, 1986; Seymour, 1993)。

・家族の中で中心的な役割を失うことへの不安から、
起業家が不可避な継承を先延ばしにしている可能性もある(Lansberg, 1998)。

とのこと。

創業者が

・「引退=自分の死」と考える

・「引退=自分の中心的な役割を失う不安」がある

そんな風に、

事業承継をビジネス的なイベントではなく
自らのアイデンティティの喪失に
繋がるような意識があることも
(そして実際にそう)

”人間くさくて生々しい”

ものだと思えます。

■合理的に

従業員や事業の
最大公約数的としてのメリットを
冷静に見積もれば、

創業者は、早く引退したほうが
よいのもしれませんし、

あるいは後継者育成のプロセスも
早めに行ったほうがよいのでしょう、

、、、ただ、

「そんなに合理的にはいかない」

というのが、

これらの論文を読んで
総じて思ったことでした。

■時の意思決定者である

オーナー社長が自らの手によって、

・蓄積してきた家族の人間関係の
”澱”と向き合うことができるか?

・中心的な役割を失うという
”不安”と向き合うことができるか?

・アイデンティティ喪失という
”恐れ”と向き合うことができるか?

それを、自分で自分に
引導を渡せるかというと、

”自分の現状が見えていたとしても
相当ハードルが高い”

と思いますし、

”周りからのフィードバックがなく、
自分の姿が見えていなければ
更にハードルが高い”

となります。

■ゆえに、

「合理的に考えれば
こうしたほうがいい」

が成り立たない理由として
事業承継の水面下の深く
ちょっとドロっとした感情的な部分を
感じさせられた勉強会でもありました。

「人間は非合理な存在である」

そんなことを思った次第です。

実に学びになりました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<本日の名言>

人はその好むところをもって、
真実とするなり。

デモステネス
==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す