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3433号 2023年7月18日

「知らないから楽観的でいられる」という恐ろしさ ~263kmマラソン体験記(1)~

(本日のお話 3267字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

7/15(土)~7/17(月・祝)まで
「みちのく津軽ジャーニーラン(263km)」
に参加をしてまいりました。

私にとって
今年の春夏の一大プロジェクト。

そして、
ランニングに関する挑戦では
過去最大のものと言えるイベントです。

しばらくのこの話をするたびに
妻に話をしていた言葉は
「ああ、おそろしい・・・」でした。

その大会を終えた今、
その気持をどう整理すればいいのか、
思うことがたくさんありすぎて
言葉にするのが難しいと感じております。

しかし、

”経験こそが最大の学び”

というように、

この経験からは、
大げさなようですが、
大真面目に大げさでなく
「人生の教訓」がふんだんに詰まった旅路でした。

、、、ということで、
この感覚が揮発しないうちに、

またネタとしても
色々と書きたいことが溢れている今に、

「この大会に参加をして
どんなことが我が身に起こったのか」

「道中、何を感じたのか」

「孤独なマラソンの中で感じる仲間の存在」

などを書き残しておきたい、、、
と思います。

(今日からやや長い話になりますが、
よろしければお付き合いいただければ幸いです)

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【 「知らないから楽観的でいられる」という恐ろしさ  ~263kmマラソン体験記(1)~】

それでは、どうぞ。

■「今年出ないと、
出場資格を失う」

本大会に参加をした
一つの理由でした。

ジャーニーラン、
いわゆる超長距離(200キロ以上等)を走る大会は
参加資格が設けられています。

例えば、
今回私が参加した大会の場合、

”2019年以降に140km以上のレースを
完走したことがある人”

でした。

■その理由は、

”そもそも走り切る走力があるか”

という話はもちろんのこと

レースの途中、
トラブルは続出するから。

(今回のレースは、138名の出走、完走者は54名。
38%の完走率でした。
つまり過半数はリタイヤとなります)

山道であろうが
人気のない田舎道であろうが、

怪我、故障、体調不良があったら
自力で戻って来る必要があります。

それは、”アスリート”と呼ばれる
身体能力が極めて高い、という能力ではありません。

おそらく”生き物としてのしぶとさ(?)”
のようなものが試されているとも言えそうです。

ゆえに、50代でも60代でも
参加をしているし、
女性も速かったりします。

ちょっと、特殊な競技ですが、
だからこそ、素人でも参戦できて、
面白いのです。

(私も、中学校までの体育では
「3」しかとったことがない)

■そんなジャーニーランを
2019年に、177km(短い部門)を走り、

じゃあ、せっかくなので、、、

と思ったところ、
仲間が参加すると耳にします。

ちょうど大学院を卒業してできた時間、
何に力を注ごうか、、、と

見つからなかった時に、
ちょうどこのレースがあり、
そしてランニング仲間も参加する、、、

じゃあ、参加してみようかな

と参加することにしました。

■こういう大会に参加していると
しばしば勘違いされるのですが

私は、生粋のランニング狂ではありません。

ランニングが好きで
色んなところに一人で行脚して、
というタイプではなく

”健康的で、さほどお金もかからず
ランニングしながら色んな人とのご縁を
維持・発展させることができる”

ので、ランニングをしています。

■そして、今回のレースも、そんな風に

「挑戦」✕「仲間(寂しくない)」

がおり、参戦を決めました。

私以外に、
合計4人の仲間が参加するとのこと。

一人は、
私をウルトラマラソンの世界に引き込んだ(連れ込まれた)、
「提督」こと赤羽氏。

その他に、
噂は聞いていたけれど、
今回お初にお目にかかるアンディ、マッキー、ヒロポンという
3名の合計4名です。

それぞれ、日常は弁護士や医師など
社会的な身分はお高めの方ですが、
皆さん個性あふれるナイスガイ。

そしてなんと内3名はなんと去年、
263kmのレースを制覇している(!)大先輩でした。

■ちなみに、

「提督」こと赤羽氏は、
体重が85km近くある巨漢。

とてもランナーとは思えない体型なのですが(失礼)
この鬼のようなレースを走り切っています

これは、知恵を借りるしかない、、、。

■そうして色々聞くなかで

「レースを制覇」するための
いくつかの戦略を知ります。

263kmというと
一般的には意味不明な距離です。

ただ、基本は

”早歩き程度でも寝ずに進めば
走り終えることができる”

と、前回もお伝えした通りの制約条件です。

■もちろん「走力」はあるにせよ、
それと同等に、考えられる様々なリスク、

1)「天候条件」の対策
(=暑い/寒い、夜の冷え、雨などに
やられないように頑張る)

2)「怪我」への対策
(=足首や皮のズレなど走れなくなる
レベルで故障をしないように頑張る)

3)「補給」への対策
(=胃腸系がやられてしまうと走れなくなります。
食事ができなくならないように頑張る)

4)「睡魔」への対策
(=2.5日で2時間程度の睡眠・休憩を
どのタイミングで取得するか考えながら頑張る)

などをいかに克服して、
戦略的に勝っていくのか、、、

これが試されるランニングイベント、

といえそうです。

■、、、なんて、

口では偉そういいつつ

結局、当日まで仕事がバタバタしており
(という言いわけで)

全然、当日のイメージも
また準備もできておらず、

防寒対策も、
レースのシミュレーションも、
ほぼ、無計画状態での参戦となりました。

結局、

荷物を預けて置くことができる
ドロップバック96km地点と178km地点に

ジェルやら食料やら、
換えの電池やらを詰め込んでおきました。

(結局、何一つ食べないし
使わなかったのです。

実はそれよりも重要なものが
いくつもあったと後ほど気づきます・・・)

■かろうじて、

「スタート直前の17時まで、
開会式に参加をした後も含めて
寝ておいた方がいい」

という情報は知っていたため、

金曜日の仕事終わりに青森に移動、
直前まで、間を見つけて
ひたすら寝ることに徹しました。

そして、その後の情報交換で
仲間たちとびっくりドンキーで
ハンバーグランチを食べつつ、

「防水ウェアは、
ワークマンのやつがめちゃいい」

「足の皮ズレ防止に、
テーピングを巻いておいた方がいい」

「お尻とデリケートゾーンのズレは
ボラギノール(軟膏)がイイ」

、、、などなど、

諸先輩から
多くのアドバイスをもらいました。

■しかし、残念ながら、

2時間前に聞いても、
時すでに遅しと思う自分、

そして、
その真の恐ろしさを

『知らないからこそ
楽観的になる』

という、自分だけは大丈夫、、、

といういわゆる正常性バイアスが、
自らに無意識に起こっていることを
そのときは意識をできませんでした。

「まあ、仕方ないか・・・」

とどこか楽観した気持ちで
参加することとなりました。

(そして、その後、
色々と後悔をするのです、、、)

■大会直前の16時。

ちょっとでも寝ようと、
説明会が終わった16時にホテルに戻り、
16時40分迄寝ます。

そしてバタバタと起き上がって
スタート地点に向かいつつ、
天気予報を改めてみます。



外は、「雨」。

今後の降水確率は100%。

天気予報だと、

”梅雨前線の影響で雨雲が活発化”

”東北地方は、7/15~16は断続的に雨。
北部中心に非常に激しい雨も”

”平年の7月1ヶ月分の雨量を超える可能性も”

と極めて不安なニュースが耳に入っています。

雨の中、2日間走り続けると
肉体にどんな変化があるのか”

など経験したことも、
考えたこともありません。

■ゆえに、

「まあ、なんとかなるでしょ」

と”無知による楽観”を携えつつ
スタート時間が近づいてきました。

すでに完走したことがある
ヒロポンに「今どんな気持ちですか?」
と聞くと、

「なんとも言葉にしづらいですね、、、」

と言いながら

「あえていうと、
先生に呼び出しを食らって
職員室に向かう途中の気分ですかね」

とのこと。

絶対怒られるし、
いいことがないとわかっている。
でもいくしかない、、、、

レース前の心境を文にすると
そんな言葉になるといっていました。

そして、大会を終えた今、
その気持は痛いほど理解できます。。。

そして、できたことは
もっとあったな、と思いました。

■7/15(土)17:00、

雨の中、約140名の選手が
一斉にスタートいたしました。

(つづく)

レースが始まってからは
また明日に続けたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

無知や迷妄は、我らを誤り導く。
哀れな人間たちよ、己が目を開け。

レオナルド・ダ・ヴィンチ
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