メールマガジン バックナンバー

3538号 2023年11月1日

”数字だけ”では、見えないことがある

(本日のお話 2319字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
その他、研修の準備などでした。



さて、本日のお話です。

近頃、組織の現状を「見える化」するために
アンケート調査やインタビュー調査を
行わせて頂く機会が増えています。

(現状進行しているもので約5社。過去最多です)

その中で、ひしと感じたことが

「”数字だけ”では
見えないことがある」

というお話です。

今日はこのお話について、
最近の調査を含めた経験を踏まえて
皆様に共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【”数字だけ”では、見えないことがある】

それでは、どうぞ。

■「介入(研修)をやる前に、
まずは組織の現状を”見える化”しましょう」

内容によりますが、
企業様から相談をいただくときに、
そんな風に始まることも増えてきました。

『診断なくして処方なし』

まさに、王道として考えれば、
その通りであり、

「現状」と「望ましい姿」、
それぞれが明確になるからこそ、

その間にある「ギャップ(問題・課題)」が見えて、
打つべき介入施策も見つかるものです。

■ゆえに、組織における

「診断」の一環として、
組織の調査を行うわけです。

これも色々なやり方があるので、
一概には言えないのですが、

最近、私(紀藤)が関わらせていただく
調査のステップだと

1)「アンケート調査」を行う
(HRMチェックシート、エンゲージメント調査、
オリジナルの調査シートなど)

2)「インタビュー調査」を行う
(アンケートの回答内容について、
より深く突っ込んで1人45分くらい聞く)

という流れが多めです。

■アンケート調査では

”1 全くそう思わない ~ 5 大いにそう思う”

という数字で結果が出ます。

例えば、

処遇・公正感は、平均3.6点だとか
職場の雰囲気は、平均2.9点だとか
上司との関係性は、平均4.1点

などなど。

こうすることで
全体としての傾向が見えます。

・全体的に高い/低い項目はどこだろうか?

・人や年齢、所属部署によって
”ばらつき”が多い項目はどこか?

そんな風に、

「課題の見立て」を行う上でも
役に立つのがアンケート調査です。

■一方、”数字だけ”では
見えないものもあります。

インタビュー調査において
アンケート調査に協力いただいた何人かの方に

”そのスコアを付けた理由を教えてください”

と聞いて、深掘りをします。

そうすると数字だけでは見えなかった
様々な背景が浮かび上がってきます。



例えば、先日お話を伺った

ある女性のへのインタビューでは
こんなことが語られていました。

その方は、

仕事の自律性も、
処遇への満足感も、
職場の関係性も、上司の関係性も、総じて全て高く、

「4 そう思う 5 とてもそう思う(良い)」
とスコアを付けられていました。

しかし、成果に繋がる指標とされる
「ワークエンゲージメント(熱意・没頭・活力)」は

「3 どちらでもない」

となっていました。

そしてこの理由を聞いてみます。

すると、

「今、子供が小さいのです。
仕事が好きなので、ついプライベートを忘れて
”没頭”してしまいがちなのですが、

そうなってしまっては
仮定とのバランスが取れないのでいけないと最近思っていて気をつけるようにしています。
そうした意味で、”3 どちらでもない”にしました」

とのこと。

うーん、これは数字だけでは見えてこない。

「仕事に熱意を感じていますか?」→「3,どちらでもない」

の背景にある様々なモノを感じさせられます。

■あるいは、別の方は

”処遇・公正感”

について、
「2 そう思わない(処遇・公正感があると思わない)」
とつけていました。

その心を聞くと

「昔の方が、処遇が良かった。
今は昔と比べると少し福利厚生が少なくなっている」

とのこと。

しかし、同じ組織の別の方は
「4 そう思う(処遇・公正感があると思う)」

その心を聞くと

「色々があるが、現状の中で
組織は処遇・公正感を高めようとしてくれる
姿勢が見えるから」

とのこと。

同じ質問だったとしても

”過去と比較”して「そう思わない」のか
”取り組み姿勢”から「そう思う」のか、

それぞれが違うメガネでみていることがわかります。

■もちろん、

アンケートの設計で
それらの違いを小さくできるよう
複数の質問を投げかけるなどの工夫は
なされているものか多いと思います。

ただ、人が答える以上、

こうしたものの見方の違いはあって
当然のことですし、

その答えた背景も、
それぞれが違って然るべきもの。

そうした事を考えずに

「全体平均5点だからGOOD」

とするのも、早計なのでしょう。

■大学院の質的研究法の授業で

「質的研究(インタビュー調査など)は
弦楽器みたいなもの」

という説明を聞いて、
なるほどな、と思ったことを思い出します。

鍵盤楽器は、明確に
ド・レ・ミ・・・と音階がわかれています。

しかし、実際のそれらの音は、
ある音の周波数を切り取って
ド・レ・ミ・・・と名付けたわけであり、

ド#、レ#もあるし、
もっといえば、ド#とレの間にも、
様々な周波数の音が連続的に存在しています。

弦楽器は、それらの連続した音を
包含する楽器である、、、

そんなお話だったかと思います。

■数字が与えられたものは、

解釈がしやすく、
1は1、3は3であり結果も明瞭な、
「事実」です。

しかし、その背景には、
”数字では表現できないもの”もある。

このことは認識しておく必要があるし、
それを見に行く姿勢がなければ、
「真実」はわからないのだろう、

そんな風にも思いました。

改めて『星の王子さま』の一節を思い出します。

「大切なものは目に見えないんだよ」。

■”数字だけ”では見えないことがある。

このことは人と組織に関わる上で
しっかりと胸に留めおきたいと思った次第です。

(決して、数字が苦手だから
言い逃れをしているわけではありません。
、、、たぶん。)

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ。

サン=デグジュペリ
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