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650号 2015年10月22日

「信頼の原則」は、伊勢丹 新宿店の”おばさま販売員”から学んだ

(今日のお話 2259文字/読了時間2分半)
■おはようございます。紀藤です。

金曜日は某ブランド様の、
幹部職研修2日目。

「7つの習慣」を体感頂きましたが、
皆様、ご満足いただけたようで何よりでした。

次は、「第8の習慣 リーダーシップ」受講の予定。
(T様、引き続きよろしくお願いいたします)

さて、週末はテニス、
そして買い物でした。

テニススクールの仲間 Mさんと
(70歳超えのお医者様)
ダブルスの試合に出場してきました。

スポーツや共通の趣味は、
全く違う世界の人と縁を紡ぐものだなあ、
と改めて実感。

趣味っていいものですね。

また、土曜日には、
前から検討をしていた”ビジネス鞄”の購入のために、
伊勢丹 新宿店に妻と行ってきました。

そこで、2人の販売員の方から
営業を受けたのですが、

「信頼とは何か」

について考えさせられました。

今日は、その話について
共有したいと思います。

では、どうぞ。

■少し前から、
”しゃんとした仕事用の鞄”が欲しいなあ、
と思っていました。

現在、私は、
研修をお客様に提供しています。

そして、私が提供する商品の強みは、
プログラムの”質の高さ”。

手前味噌ながら、

高品質な映像、研修素材のこだわり、
ワークの意味、

自分の会社ながら、
調べれば調べるほど、
知れば知るほど、
人と労力とお金を、膨大に投資してきたことを
感じてしまいます。

だからこそ、
そんな商品をご紹介させていただく自分自身も、

相応にふさわしい、
身なり、立ち居振る舞いをすべきでは

そんなことを、
いつからか感じ始めていました。


■そんな背景もあり、
鞄を買おうと、伊勢丹 新宿店へ。

世界各国、多種多様な鞄ブランドが、
フロア全体に並べられています。

そして私が商品を見ていると、
店員さんが近づいてきます。

1人目は、若い男性の方。
恐らく30前後。

色々と案内をしてきます。

「その商品は、イタリアで作られて、
 デザインが美しく、人気なのですよ」
「こちらの商品は、防水加工が施されていて、
 ラフに扱っても型崩れがしづらいですよ」
「あとこちらは、お値段も手ごろですし、
 伊勢丹でもロングセラーです」

と、こんな感じ。

しかし、心動かされず。

「そうなんですね」と
一応、愛想よく聞きますが、何でしょうか。

いまいちしっくりきません。


■少し時間をおいて、
また見にきてみました。

すると、
今度は別の方がやってきました。

2人目は、
60歳を過ぎたくらいの
小柄のおばさん。

上品、というよりも
母のような雰囲気の方です。

八百屋にいても、おかしくない感じ。

私達が商品を見ていると
話しかけてきます。

しかし、
前の若い男性の店員さんと
話の進め方が全然違うのです。

機能の話は、一切しません。

こんな感じです。

「鞄って、大事ですよね。。。

 最近は、見た目だけで選ぶ人が多くなった。
 でも、本当は違うと思うんです。」

「ビジネスで使う鞄は、
 ”それで食べていく”という
 志を表すものでもあります。

 だから、
 どんな自分でありたいか、
 どんな仕事をしていきたいか、
 10年先まで考えることも大事です。」

「鞄と共に成長して、
 ”その人の、人となり”が伝わるような、
 そんな存在になれる鞄を選ぶことが
 大事だと思うんです。」

「最近、若い女の子を連れて、
 「これカワイイ!」と言われて、
 相方の男性が自分の鞄を決めるシーンも見ます。

 お客様のお考えが大切ですので、
 もちろん希望に沿ったご提案をしますが、
 正直、ちょっと残念です。」

もう、商品の話というより
彼女の「鞄・哲学」の話。

それに加えて、
かなりマニアックな情報、

例えば、

・鞄工場の職人不足の問題
・なめし革工法にかかる設備のお金
・鞄の縫い目や取っ手の良し悪しの身分け方
・どのブランドにどんな職人がいるのか
・鞄の質の違いと年齢の相性

などなどプロを感じさせるお話。

鞄を13年間大切にしてきたビジネスマンの話や、
お客様とのいくつもの繋がりなど、
沢山のエピソードを聞かせてくれました。


■「だから、つい口うるさいおばさんみたいになっちゃって、
 ごめんなさいね(笑)」

そう言われながらも、
そんな興味深い話に聞き入って
しまいました。

そして私の心の中でも、

「こういう鞄が欲しい」

という像が明確になってきて、

結果的に、
おばさんが語って聞かせてくれた、
革製の一つの鞄を買う事に決めました。


■この2人の店員の違いは、
何だったのでしょうか。

それを考えたときに、
おば様店員さんの圧倒的な違いは、

「仕事の姿勢」

にあったのではないか、

そう思ったのです。

まず、彼女は、
自分の仕事にポリシーがありました。

「鞄」とはこうあるもの、
という深い哲学と誇りを持っていて、

そして、お客様に、
「鞄を通じて豊かになってほしい」という、
強い想いを感じさせる人でした。

かつ、それに伴う、
表面的でない深い知識がありました。

自分の経験に基づき、
目で見て知った、確かなものだった。

そんな彼女の

「誠実さ」
「意図」
「力量」

などを感じ、私は
「この鞄だったら、お金を払いたい」
そんな気持ちにさせられた

そう思うのです。


■もちろん、
セールスの一つのスキルだろう、
と言ってしまえばそれまでです。

ですが、お客様も馬鹿ではありません。

・その店員さんが真にその商品を愛しているか、
・仕事にどういう姿勢で取り組んでいるのか
・本気のプロ意識を持っているか

そんな見えづらい
誠実さ、意図、力量
などを何となく感じ、

「相手の言うことを信頼するかどうか」
(そして、信頼して買うかどうか)

を判断しているのではないでしょうか。

表面的な知識だけ装填して、
上手く見せようとしても、
本質は伝わってしまうもの。

そして、それは店員だけでなく、
上司部下の関係、同僚同士、
あらゆる人間関係に当てはまるのでしょう。

目に見えない姿勢こそ、
大切にしたいものです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今日も皆様にとって素晴らしい1日になりますように。

【本日の名言】 自信を持て、自信がないから
君の仕事には迫力も粘りも、
そして厚みすらない。

吉田秀雄

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