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3668号 2024年3月11日

フィードバックのつもりの「おせっかいなアドバイス」が生まれる理由

(本日のお話 2350字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日日曜日は6kmのランニング。
また息子と「地下鉄博物館」に行ってきました。
地下鉄の歴史や作り方もわかって、勉強になりました。



さて、本日のお話です。

今月号の「ハーバード・ビジネス・レビュー」に興味深い記事が載っていました。テーマは、「フィードバックのつもりのおせっかいなアドバイス」についてです。

タイトルは、


【フィードバックのつもりの「おせっかいなアドバイス」が生まれる理由】


それでは、どうぞ。



■ある女性のエピソード
あるマーケティング部門のバイスプレジデントを務めるある女性(カサンドラ)の事例。彼女はある全社会議で2つのプレゼンをすることになっていた。1つ目のプレゼンテーションで9ヶ月間取り組んだ成果を発表し終え、個人的に大成功だったという感触を感じていた。
 そして2つ目のプレゼンテーションまでの間、同僚のマイルズ(男性)と談話をしていた際に「あなたのプレゼンは9割がた完璧でしたね。ただ、少し早口すぎて、緊張しているように聞こえました。あと、マイクを口に近づけすぎたせいか、声がいくらか甲高くきこえました」と、フィードバックをもらった。
 そのの内容は実行可能で、次のプレゼンに活かせるものだとも思えたが、カサンドラは自信を取り上げられた気がした。自分が成し遂げたことに喜びを感じていたのに、今は未熟な子どものような気持ちになってしまった。

※参考・引用:フィードバックと多様性:従業員の本音を引き出し、組織に活かす

というエピソードです。

■善意のフィードバックが「おせっかいなアドバイス」になってしまうとき
自分で「やりきった!」と思って、自信を得て、さあ次も行こう!となっていたときに、同僚からのアドバイスで冷水をかけられたような気分になった、というお話です。ポイントは、フィードバックをしたマイルズは善意であったということ。


この話を読みながら、私も同じようなことあるい当たるフシがあるなあ、と思い返していました。それは、あるチャレンジフルな研修を行った後、サポートしてくれた仲間からフィードバックをもらったときのこと。

「全般的に良かったと思います。ただ、◯◯の説明が冗長だったのと、XXXの解説は少し違っていたこと、また△△についてはもう少し時間を書けたほうが良かったとも思いました」

そのとき、大人な自分は「フィードバックありがたい」と思おうとしました。しかしできなかったのです。正直、全力で自分の出来得る限りを出し切ったその時の状態では「なんとかやりきった!」という気持ちに今は浸りたかった。そして、このタイミングで一方的に言わないでほしかった・・・というのが本音なのでした。子どもかもしれませがそれが本音だったのです。

ちなみに、その仲間は「めちゃくちゃ善意だった」「自分の成長と場を更に良くすることを願っていた」ことがポイント。なのに、受け取る側感覚としては「おせっかいなアドバイス」に感じられた可能性がある、というのがミソです。(私の器が小さい可能性も大ですが)


■フィードバックを提供する側は「パワー」を持つ
なぜ、こうしたことが起こってしまうのでしょうか?

それにはいくつも理由がありますが、一つある研究による「アドバイスを与えるという行為によって、”人はより力がついた”と感じる」という結果が影響しているかもしれません。それが職場におけるマジョリティ(男性)から、マイノリティ(女性)だとその「パワー」は更に増大する可能性もあるそうです。

これ、たしかに分かる気がするのです。アドバイスやフィードバックを提供する側は、力を得たような感覚に時としてなる。偉くもないのに伝えるほうが上に立った感覚が生まれます。だからこそ、フィードバックを提供する側は、パワーを持っていることを自覚し、気をつけなければならない、とも言えます。


■おせっかいにならない「フィードバックの3つのA」
では、どうすれば「フィードバックのパワーダイナミクス」のバランスを保ちながら、アドバイスを相手に伝わるように届けられるのでしょうか?
本記事では、以下の「3つA」を提案しています。

◯Assist(支援を意図する)
フィードバックは支援を意図したものであること。
常に相手の成功を助けるという純粋な意図の元に提供されるべきである。
自分が言いたいことを言ってスッキリするために伝えるものではない。

◯Actionable(実行可能である)
フィードバックは実行可能なものであること。
相手が何を改善できるかを極めて明確に示す必要がある。
それが示せないのであれば、自分の胸に留めておくべきである。

◯Ask(「自分にもフィードバックがほしい」と頼む)
自分が相手にフィードバックを伝える前に「自分にフィードバックを提供してほしい、と相手に頼む(ask)こと」。相手にアドバイスを与える前に、自分の仕事に関する意見を求めることで、相手にパワーをもたせることができる。その後に自分のアドバイスを提供することで、相手に伝わりやすくなる。

なるほど、特に見落としがちですが「Ask」は大事だな、と思いました。

■まとめと個人的感想
個人的な学びとしては「フィードバックの3つのA」のうち「Ask」が特に使える!と思いました。

実は、私も夫婦で思い当たるフシがあります。全くこの通りではないのですが、たとえば、私が妻に「引き出しは開けたら、最後までキチンとしめてほしい(中途半端に開いていると気になる)」とリクエストするとき。その際に妻は私に「あなたも、ペットボトルは自分で捨ててほしい」とリクエスト返しをするのです。

でも、お互いストレス内容に暮らしていきたいという点で合意を取った上であれば、「意外とお互いがリクエストし合うことで、バランスが保てる」と感じ、相手を責める雰囲気にならずに、要望を伝えられるように思ったのです(と、私は思っている。妻はわかりません・・・)

もちろん、すべてのシーンで「Ask」が必要なわけではないのですが、こうした選択肢のカードも持っておくと、「おせっかいなアドバイス」ではなく「善意のフィードバック」として受け取ってもらえるのだろう、そんなことを思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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<本日の名言>

私は声をあげて称賛し、声を和らげてとがめる。

エカチェリーナ二世
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