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4050号 2025年3月28日

日常のストレスに対応する力「エゴ・レジリエンス」 ー読書レビュー『非認知能力』#16

(本日のお話 1365字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は朝から10kmのランニング。
その他、2件のアポイントでした。
春からの大学の授業での、学生スタッフさんとの打ち合わせなど。
また夜は、大学院に合格した仲間との、お祝いのお食事会でした。

重ねてですが、昨日のメルマガで来年出版する強み本の調査である
「強みのインタビュー」にご協力いただけるとメッセージいただきました皆様、ありがとうございました!
おってご返信いたしますので、少々お待ち下さいませ。
(引き続き、募集しておりますので、よろしければぜひ、ご協力くださいませ!)



さて、本日のお話です。

先日より「非認知能力」について学べる専門書をご紹介しています。
引き続き、本日も読み解いてまいります。

本日取り上げる非認知能力は、”日常生活のストレスに柔軟に対応する力”である『エゴ・レジリエンス』です。それでは、早速まいりましょう!

■エゴ・レジリエンスとは

さて「レジリエンス」は”困難な状況からの回復力”とされます。
丸いボールを凹ませても、元に戻るような、あんなイメージ。よって、弾力、反発力、などとも呼ばれます。

「レジリエンス」は、「逆境・脅威となる状況」の意味を持ちます。
その中で「エゴ・レジリエンス」は「”日常生活”におけるストレスへの対処」という点にフォーカスをしているのが特徴です。

また、やや専門的ですが、エゴ・レジリエンスを説明する上で「自己抑制」と「自己開放」のバランスという考えが紹介されます。(この両者の切り替えが上手なことを「”境界透過度”の程度が高い」と呼ぶそう)

たとえば、エゴ・レジリエンスが高い学生の例です。「遊びたい、でも勉強しなきゃ、試験勉強を我慢してやろう(自己抑制)」→「終わったからパーッと遊ぶぞ!(自己開放)」の切り替えが上手というイメージ。このモードの切替が上手なので、ストレスにうまく対処できます。

■エゴ・レジリエンスを測定する尺度

さて、エゴ・レジリエンスは、どのように測定できるのでしょうか。
これには、14項目の尺度が開発されています。以下3つの要素が含まれています。

――――――――――――――――――――――――――――
<エゴ・レジリエンスの要素>
・柔軟性(例:友人に対して寛大である)
・好奇心(例:日々の生活の中で面白いと感じることが多い)
・立ち直り力(例:ショックを受けることがあってもすぐに立ち直る)
――――――――――――――――――――――――――――

■エゴ・レジリエンスの研究からわかったこと
これまでのエゴ・レジリエンスの研究で、以下のようなことがわかっています。

・生後18ヶ月時点で母親への愛着が安定していた子どもは、4~5歳児になってからのエゴ・レジリエンス得点が高い傾向がある(Arend et al., 1979)

・児童期を対象にした研究で、エゴ・レジリエンスが高い子どもほど「友人への共感性が高く、社会的にも望ましい行動をとっている」ことが明らかになった(Eisenberg et al., 2003)

・幼少期からの母親の「ほめるしつけ」がエゴ・レジリエンスを高める。その結果、エゴ・レジリエンスが青年期の無気力感を軽減させる(小野寺, 2009)

・成人期では、エゴ・レジリエンスが高いほど、「心理的幸福感」が高く、夫婦関係および身体的健康が良好である傾向があった(Klohnen et al., 1996)

■まとめと感想

本章では、「エゴ・レジリエンスとポジティブ感情はセットである」という話も紹介されていました。このあたりは、先日も紹介した「拡大ー形成理論」(ポジティブな感情を持つと、人間関係やアイデアなどが広がりやすい)という話も相関しているとのことです。

いずれにせよ、「幼少期の愛着」などが非認知能力の肝になっていることを改めて感じる章でもありました。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。

<noteの記事はこちら>

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