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4071号 2025年4月18日

「ストリートピアノ行脚」がくれた学び:失敗に向き合う10日間

(本日のお話 2053字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

さて、私事ですが、「ピアノの発表会」まで、あと10日となりました。

自分史上一番難しい「ラ・カンパネラ」という曲に挑戦するのですが、現時点で不安しかありません。
正直なところ、その時の事を考えると、どんな仕事よりも緊張します。そして、自分から申し込んでおきながら非常に憂鬱です。

「なんでこんなに憂鬱なのか?」を考えると、なんだかんだ一生懸命練習してきているから。適当にやっていることには、憂鬱になりません。仕事でも勉強でもなんでも、真剣にやっていることは憂鬱です。
それは自分への期待があるからです。だからその対極の不安(憂鬱)が色濃く見えてくる。光を望むから、影も大きく感じられるように思います。

ということで、今日はこのピアノからの学びと気づきを、書いてみたいと思います。
よろしければ、お付き合いくださいませ。

それでは、どうぞ!

■絶対ムリと思っても、繰り返せば形になる

2年前に「ラ・カンパネラ」の楽譜を買いました。
はじめて見て、弾いてみたときは、「絶対無理」と思いました。その当たり前のようにやってくる「跳躍(手が大きくジャンプする)の連続に、手がまったくついて来ませんでした。

なので、一旦放置して昨年『愛の夢』という同じリストが作曲した曲をやりました。そこで「跳躍」に少しだけ慣れて、1年前にもう一度挑戦しようと思いました。
最初は全くできませんでした。それでも1年間、毎日ちょっとずつ弾きました。すると、少しずつ手が馴染んでいきます。だんだん曲の輪郭が見えてきました。

ちなみに「カンパネラ=鐘」という意味で、「美しい鐘のような音」を奏でる音がことが重要です。しかし、錆びついた鐘のような音、あるいは割れた鐘をぶったたいたみたいな音しかしません。

そんな自分の状況に辟易しながらも、少しずつ少しずつ修正していく、そんな日々が繰り返されました。

発表会の2週間前のピアノレッスンで、初めて先生から「前半部分は曲としてのまとまりが出てきましたね!」と言って頂きました(ちなみに前半部分だけ)。

でも、あと10日。発表会はやってきます。

■ストリートピアノで「本番の疑似体験」をする

完成を待っても完成すること、たぶんありません。
美しい音を追求する、無限の旅が曲を完成させることだとすると、その道程はあまりにも自分には遠すぎるからです。

なので、今のレベルでも、これはこれで受け入れて、「人前で、緊張の中で弾く」ということを体験する必要があると感じました。毎年の発表会前の「ストリートピアノ行脚の旅」です。

そして昨日、仕事終わりに「渋谷のマークシティにあるストリートピアノ」に立ち寄り、人混みの喧騒の中で弾いてみよう、と思いました。

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STREET PIANO | 渋谷マークシティ | SHIBUYA MARK CITY
渋谷マークシティでは、音楽の力で渋谷を盛り上げたいという想いから、誰もが自由に弾けるストリートピアノを設置いたしました。
www.s-markcity.co.jp
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ストピでかっこよく弾く人はゴロゴロいますが、あんなふうには弾けません。正直、こんな未完成な状況で人前で弾くというのは恥ずかしいです。

「ああ、きっとミスするんだろうな」と自分でも思いながら弾くのは、抵抗がありました。それでも、ここで人前で弾くという経験をしておかないと、発表会で焦って、崩壊する可能性がある。なので、心理的にも鳴らしておく必要があるな、と思うのでした。

そして、いざ皆の前で弾きはじめてみたところ、案の定、周りの声が気になり、その都度集中力が途切れてしまい、激しいミスが続くということが起こりました。ミスに気づき、さらに焦って、ミスする負の連鎖。

最後の盛り上がっていくパートでは、むしろ盛り下がる感じで終了。
チーン、という感じでした。(でも、近くにいたおばあちゃんとお兄さんが、パチパチパチとささやかな拍手をしてくれたのが救いでした)

■「緊張」は、やっぱり実践でしか学べない

「人前で弾くと本当にこんなに緊張するのか」と改めて実感し、もっと場数を踏まなければと思いました。時間が少しあったので、そのまま隣駅の下北沢に井の頭線で移動して「しもきたまちピアノ」でも弾いてみることにしました。

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シモキタまちピアノ|下北沢 – しもきた商店街振興組合
シモキタまちピアノのご案内。「そぞろ歩き」が楽しめ賑わいのある街:しもきた商店街振興組合
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そちらのピアノはカワイのピアノで、やや軽めの鍵盤。弾いた瞬間に、音の響きなどが違うことに気づきます。ピアノの難しいのは、ピアノの個体ごとにタッチ感や音色が違っており、それに合わせて弾くということです。なので、いろんなピアノで弾きなれることも大事です。

弾き始めると、やはり近くで話している人や誰かの視線を感じるような気がして、そこでもやはり集中力が途切れます。

結局、渋谷で弾いたときも、下北沢で弾いたときも、「しっかり弾けていない部分がミスとして現れてくる」ことがわかりました。曖昧な部分は、緊張下ではミスになるのです。

■経験から学んだ2つのこと

この一連の経験から、思ったことが2つあります。

1つ目が、「失敗を重ねておくことで、少しでも緊張を和らげることができる」ことです。今回、発表会とは違う状況ですが、「人の目にさらされる(誰も聴いていなかったとしても)」という、本番に近い状況を想定して、自分をその場に置くということは、技術的な練習を超えた物があるように思ったのでした。

2つ目が、「練習でできたことしか本番ではできない」ということです。練習でなんとなく雰囲気で弾けていたとしても、曖昧な点が少しでもあれば、ちょっとした緊張や外的環境の変化で崩れることを痛感しました。

リラックスした状況で弾けてもそれは「本当の実力」ではないのです。

緊張した状況、環境が不安定な場面、それでも無意識でパフォーマンスできることが「本当の実力」です。思っていたことの7割くらいしか自分の実力がないと、今回気づかされました。このことに発表会10日前に気づけてよかったなと思っています。

“ベースラインの力”こそが、自分の実力なのだと自覚し、改めて練習を重ねることの重要性を感じました。

■まとめと感想

最後に、この積み重ねの先に何があるのかと問われたら、正直わかりません。完成することがないかもしれません。でも完成を目指して磨いていくプロセスを歩めることが何より贅沢だし、幸福なことだな、と思います。

あと10日。後悔なきよう、頑張りたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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