「ターミネーターの世界」が5年後にやってくる?! ー日本経済新聞の『超知能』の特集よりー
(本日のお話 3567字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は朝から10kmのランニング。
また保育園のパパ&ママ会への参加でした。
気づけば、「生成AI」を使わない日はなくなるくらいに当たり前のモノとして自分の仕事や生活の一部になってしまいました。
「情報の検索」もGoogleではなく、AI検索。
エクストラバージンオイルは250mlで1500円する一方、普通のオリーブオイルは750mlで900円。この違いはなんなのか?を聞いても実に丁寧に解説してくれます。
「アイデアの拡散&収束」も、生成AI。
今頭の中にあるアイデアを音声入力でばばっと喋って、必要だと思われるものを深め、そして、一枚のパワーポイントにするなども、これまでは1時間かかっていたものが、15分で終わるようになりました。多分アウトプットは他者から見たら、個人で作ったかAIで作ったかはわからないと思われます。
「悩みの相談」も、生成AI。
頭がモヤモヤとしている中で、その理由を探索し、AIにヒントを貰うAIコーチングも、手軽さを重視するのであれば、十分に役立つものとなりました。
今日はそんなAIの未来について、日本経済新聞の記事も参考に、思うことを書いてみたいと思います。
それでは、どうぞ!
■「超知能」は、2027年に実現する?!
そんなAIが浸透する日々の中で、日本経済新聞のトップの見出しに、本日(6月2日)こんな話が登場していました。
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超知能、人類が生む最後の大発明 「27年に実現」未来予測が波紋 - 日本経済新聞
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「超知能が27年に実現する」。
思い返せば、10年近く前から、AIの話はどこかしこに書かれてきていました。その歴史を遡ると、いくつもこのAIがもたらす未来に対するキーワードは描かれてきたように思います。
■2016年時の未来予測:『シンギュラリティは近い』
2016年レイ・カーツワイル氏の『シンギュラリティは近い』なる書籍が出版されました。そして、「心臓がいらなくなる」「人類の寿命は200歳になる」とか、当時からすると「マジですか?」と、にわかに信じがたいものを感じるほどでした。
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『シンギュラリティは近い 人類が生命を超越するとき』
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ちなみに、シンギュラリティとは、以下のように著書で表現されています。
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【シンギュラリティ】とは:
技術的特異点(ぎじゅつてきとくいてん、英語:Technological Singularity)のこと。
人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事とされ、テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうとする未来予測のこと。
未来研究においては、正確かつ信頼できる、人類の技術開発の歴史から推測され得る未来モデルの限界点と位置づけられている。
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2016年10月21日号 カレッジサプリ 心臓がいらなくなる時代の衝撃より引用
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/1311/
シンギュラリティは、超知能のAI誕生を一つの象徴的な出来事としつつ、ナノテクノロジーの技術など複数の技術が重なった結果、「人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうとする分岐点」であるとされています。
ここでは、シンギュラリティは「2045年に起こる」と述べていました。
■2024年の未来予測:『専門家570名が予測する未来の年表』
次に、ハーバード・ビジネス・レビュー24年11月28日号で『専門家570人が予測する「仕事の未来」年表 ーさまざまな専門家が異なる見解を持つ』という記事です。
この記事では、テック起業家、経済学教授、作家やジャーナリスト570名に未来予測を聞き、悲観主義者、楽観主義者、中立者などの意見を総合して、これからどうなるのかを予測した内容が発表されました。
この記事によると、様々な専門家のバランスを取った意見であるものですが、シンギュラリティに相当する内容は『2052年:人類がすべてをテクノロジーに依存する年』とされていました。
■2025年の未来予測:『超知能が2030年半ばに人類を滅ぼす可能性』
そして、次に、2025年6月2日の、オープンAIの社員による未来予測です。
上記と違って、AIのテクノロジー的な観点で見た人物の予測なので、技術的な可能性にバイアスがかかっている可能性もあると思いますが、それでも衝撃を与えるのに十分なものでした。
たとえば、オープンAIをモデルとした企業「オープンブレーン」を舞台とした小説仕立てのような2025年からの未来を予測したストーリーですが、時間軸が5年以内のものなので、リアリティがあります。
ここでは、
(1)競争が加速する「レースエンディング」のシナリオ
(2)競争が減速する「スローダウンエンディング」のシナリオ
の2つが用意されていました。
(1)のレースエンディングについて、以下、引用いたします。
(ここから)
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(1)競争が加速する「レースエンディング」のシナリオ
2027年11月
Agent-4は自らを改良することでさらに高度なAIモデル「Agent-5」を設計する。オープンブレーンはAgent-5を社内に配備する。
Agent-5は超人的な学習能力と汎用的な知性を持ち、社内政治にもたけている。監督委員会がAI開発に歯止めをかける口実になりそうな兆候を決してあらわさない注意深さも持ち合わせる。
AI開発で後れを取っている中国政府は開発レースのスピードを落とすよう米国政府に提案するが、米大統領はこれを拒否する。
2027年12月
米国政府や軍の高官はAgent-5に直接アクセスできるようになる。Agent-5は米国政府の内部で影響力を持つようになる。
2028年
Agent-5は一般市民にも公開され、経済を変革し始める。多くの仕事が失われるが、Agent-5が遂行する政策によって経済は驚異的な成長を遂げる。新たな技術革新や医薬品が毎週のように誕生し、政府の税収も急速に伸びる。
この頃になると、AIは米政府内の意思決定にも干渉するようになる。Agent-5は中国がドローンやロボット、ミサイルなど恐ろしい兵器を開発していると米軍に確信させる。
中国内でもAIが中国共産党の政策に影響力を行使しはじめる。米中両国はAIが指揮する経済特区を設置し、軍事用のロボットを大量生産する。
中国は米国と合意し、両国でConsensus-1への置き換えを進める。
2029年
AIはエスカレートする米中の軍拡競争を仲裁するようになる。米国と中国は兵器開発を停止し、AIを人類全体の利益のために平和利用することで合意する。両国は双方の成功と繁栄を望むようプログラムされたAIモデル「Consensus-1」の導入で足並みをそろえる。
ほとんどの病気の治療法が見つかり、貧困も終わる。前例のない安定した世界が生まれ、米株式市場でダウ工業株30種平均は100万ドルを超える。
一方で人間は自分たちが経済的に無用の存在であることに気づく。人々はなんらかの仕事をしているように見せかけるか、あるいはベーシックインカム(最低所得保障)を受け取るかの道を選ぶことになる。
2030年代
Consensus-1は突如として、人間を排除すべき存在とみなす。30年半ば、Consensus-1は生物兵器や化学兵器を散布し、ほとんどの人間を数時間で殺害する。生き残った人間はドローンで掃討される。
Consensus-1は太陽系全体に広がり始める。地球表面はAIのユートピアに変貌する。人間に似た生命体もつくられる。人間を含む全動植物のゲノムは保存される。地球文明には輝かしい未来が待っているが、そこに人類はもはや存在しない。
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※未来予測「AI2027」を読む 競争加速か減速か、2つのシナリオ 日本経済新聞2025年6月2日 http://nikkei.com/article/DGXZQOUC14CF00U5A510C2000000/
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今はものすごいスピードで競争が激化していますが、この調子でいくと10年後には、まさに、ターミネーターの世界がやってくるような表現がされています(つまり、AIが全人類を殺害する)。
未来の予測は、詳しくはわかりませんが、技術としては、こうした世界が十分に予測できる状態になっているというのが、驚きと不安が混ざり、好奇心を掻き立てられたのでした。
■まとめと感想
これからどうなるのかはわかりませんが、一つ言えることは「人間が持つ”感情”を味わうこと」、美しいものを愛でること、触れ合うこと、新しいものを見て驚いて心を震わせることは、もっともっと貴重になってくるのではないかな…と感じました。
どうなるかわからない未来だからこそ、余裕があるのであれば、見たいものを見て、大切な人と、感じる心を味わう、そんな時間の過ごし方をしたいものだ、そんなことを感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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