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4171号 2025年7月27日

今週の一冊『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

(本日のお話 1751字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

引き続き、沖縄に来ております。
昨日土曜日は、執筆&読書。
また子どもとのお出かけ等でした。

最近、ランニング熱を再燃しようとしていますが、
ふと思えば、自己ベストを出したのは7年前の2018年でした。

当時は、月間走行距離が60kmとかでも、
ややハードな練習をいれるだけでみるみるタイムがあがっていきました。

しかし、今は年齢を重ねている分、そうもいきません。
全体的な練習量を増やし、いつもより身体に鞭打つことで、
ようやくタイムも上がるのだろう、と思います。
それも含めて、自分と改めて向き合っていきたいと思っております。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は最近読んだ本の中から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。
今週の一冊はこちらです。

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『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上』

アンディ ウィアー (著), 小野田 和子 (翻訳)
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友人がたまたまX(旧Twitter)で「なにこれ、めちゃくちゃ面白いんだけど…!」と投稿していたのを見て、ちらりと調べてみました。
どうやらSF系の小説で、2026年に映画化もされるとのこと。

個人的に『インターステラー』や『アルマゲドン』のような、地球の危機を描く映画が大好きです。
「これはどんな本なのだろう」と思い、久しぶりにゆるりとした小説を手に取ってみたのでした。
(なので、今回は人材開発の本でも、組織開発の本でも、哲学の本でも、ビジネス書でもありません。あしからず…!)

しかしながら読んでみると、面白いのはもちろんのこと、知識としても、文章としても感銘を受ける要素が多く、夜中に目が覚めては続きを読みたくなってしまうほどでした。

結果として不規則な生活になってしまうような一冊でした。
ということで、早速中身を紹介いたします。

■本書のあらすじ

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、『火星の人(The Martian)』で知られるアンディ・ウィアーによるSF長編小説です。

海外では「2021年ベストSF小説のひとつ」として高く評価され、ニューヨーク・タイムズのベストセラーにもランクインしました。

物語は、記憶を失って目覚めた一人の男を中心に展開します。彼が目を覚ました場所は、なんと宇宙船の中。そして次第に明らかになるのは、彼の任務が「人類を救うミッション」であるということ。

主人公は、科学的知識と冷静な思考を頼りに、自分が何者で、なぜここにいるのかを少しずつ思い出していきます。

よくある「環境破壊・宇宙線・エイリアン・放射線」などによる人類の危機に、ドリームチームが結成され、団結して宇宙へ旅立ち、敵と戦う――という王道ストーリーではありません。

この作品では、記憶を失った主人公が、「何が何だかわからない」中で少しずつ状況を理解していくという展開が新鮮で、しかも序盤から仲間はすでに死亡しており、自分ひとりしかいないという状況設定も非常に引き込まれました。

そして物語の途中で出会う“ある仲間”とともにプロジェクトを進めていく展開へ。これがまた、非常に奇想天外。確かに「ありそうでなかった」設定で、「これぞSFだなあ」と感じさせられる展開に、どんどん引き込まれていきました。

■本書のオススメポイント

私が本書の中で特におすすめしたいと思ったのは、
「科学的リアリズム」が随所にある点です。

少しだけ内容に触れてしまいますが、人類滅亡の危機として描かれるのは、“太陽のエネルギーを奪ってしまう単細胞生物”の発見から物語が始まります。

この、太陽の膨大なエネルギーを吸収する単細胞生物がどのように構成されているのか。分子生物学や物理学の専門用語――ニュートリノ、原子、陽子などなど…を交えながら、物語の背景が丁寧に描かれます。

細かな部分は理解しきれなくても、「理系の人はこんなふうに世界を見ているのか」「研究が好きな人の頭の中はこうなっているのか」「科学者ってこういう生き物なんだな」と、物語の中で擬似的にその世界を体験する感覚がありました。

さらに印象的だったのは、「言葉の持つ可能性」です。
翻訳された作品であるにもかかわらず、宇宙船の中の様子や、物質がどのように生成されるのかといった描写が、非常に鮮やかにイメージできました。これほどまでに言葉が空間を描写できるのか、と感動すら覚えました。

加えて、物語全体がシリアスすぎず、ところどころに散りばめられたユーモアも魅力的です。この絶妙なバランスが、作品のエンターテインメント性をぐっと高めていると感じました。

■まとめ

実はまだ途中なのですが、すでに「とにかく面白くて、続きが気になって仕方がない」状態です。普段、ビジネス書や自己啓発系ばかりを読んでいると、こうした心を揺さぶられる体験から遠ざかってしまいがちですが、本作はまさにそんな感情の振れ幅を久しぶりに思い出させてくれました。

SF好きな方には特におすすめの一冊です。2026年には映画も公開予定とのことなので、よろしければそちらもぜひチェックしてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。

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