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4360号 2026年2月1日

今週の一冊『Conflict(コンフリクト) ―関係性の4つのフェーズを見極め、あらゆる対立の場に変容をもたらす』

(本日のお話 2654字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

先日土曜日は、18kmのランニング。
その後、家族での買い物などでした。

…なんと、約10年ぶりに「テレビ」を購入しました。
(ずっと、家にテレビがなかった)

なんだか、昭和の家庭みたいですが。
朝ニュースとか、ゴールデンタイムの番組とか、
Netflixとかテレビで見られるのが、とても楽しみです。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、最近読んだ一冊の中からご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。

テーマは「対立(コンフリクト)」です。

まず、読んでみた率直な感想。
それは、「人は、思考や感情の背景にある『物語』を背負って対立している。そう気づいた時、目の前の敵が違う姿に見えてくる」ということでした。

本書については、立教大学の読書勉強会で、翻訳者である松村憲さん、松井美歩さんらをゲストに招き、10数人で1日をかけて探求しました。
672ページという大著ですが、多くの方の視点から、考えさせられる時間でした。

さて、著者のアーノルド・ミンデル博士は、人の関係性や対立に変容をもたらす「プロセスワーク」という考え方を提唱した第一人者です。

私も、以前学んだシステムコーチングを通じて、この方のプロセスワークという考え方を知り、その世界観に驚かされました。
人は、思考や感情をもっと超えた、歴史や文化、ジェンダー、様々な物語を背負っている。

その、長く続く物語を理解し合い、時空を超えたシステムとして、ずっと大きな枠組みで捉えようとした時に、新しい関係性が生まれる…そんなことを改めて考えさせられました(よくわからないかと思いますので、そのお話は本編にて…)

今日はそんなお話を含めて、著書の内容のポイントと、読んでみた感想をお伝えさせていただければと思います。

それでは、どうぞ!

■今週の一冊
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『Conflict(コンフリクト) ―関係性の4つのフェーズを見極め、あらゆる対立の場に変容をもたらす』

著者名:アーノルド・ミンデル (著), 松村憲 (翻訳), 松井美歩 (翻訳)
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■本書の概要

「対立」に潜むのは、理解し合いたいという叫びであるーー。

本書は、人々の対立に変容をもたらし、新たな関係性を築くための手法「プロセスワーク」の集大成とされています。
個人・組織・社会の多層的なリアリティに着目し、自他の抑圧されていた声を呼び起こすアプローチを提案。
世界中の政治リーダーやファシリテーターに大きな影響を与え続けてきたミンデル博士が、現代の我々が直面する「どうすれば対立を解決できるのか」という疑問に、新たな視座を与える書籍となっています。

以下、私なりの理解ですが、本書の核となるプロセスワークは、以下の3点を重視しています。

・⑴問題となっている対立そのものだけでなく、「ファシリテーター自身や当事者の内面の葛藤をワークすることで深い変容をもたらす」こと。
・⑵対立を否定せず、変わり続ける関係性の一部として受け入れ、持続的な関係性を築く方法を見出すこと。
・⑶感情や感覚といった意識の深いレベルを扱い、周縁化された声を重視する「ディープ・デモクラシー(深層民主主義)」を実践すること。

また、最新のコンセプトである「フェーズ理論」を用いることで、関係性のフェーズを見極め、効果的な介入を行う方法が豊富な事例とともに解説されています。

■本書で注目したいキーワード

本書を読み解く上で欠かせない、キーワードを中心にポイントを整理します。

◯ディープ・デモクラシー(DD)とは
従来の民主主義の限界は、それが主に「権力」に基づいており、「アウェアネス(気づき)」に基づかない点にあると著者は指摘します。
権力に基づく民主主義はさらなる対立を生みます。そこで提唱されるのがディープ・デモクラシーです。
これは権力に対するアウェアネスを持ち、より深いレベルでの体験を共有することを目指します。

◯3つのアウェアネスレベル

ディープ・デモクラシーは、以下の3つの多層的なレベルで構成されています。

・合意的現実(CR):表層。共有された現実。「あなたはあなた、私は私」という分離した世界。
・ドリームランド(DL):夢や微細なシグナル(声のトーン等)が見られるレベル。組織の深いビジョンはここにあります。
・エッセンス・レベル(E):言葉になる前の微細な感覚やスピリットのような領域。

◯関係性の4つのフェーズ

私たちの関係性は季節のように移り変わります。

・フェーズ1:楽しもう!ハネムーン。問題を避けて楽しむ時期。
・フェーズ2:緊張と対立。怒りや壁ができる時期。社会変革のエネルギーでもあります。
・フェーズ3:ロールスイッチ。相手の役割と自分を入れ替え、壁を乗り越える時期。
・フェーズ4:デタッチメント。リラックスし、宇宙的な大きな流れに自分を委ねる時期。

どのフェーズが優れているわけではなく、これらを通過し、アウェアネスを高めていくことが重要です。

■まとめと感想

まず、本書の「学びからの気づき」は、「あらゆる個人も関係性も、フェーズ1〜4へ季節のように移り変わっていくと理解すること」の重要性を感じました。
そうした視点煮立つことで、「対立」を自然のものとして受け入れることができます。

そして、対立のフェーズである「2」になったとき、どうすればよいか。

まず、それぞれの人々の背景にあるニーズ(それぞれの人が場に出していない価値観、ジェンダー、文化、国籍、健康などの問題)も関連していることを理解する必要があります。
そして、ボディーシグナルや雰囲気、多様な声を読み解く基礎的なスキルも大切ですが、それだけでは太刀打ちできなくなった際に、個人の奥にある「ファシリテーターの内面で起こっている葛藤が、場に表れている」という問題が相似形として表出する視点を持つことが必要というのは、新鮮な視点でした。

こうした観点は、なかなか理解が難しいようですが、学術的な理論を超えた「実践知」として非常に印象的でした。

▽▽▽

次に、「実践してみて気づき」では、ある章で、自分自身と最近起こった葛藤の意味を捉え直すエクササイズがありました。

それは、自分と相手の葛藤を「地球上の自然をメタファーとして捉え直す」というものです。
私は、価値観の相容れない他者との関係を扱ってみたのですが、自分と相手のエネルギーを身体で表現する中で、「拡散しつつも力強いエネルギー=雷」という比喩がふと降りてきました。
すると、不思議なことに、それまでのモヤモヤがスッキリとした感覚に変わったのが、驚きでした。

一見すると抽象度の高いワークですが、戦争や民族間の対立といった根深い問題に向き合ってきたプロセスワークだからこそ、こうした深いレベルでの変容が可能なのだと感じます。
現代の複雑な人間関係や組織の対立を紐解くために、学べることが大いにある一冊でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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