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4423号 2026年4月5日

今週の一冊『ムカムカ いかりはあばれんぼう』

(本日のお話 2334字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

毎週日曜日は、最近読んだ一冊からご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。

いきなりですが、最近「絵本」ってめっちゃ勉強になるな⋯と感じています。

小さな頃に読んだ『おおきな おおきな おいも』など、今読むと創造力の素晴らしさを感じる一冊だと大人になってはたと気付かされました。

あるいは、チビ鉄(鉄道好きの子どもをこう呼ぶらしい)の息子の熱狂する一冊『地下鉄のできるまで』などは、地下鉄という凄まじい建造物の奥深さを感じさせられます。
この本を読んでから、地下鉄に乗るたびに、「この区間は”開削工法”だけど、ここからは”シールド工法だな”」と視点が深まってしまいました。絵本ってすごいです。

さて、そんな中で、今回ご紹介する一冊は「子どもに”こころ”をメタ認知させる本」です。

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『ムカムカ! “いかり”は あばれんぼう』

ささきみお (イラスト), 松丸未来 (監修)
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この本を読んでから、家庭内での共通言語ができる、素晴らしい一冊だったので、今日はこの本をご紹介したいと思います。

それでは、どうぞ!

■本書の概要

本書は、子どもの認知行動療法を専門としている臨床心理士/公認心理師の松丸未来さんが監修している「心(怒り)との向き合い方」を示す一冊です。(対象は主に小学校低~中学年くらいの子ども向けとありますが、5歳児でも理解できる内容です)

物語の概要は、以下のようなストーリーです。

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・主人公の「ぼく」の心の中に、“いかり”のモンスター「ムッキー」が住んでいる、という設定で話が始まります。

・ふだんは「ワクワクちゃん」「メソメソくん」「ニコニコちゃん」など、ほかの気持ちたちと一緒に心の奥にいる存在としてムッキーが紹介されます。

・いじわるをされたり、思いどおりにならなかったりすると、「ムカムカ」してムッキーがどんどん巨大化し、暴走してしまいます。

・ムッキーが暴れ出すと、友だちを傷つけたり、ものを壊したり、あとで「言いすぎちゃった…」と後悔するような行動につながってしまいます。

・そこに、心の平和を守る存在「ピース」が現れ、「ムッキーを消すのではなく、仲良く付き合う方法」を教えてくれます。

・たとえば、ムカムカの奥には、本当は「かなしい」「くやしい」「さみしい」など別の気持ちが隠れていること。ムッキーが大きくなりそうなとき、「立ち止まる」「深呼吸する」など、ちょっと時間をおく工夫をするなど。

・怒りが爆発する前に、「いま、どんな気持ちがかくれているのかな?」と自分の本当の気持ちを考えてみたり、言い方や伝え方を変えることで、ケンカにならずに気持ちを伝えられることが示されます。
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まさに、「子ども向けアンガーマネジメント入門」の一冊と言えそうです。

■家庭内で「ムッキー」が共通言語になった

この本を図書館で借りてきて、5歳児の息子に読み聞かせをしました。
すると、我が家(紀藤家)の共通言語になりました。たとえば、子どもがイライラしているときに、聞いてみます。

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私「今、ムッキーが大きくなっているんじゃないの?」
息子「うん、ムッキーが大きくなっている。イライラしているよ」
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とのこと。
シンプルですが、メタ認知できているとも言えるので、第一歩としていい感じです。また、妻と息子がバチバチしていると、こうなります。

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妻「今、ゆづ(息子)がひどいこといったから、お母さんのムッキーが大きくなっているよ。話したくないと思っているよ」
息子「ゆづきもお母さんきらい。ムッキーが大きくなっているよ」
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お互いに「ムッキー」という擬人化したアイコンを介して感情を説明するので、自分の感情にも、自分と相手の間に、少しのスキマができているようにも見えます。
実は、こういうちょっとした工夫が大事とも思えます。

そして、しばらくしていると、感情は一時的なものでもあるので、収まってくるようです。例えばこんなかんじ。

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息子「だんだんと落ち着いてきたみたい」
妻「お母さんも「ピース」がでてきたよ」
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正しいかわかりませんが、「罪を憎んで人を憎まず」のように、相手に対して腹立たしく思う感情は大切なものとしても、それは「相手そのものがキライなわけではない」ということが大事で、それを相手にきちんと伝えることも重要だと思われます。

そのときに、「◯◯という行為がかなしかった」と、距離をおいて伝えるための工夫として、こうした「共通言語」が役に立つと感じるのでした。

■「かなしかったけど、大好きだよ」

少し話は変わるかもしれませんが、社会情動スキルの一つでもある「自己制御」という能力は、5歳~7歳にかけてぐっと発達するようです。

たとえば、「ゲームで負けても我慢できる」「年下の子が自分のおもちゃなどをいたずらしても起こらない」などは、4歳までは半分くらいが難しいですが、5歳6歳になるにつれて、段々とその力が身についてくるそう。(※参考:『自己制御の発達と支援』P19)

その中で、今回の本は、そうした自己制御の能力を高めるための、一つの足場掛けのようなツールにもなるのではないか、そんなことも読みながら感じておりました。

▽▽▽

また、もう一つ大事だと思ったこと。それが、たとえ子どものムッキーが大きくなって、乱暴なことをいわれても、受け止めることは大切である、ということです(当たり前かもしれませんが)

「ムッキーが大きくなってキライって言われてかなしかったけど、お父さんは(ゆづのことが)大好きだよ」。
そんな風に、こちらは大人なので、それらの感情も含めて受け止めることは大事だなとも感じました。

大体、そうした対応をすると、なんとなく落ち着く様子が見えます。
やはり「かなしい」「さびしい」みたいな怒りの奥の感情があるのだろうな、そんなことも感じるのでした。

ということで、絵本からの学びですが、非常に良い一冊なので、ぜひ読んでみていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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