「本当の自分」をどうやって探すのか ー読書レビュー『中年からのアイデンティティ心理学』#1
(本日のお話 2123字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
先日は24kmのランニング。
長野マラソンまであと2週間です。
私基準ですが、走りすぎて自律神経に影響があり
ちょっと憂鬱な気持ちになっていましたが、週末ゆっくり寝て元気になりました。
ここから巻き直していきつつ、仕事もランニングも、
モチベーションも高く持っていきたいと思っております。
そして、先日植えた「いちごの苗」に花が咲きました。
短い春が終わり、あっという間に夏が来そうです。
*
さて、本日のお話です。
本日から、ある本の読書レビューを始めたいと思います。
こちらの本です。
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『中年からのアイデンティティ心理学: 成人期の危機と発達』
岡本祐子(著)
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「40歳は人生の正午である」と、ユングは述べており、それまでとそこからでは、見える景色が変わってくる、と述べています。
そんな話を耳にしつつも「ほんまかいな。自分めっちゃ走ってるし、体力あるしー」なんて何処かで思っておりました。
⋯がしかし、実際に私もその年齢になったときに、気のせいかもしれませんが、本当に「人生の見え方が変わる」感覚の足音が、そろりそろりと近づいてきました。
そして、現在はその不安というか戸惑いが、自分の真上にいる感じです。
アイデンティティとは「自分とは何者か」「本当の正真正銘の自分とは何か」を意味します。外部に向けて拡大していくステージから、内部へと目を向けていくような移行期が40代。そうした時期の過ごし方については、これまでに多くの心理学者らが、その発達について考察を重ねてきました。
それらの知見について、「中年期」という年齢にスポットを当てて解き明かしていくのが、今回取り上げる書籍です。
移行期にあり、戸惑いを抱えている人にとっては、一つの道標のようなものになるはず。
私自身も当事者の一人として、そんなことを考えながら、読書レビューを進めてみたいと思います。
今回は、まず本書の特徴について、プロローグと第一章からまとめてみます。
それでは、どうぞ!
■人生をかけた「自分探し」の旅
エリクソンが70年以上前に提唱してから「アイデンティティ」という言葉は、広く知られるようになりました。
そして人は、「自分とは何者か」という問いを、人生の節目節目で突きつけられるようです。進路選択に迷う青年、転職活動をする成人、結婚や出産を考える夫婦、子育てが一段落した中年期後期、定年退職を迎えるとき⋯。その色合いは、そのライフサイクルの位置によって、少しずつ異なります。
本書は、「成人期、高齢期のアイデンティティに関する研究から得られたデータをもとに、ライフサイクルを通して見られるアイデンティティの発達について述べたもの」と説明されます。そして、本書のテーマは以下のように説明されます。
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<本書のテーマ>
・1.ライフサイクルを通じて、個人のアイデンティティがどのように発達していくのかを解き明かすこと
・2.他の世代とつながり、他者を支え、育てることによって、アイデンティティが発達していく側面があること
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しかしながら、1970年代までは、これらの「中年期以降のアイデンティティ発達」はあまり注目されてこなかったそう。ゆえに、本書の価値をより感じるところです。
■40代前後では「危機」の種類が違う
ここからは本書で述べられているわけではありませんが、人生の前半で起こる20代後半~30代では「クォーターライフクライシス」とも呼ぶそうです。
ここのテーマは「同世代との比較」です。結婚・出産・転職・昇進など、劣等感や焦りが強くなり、その中で「どんな人生を選ぶかという自己実現の方向性」がテーマです。
一方、今回のテーマでもある中年期の40代~50代では「ミッドライフクライシス(中年の危機)」は、これまでの人生・キャリアの成果の評価、後悔や「このままで終わるのか」という問いが立てられたり、死生観の変化(親の老い・自分の健康不安など)を背景に、「残りの人生の意味や再構築」をテーマとするように色合いが異なるのです。
まさに、「日が昇っていく人生の前半」と「日が沈みゆく人生の後半」で価値観の変容が起こるのは、字面を理解するだけでも、その質感の違いを感じます。
■今日の「本当の自分探し」とは
現在は「人生100年時代」とも言われて久しいです。それも近年起こってきた流れなので、「これまで人生が100メートル走と思って走っていたら、40メートルくらい走った20代で、気付いたら150メートルに距離が伸びていた」という状況だそうです。
男性では、学校→卒業→就職→定年退職という一本道が変わっています。サザエさんの波平さんが54歳という設定(当時の定年の1年前)で、完全に隠居モードなのがまさに時代を表しています。今日ではその年齢だったら「リスキリング、学び直し」で働き続ける、みたいな流れになっています。
女性でも、「男は仕事、女性は家庭」という考え方も昔のものになり、結婚をする・しない、子どもを持つ・もたない、働き続ける・専業主婦になる、などなど様々な分岐があり、一つの生き方モデルに当てはめることはできなくなっています。
以前は、「これが王道」みたいな生き方がありましたが、現代の性役割の揺らぎ、職業感覚の変化などから、「自分らしい生き方とは何か」を問われる機会が多くなっている。ゆえに、今日心理的に揺れやすくなっているのではないか、そのように著者らは考察しています。
■まとめと感想
「少なくない人がこのように揺らぐもの」。そう知っておくことで、たとえ自分がそのような状況になっても、転ばぬ先の杖、のように動じることなくいられるような、そんな気がします。ぜひ、同じように考えている「人生の移行期」の方には手にとってほしい一冊だと思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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