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4437号 2026年4月19日

今週の一冊『傲慢と善良』

(本日のお話 1684字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

本日は長野マラソン。今期のこのレースのために、練習をしてきました。
今自分ができることは、100%満足ニとは言えないかもしれないけれど、
それでも、試行錯誤しながら、できうることは積み重ねてきたつもりです。

とは言え、本日はものすごく暑い(最高気温24°)と自己ベストを記録するのは難しい条件ではあるものの、
できる限りのベストを刻みたいと思います。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、最近読んだ本の中から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。今回の本はこちらです。130万部を突破した、超ロングセラーです。

『傲慢と善良』(朝日文庫)

「はて、いつのタイミングで買ったんだろう…」と思いつつ、kindleの本棚の中にひっそりと存在していたこちらの一冊。なんとなく開いて読み始めたら、とんでもなく面白くて、一気に読んでしまいました。小説って、こんなに面白かったんだ…。

ということで、本日もネタバレをしない程度に、この本から感じたことを書いてみたいと思います。それでは、どうぞ!

■本書のあらすじ
本書のあらすじを伝えてしまう、どうしてもどこから切り取ってもネタバレ感が出てしまうので、非常に難しいため、とりあえずはAmazonの書籍紹介から引用させていただきます。

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》

…何もわからない(汗)。わかるのは、婚約者が姿を消して、架(かける)という相方が、相手を探すというストーリーのみ。実際に書籍を読み始めると、なんだか緊迫したムードから、婚約者が忽然と姿を消すというところから、唐突に物語が始まります。

なぜ、婚約者は消えたのか。誘拐なのか。それとも…。

その謎を、架という主人公が追っていく中で、物語が展開していきます。その物語の展開の仕方が、「婚約者の過去」と向き合っていくことになります。そこにタイトルの『傲慢と善良』となっている理由が、明らかになっていくのです。

■感じたキーワードは「アイデンティティ」
(ここからは若干のネタバレ感があるため、少しも知りたくないという方は、ここで終了いただければ幸いです)

さて、私がこの本を読んで浮かんだキーワードが「アイデンティティ」の話である、と思ったのでした。最近、『中年からのアイデンティティ心理学』など、このキーワードは私の探求テーマの一つになっていますが、「自分は何者か?」「本来の正真正銘の自分とは何か?」、このことを問うていく旅路である、と思ったのでした。

この小説の舞台の一つに、「婚活」という現代のテーマとも言えるものがあります。マッチングアプリ、婚活エージェント、サークル、友人の紹介…。誰かが人生のパートナーを探すとき、そこには必然的に「自分で思う自分の市場価値」や「他者への願望=自分を映し出す鏡」として自分が浮かび上がってくるものです。

有名な会社で、高年収で、優しくて、イケメンで(逆もまた然り)みたいな「すごい優良物件を手に入れた私」。そこには、乱暴な言い方をすれば、自分すら気付いていない空虚な自分が見え隠れすることがあります。

アイデンティティとは「個の確立」。だから、自分自身がこれまでの人生で何を決めて、どのように動いてきたのか…。そうした内的な発達があって、人は大人になっていくものです。

しかし、それは生まれた環境、本人の特性など、必ずしも年齢を重ねれば大人になりきれるわけではなく、成熟には多々時間を要する場合もあるもの。そうしたことが、実は今の世の中にたくさん存在していることに気付かされます。

同時に、そうした「大人になりきれないという人」が悪いというわけでは決してなく、「一人ひとりの発達の大切な旅路を、皆がそれぞれ歩んでいる」という尊さを、教えてくれる小説でもある、と思ったのでした。

■まとめ:とにかく素晴らしい
…と、こんな堅苦しい書き方をすると、なんだか小難しく聞こえそうですが、ヒットする理由も、首がもげるほど納得してしまう本です。

物語のストーリー、現代社会で抱えている苦しさ、その中にある希望、人と人の繋がり……。多くの気づきと教訓と、そして感動が編み込まれている本で、読後感も最高です。ぜひ、多くの方に読んで頂きたい一冊です。

特に、今日の話のキーワードのどこかに反応した方であれば、物語だけでなく、その内容からも大いに感じるものがあるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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