「万華鏡キャリアモデル」ってなんだ?ー自分らしさと挑戦のバランスと世代ギャップー
(本日のお話 2708字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、高校で担当させていただいている
リーダーシップの授業の定期テストの採点、
また「強み本」の執筆、企画書の作成などでした。
その他、仕事の移動のさなかに、1.5kmのランニング。
子どものお迎えと、公園で遊び倒した夕方でした。
こうした時間も少ないので、大切にしたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
先日、強みの論文を読んでいると、ふと
「万華鏡(カレイドスコープ)キャリアモデル」
というものに出会いました。
数年前、キャリアコンサルタントの資格を取得したとき、
キャリアに関してサビカスの理論やエドガー・シャインなど主要な理論を学びましたが、
正直あまり聞いたことがありません。
しかし、
「強みを活用すると、新入社員のキャリア満足が高まって、
プロアクティブ行動につながるのだ」とする論文の中で、
(参考:https://note.com/courage_sapuri/n/n4db5e16ef08b)
この「万華鏡キャリアモデル」というものが紹介されていました。
その論文では、
「キャリアにおけるオーセンティシティ(真正性)が重要だと、
万華鏡キャリアモデルでは述べている」と主張しています。
なんだろう、気になる…と思って読んでみたところ、なかなか面白かったので、
今日はこの論文をご紹介させていただければと思います。
万華鏡キャリアモデルとは何か?
世代によってキャリアに対する考え方や態度がどのように違うのか?
早速みてまいりましょう。
それでは、どうぞ!
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<今回の論文>
・タイトル:Using the Kaleidoscope Career Model to Examine Generational Differences in Work Attitudes
(万華鏡キャリアモデルを用いた労働態度における世代間の違いの検討)
・出版:Career Development International, Vol. 14, No. 3, pp. 284-302(2009年)
・著者:Sherry E. Sullivan / Monica L. Forret / Shawn M. Carraher / Lisa A. Mainiero
・所属:ボウリング・グリーン州立大学 経営学部/セント・アンブローズ大学 経営学部/キャメロン大学 ビジネススクール/フェアフィールド大学 ドラン・ビジネス・スクール
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■30秒でわかるこの論文のポイント
・「万華鏡キャリアモデル」という、
「真正性・バランス・挑戦」の3つを状況に応じて組み替えていくキャリア理論を、
初めて世代間比較に用いた研究である
・X世代(1965〜1983年生まれ)はブーマー世代(1946〜1964年生まれ)より
「真正性(自分らしさ)」と「バランス」を求める気持ちが有意に強い
・一方で「挑戦したい」という気持ちには、
世代による差はほとんど見られなかった
・「若手は挑戦を嫌う怠け者」というステレオタイプは、
実態とは異なる可能性が示された
■万華鏡キャリアモデルと、世代の違い
さて、この論文の土台となっているのが
「万華鏡キャリアモデル(カレイドスコープキャリアモデル:KCM)」です。
人はキャリアを歩む中で、状況に応じて自分の中の欲求のバランスを組み替えていく、
そう万華鏡がくるりと回るたびに景色を変えるように。
(なんておしゃれな表現でしょうね)。
…という捉え方をするキャリアモデルです。
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<万華鏡キャリアモデルの3つの柱>
・真正性(Authenticity):自分自身の価値観に沿っていたいという欲求
・バランス(Balance):仕事と生活の調和を求める欲求
・挑戦(Challenge):新しいことに挑みたいという欲求
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■世代の背景
次に、本研究ではアメリカでの調査を元にしていますが、
世代の違い(2009年の論文なので、X世代などちょっと古い)について、
その生きてきた社会の背景をまとめていました。
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◯ブーマー世代(1946〜1964年生まれ)
・大恐慌を生き抜いた親から「アメリカン・ドリーム」を吹き込まれて育つ
・公民権運動や月面着陸、ベトナム戦争を目の当たりにした世代
・「働くために生きる」と称されるほどの仕事人間で、昇進や金銭という外的な報酬のために長時間働くことも厭わない
・一方で権威には不信感を抱く、という少し矛盾を孕んだ特徴も持つ
◯X世代(1965〜1983年生まれ)
・企業リストラによって親が職を失う姿を目撃し、共働きや離婚率の上昇の中で「鍵っ子」として育つ
・「生きるために働く」と称され、組織そのものよりも、目の前の上司やチームに忠誠を誓う
・年功序列より実力主義を好み、しばしば「怠け者世代」とすら呼ばれてきた
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「X世代は、しばしば「怠け者世代」と言われてきた」など見ると、
こうした世代間の話って、そう言えばいつの時代もあったなあ
…と目を細めてしまいますね。
■研究の目的と方法
世間やビジネス書では、世代間の対立が連日のように語られ、
世代別のマネジメントが推奨されてきました。
かつてよりは、相互理解は進んでいるような印象がありますが、
やはりそれでも「世代の違い」は常に、注目の的になっています。
では、実際の学術研究はどうなのか?
と見てみると、世代間で明確な差が見られなかったり、
はたまた逆の結果が出たりと、結論は一貫していません。
ということで、この研究は、(非伝統的なキャリア理論である)KCMを土台に、
全米規模の大きなサンプルを用いて、
ブーマーとX世代の実際のキャリアニーズを直接比較しようとしました。
方法としては、全米最大級のオンライン・リサーチパネルを用いたウェブ調査を実施。
最終的にブーマー463名、X世代445名、計908名分のデータを、
性別や子供の有無、婚姻状況などを制御した上で
「階層的重回帰分析」という手法で分析しています。
■主な結果(わかったこと)
◯わかったこと1|X世代は「自分らしさ」を強く求める
分析の結果、X世代はブーマーよりも
「真正性(自分自身の内面的な価値観に沿った仕事をしたい:自分らしくありたい)」という欲求が、
統計的に有意に高いことが示されました。
◯わかったこと2|X世代は「バランス」も強く求める
同じく、仕事と私生活の調和を求める「バランス」への欲求についても、
X世代の方が有意に高いという結果になりました。
◯わかったこと3|「挑戦」への欲求には、世代差がなかった
一方で、ブーマー世代の方が
挑戦を求めるだろうという予測は支持されませんでした。
挑戦への欲求において、両世代の間に統計的な差は見られなかったのです。
■まとめと感想
個人的に興味深かったのは2つです。
1つ目が、「万華鏡キャリアモデル」というものの存在そのものです。
自分らしさと「自分らしさを大切にしたい」という感覚が
X世代以降に強く求められているというのは、肌感覚としてもよく合致します。
「オーセンティシティ(真正性)」が、
意味のあるキャリアを形づくるために重要であり、
新入社員のキャリア満足にも影響を与えるという、
本論文のモデルの概要を知ることができた点は、収穫のひとつでした。
2つ目が、「世代間の違い」という変わらないテーマは、
アメリカも日本もなんだか近しい話をしているな…と感じました。
Z世代、α世代、これからも色々出てくるのでしょうが、
こうした社会の影響も踏まえて「働き方の当たり前」が少しずつ変容していくのだろうな…
などと思うのでした。
そして「自分らしさ」を尊重されているという感覚は、
2000年代から十分存在していたんだなということ、
これからももっと大切にされそうだなと感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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