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768号 2016年3月22日

「奇跡のリンゴ」のお話 ~前編~

(今日のお話 1664文字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。

昨日読んだ本。

『奇跡のリンゴ』(著:石川拓治)

という本なのですが、
非常に胸打たれるお話でした。

このお話は、
「プロフェッショナル仕事の流儀」
でも取り上げられ、話題を呼びました。

「絶対に不可能」とまで言われた、
完全無農薬で作られるリンゴ。

無農薬、といわれると、
聞きなれた言葉かもしれませんが、
ことリンゴについては、
誰も成し遂げたことがなかった、

それくらい大変なことでした。

そんな偉業を大変な苦難の道の末、
成し遂げた農家の木村秋則さんのエピソードです。

本日はその内容から一部、
感銘を受けた学びの箇所を
皆様にご共有したいと思います。

それでは、どうぞ。

■「カマドケシ」。

青森 津軽弁にて、
この上ない侮蔑の言葉で
呼ばれる男がいた。

それが、当時の木村氏だった。

「カマドケシ」とは、
すなわち、「竈消し」ということ。

一家の中心である竈(かまど)を消す、
すなわち家を潰し、
家族を路頭に迷わせるということを意味する。

リンゴを育てるためには、
年間十数種類の農薬をかけて、
そして育てていくのが通常のやり方。

しかし、木村氏の妻が、
非常に農薬に弱く、そんなことから、
彼は「完全無農薬」のリンゴ栽培を始めることとなる。


■しかし、結果は散々。

1年経ち、病気が蔓延する。

葉が斑点で黄色くなり、
他の畑のリンゴの木には青々と葉が生い茂る夏、
木村氏の畑には、まるで枯れ木のようなリンゴの木が、
800本、立ち尽くしているだけだった。

2年経ち、虫が大量発生する。

相変わらず枯れ木のような枝の先に、
大量の害虫がぶら下がる。
その重みで枝が垂れ下がってしまうほど。

それを木村氏、妻、義理の父、母を上げて、
総出で害虫をビニール袋へと落としていく。

しかし、効果はない。

3年経つ。しかし葉はすぐに落ち、花は咲くことはない。

ぐらぐらとし始めた木に、
害虫や病気対策のために、殺菌作用のある
酢をかけてみたり、時にはワサビを薄めた液体、
醤油、卵白・・・可能性があると思うものは、
全部試してみた。

しかし、効果はない。

4年、5年、

800本あったリンゴの木は枯れ、
400本となっていた。


■木村氏の家庭は困窮していく。

時はバブル絶頂。

隣人のリンゴ農家がその収穫で豊かになることを横目に、
木村氏はリンゴが一つも取れず、
電気代も支払えないような状態が続く。

米も、木村氏と妻、娘3人の食事を賄うために、
1キロの米を粥にして食い延ばした。

しのげない空腹は、
味噌汁を腹いっぱい飲んでしのいだ。

満足な学費も払えず、
娘は短くなった鉛筆をセロテープでつなぎ、
消しゴムは1コを3等分にして姉妹で分けた。

当時30代だった木村氏は、
日々の思いつめた精神状態から
顔もどんどん険しくなり、老人のような容貌になる。

そして、真夜中、納屋の、
もう何年もつかっていないリンゴ箱で、
ブツブツと何かを考えるようになる。


■「絶対できるはず。」

そう信じた完全無農薬のリンゴ栽培。

しかし、峠を目指せば目指すほど、
その峠は更に遠のいていく。

5年前、微かな希望を元に、
己の全てを費やして、己の全てを捧げたリンゴ栽培。

思いつく限りのことは試してみた。
しかし何一つ、よい結果は得られなかった。

ついに、万策尽きた。

リンゴの無農薬栽培に失敗したのだ。

そう思ったとき、
木村氏は古びたロープ3本をつむいで、
1つのロープにした。

そして、ある月夜の晩、
畑の裏手にある岩木山を登っていった。

そこで死のうと決意した。

全て自分が悪い。無責任かもしれないけど、
それで全て終わりにしよう。


■手ごろな木の枝を見つけ、
そこにロープをかけようと投げた。

すると、ロープは枝をはずれ、
崖の斜面の方へそれた。

「最後の最後まで失敗か、」

そう思い、斜面へと足を伸ばし、
ロープを拾い上げたその瞬間、
木村氏は目を見張った。

そこに、葉を青々とつけた
リンゴの木が立っているではないか!

一体誰が農薬を?

一瞬そう思ったが、そんなわけがあるはずがない。

その木は、その木の力で、
そこに立ち、葉を茂らせていたのだ。

(明日に続く)


■とことんやりぬいた先に見える光明。

何かを成し遂げた人は、
皆、口をそろえて「諦めかけたその時」という話をします。

さて、この話がどうなるのか。

また明日、後半をお伝えさせていただきたいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今日も、皆様にとって素晴らしい1日になりますように。

【本日の名言】 99回倒されても、
100回目に立ち上がればよい。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

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