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『シャーデンフロイデ  他人を引きずり下ろす快感』

今週の一冊『シャーデンフロイデ  他人を引きずり下ろす快感』

1501号 2018年3月25日

(本日のお話 2075文字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、祖母の一回忌で、
山口県へ行ってまいりました。

今日は、昼より私(そして妻も)
セミナーがあり、朝一の便で東京へ。

夫婦揃って「今しかできないんだから!」
という名の下に、自己啓発をしまくっております。



さて、毎週日曜日は、
お勧めの1冊をご紹介する今週の1冊のコーナー。

今週の1冊は、

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『シャーデンフロイデ  他人を引きずり下ろす快感』(著:中野信子)



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です。

■「人の心理」とは、本当に奥が深く、
一言では語れないものだなぁ、
とよくよく思います。

今日ご紹介したい1冊も、
まさしくそんな「人間とは」、
を考えさせられる一冊。

(ちょっとタイトルが怖いですが、、、)



人には、本音と建前があります。

そして社会的な生き物なので、
多くの場合、人前では多く、

「良き人間でいたい」

という顔が前に出ることが多く、
同情、共感を伝えることも多いです。

しかし、同時に、

「人の不幸を喜んでしまう」

と、罪悪感を感じつつも
「人間性」なるものに反した(と思われる)
思考、行動をする。

皆、正義を語りながら、
誰かの不幸で、ホッとする自分がいたり、

間違いを徹底的に追求して、
プライベートに踏み込み、叩きまくったり。

そして、密かに、
喜びを感じ、盛り上がったり。

、、、

そんな「人間」の一面があるものです。

■「そんな、いやらしい、、、」
「そんなのは、人間ではない!」

と不快に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、
実際、あれほどゴシップ、週刊誌で、
”人のスキャンダルが喜ばれる”のは、
何か理由があって然るべきでしょう。

だから、人の一つの面を現した、
事実であることは間違いない、と思われます。

そして、今日ご紹介する本は、
そんな「人間の性質」を

”良い悪い”という、
価値観とか倫理観とか人間性

という話ではなく、

『脳内ホルモン』

という見地から、考察した一冊です。

そこが、非常に面白い。

■ちなみに、
「シャーデンフロイデ」という言葉。

これは、ドイツ語で、

Schaden(シャーデン= 損害、毒)
Freude(フロイデ= 喜び)

という意味。

そのまま訳せば、

「損害の喜び」。

すなわち、

”誰かが失敗した時に、
思わず湧き起こってしまう喜びの感情のこと”

と説明できます。

そして、この「シャーデンフロイデ」は
倫理観があるため、あまり認めたくない人もいますが、

「本当は誰でも持っている心の動き」

である、というのです。

■なぜ、誰もが持っているのか。

スゴい、さすが!と言いいつつ、
人が妬み、嫉みを感じるのは、なぜか。

そして、そんな人が失敗すると、
何故嬉しくなってしまうのか?

その理由を著者は、

「人がそのように出来ているから」

である、と言うのです。

もっと、具体的に言うと、

『脳内ホルモン「オキシトシン」の働きが、そうさせている』

というのです。

■面白い話なので、
ちょっとだけ本文から引用しつつ、
ご紹介いたします。



「オキシトシン」は別名、

”幸せホルモン”
”愛情ホルモン”

とも言われるホルモンだそう。

このホルモンは、

・仲間を大切にしたい、
・愛し合いたい

という気持ちを生み出し、
傷の治りも早める、という何とも素敵なホルモンらしいです。

しかしながら、
この”愛と絆”を生み出すホルモンは、
「人と人との繋がり」を生み出すと同時に、
別の作用を生み出すそうです。



愛情を司るオキシトシンは、

”人と人の繋がりが切れそうになるときに、
それを阻止しようとする”

という働きも持つのだそう。

つまり、自分と一緒だった人が、

・一人だけ成功したり、幸せになる
・最近目立って、有名になっている

なんて状態があると、

「絆を断ち切ることは許さない」
「既存の共同体を壊すことは認めない」
「抜け駆けは許さない」

とオキシトシンが発動し、
糾弾する、失敗を喜ぶ、愛情が憎しみへ、
という気持ちになる。

■「共同体を守れ」「仲間を大切に」
という、感情が、ネガティブに働くと、

”人の不幸は蜜の味”

なる感情を生み出す。

つまり、良い悪い関係なく、
ただ「人間という種の本能」が、

『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』

につながっている、というのです。

■しかしながら、

「仕方ないよね」

でゴシップ、週刊誌、
人の不幸ばかり見て喜んでいると、
それはそれでどうだろう、、、とも思うわけです。

だから、やっぱり最終的には、
”この「埋め込まれた感情」をどう制御するか”
がポイントになると思います。

そうしていかないと、
なんだか気持ち悪いし、
自分で自分を好きになれないな、、、とも思いますし。

だからこそ、シャーデンフロイデ的な感情をコントロールし、
「妬み」を「憧れ」へ昇華させ、
上手く付き合うための一つのステップが、

『そうなってしまうメカニズムを、まずは”自覚”すること』

である、と思うわけです。

そして、この本は、

「脳内ホルモン」

という観点から、それを感じさせてくれる、
興味深い一冊だと思います。

読みやすい本で、サクサク読めますので、
「人の心理」など好きな方は、ぜひ読んでみてください。

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『シャーデンフロイデ  他人を引きずり下ろす快感』(著:中野信子)



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