メールマガジン バックナンバー

2292号 2020年5月30日

地図を見るな、現場を見よ

(本日のお話 2456字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日金曜日は5件のアポイント。
ならびに土曜日の研修の準備でした。



さて、本日のお話です。

本日土曜日『ストレングスファインダー研修』を、
某企業にて実施をさせていただきました。
(機会を頂きました、K社の皆様、Mさまありがとうございました!)
<ストレングス・ファインダー研修内容はこちら↓↓>
https://www.c-courage.co.jp/service/strengths-finder/

その中で、一緒に運営をしたコーチの方と
「オンライン研修」について話をしていたことが気づきになりました。

そしてこれは、現在オンラインでミーティング、
あるいは研修をしている多くのに大切なことだなと感じましたので、
皆様にご共有させていただければと思います。

タイトルは、

【地図を見るな、現場を見よ】

それでは、どうぞ。

■私がお世話になっている先輩コーチ。

その方と語っていた時、
こんな話を聞きました。

「◯◯さんが言っていたのだけど
(=日本のコーチ業界の第一人者の名前)、

『オンライン研修というのは、「地図」を見ているようなもの。
「現場」に行くのとは違うことを、コーチは覚えておかないといけない』

と何度も口を酸っぱくして言ってたんですよねー」

とのこと。

■「地図を見るな。現場を見よ」。

日本の第一人者のコーチのコメントだそう。

それは、オンラインに皆が慣れて、
楽しんでいる、笑っているように見えたり、
集中してくれているようだったり、

あるいは、その場の雰囲気が良好に見えたり、
研修やコーチングのスキルが機能したように見えても、
それはあくまで「オンライン上での姿」にしかすぎない、

ということ。

”現場”にのみ流れている微妙な空気を、
実は、私達は感じることはできてはいない。

その上で、判断していると言うことを
重々理解しておかなければいけないのだ、、、

という教訓めいた投げかけでした。

なんとなく、研修後にこの話を思い出しながら、
強く身につまされる感覚がしたのでした。

■「地図」と「現場」は違う。

これは例えるなら、

GoogleEarthで
リアルな富士山の登山道を登ったとして、
シミュレーションとして、距離だとか、
おおよそどんな景色なのか、色なのか、
岩がたくさんあるのかなどを理解することはできても、

そこに漂う微妙なホコリ感とか、
何となく感じる神秘的な空気感など、
感性でキャッチする部分は、
結局「現場」に行かなければわからない、

ことに似ています。

例えば私が研修をオンラインでやって

「しっかり伝わった(ような気がする)」
「受け取っていただいた(ような気がする)」

と思っても、あくまでも推測の域を出ることはない。

人の気持ちや感情を推し量っても、
それは「現場」に行かねばわからないのだな、、、
(直接聞いてみないとわからない)

ということを改めて考えました。

■オンラインミーティングでも、
よく起こっているはずです。

・笑顔でうなずいている裏で、内職をやっている
(実は集中しきっていない)とか

・メモを取るふりをしながら、
メールを別の人に返しているとか

・カメラを微妙に顔を映すか映さないかで、
半分寝ている、など

実は「感情や気持ちがコミットしていない」ということも、
ままあるのだろうな、と思います。

もちろんそれは、対面の会議でもあります。

でも、熱量が高まった瞬間というサインや、
場の感情は、リアルのほうが、
オンラインよりもずっと感じ取りやすい。

「現場」では感じ取れるはずのその雰囲気が、
「オンライン(=地図)」でのやり取りでは、
”大いなる勘違い”になることがままある。

それが、

オンラインの限界でもあり、
これから私達がもっと理解するべきことでは

と思ったのでした。

オンラインとは例えるならば、

『「地図」を見ているだけで、「現場」を見ていない』

のです。

■そう書きつつ、別の話をで
思い出したことがあります。

それは、サイバーエージェントの藤田社長がブログにおいて、
「これからの働き方について」というタイトルで書いた記事。

(以下、一部引用させていただきます)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

非常事態宣言から約1ヶ月半、
サイバーエージェントでは全社員が原則リモートワークでしたが、
その解除の方針を受けて6月1日から通常に戻すことを全社メールで社内に伝えました。

(中略)

リモートのメリットは、zoom会議の利便性、
移動コストの削減、オフィス賃料の見直し、通勤ストレスの軽減など、
並べればたくさんあります。

一方で、リモートでは一体感、チームワークは損なわれます。

また、リモートではかなり極端に成果主義、個人主義に振らざるを得なくなり、
それは当社の根本的なカルチャーと相性が悪いです。

それらは数値には出来ないですが、
当社にとっては強みが失われかねない由々しき問題です。

※引用元:「渋谷で働く社長のアメブロ」
https://ameblo.jp/shibuya/entry-12599389261.html?fbclid=IwAR1gB_SMJlwrVDlpbMLuNwRQ3tuRNb0xNyaKusPXuoDb1Zbeg8HZHs-h_Yk

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
気になったのが、

“リモートでは一体感、チームワークは損なわれます。

極端な成果主義、個人主義に振らざる得なくなり、
当社の根本的なカルチャーと相性が悪いです”

という部分。

■仕事は「成果」を出すことが求められる。
成果主義の流れも確かにある。

しかしながら、組織はそれだけではない
「明確にはしづらいけれど大切な空気」の役割もあったりする。

例えば、

・頑張っているあの人の背中。
たとえ成果がでていなくても
ムードメーカーとして代替の聞かない存在である、とか

・利益が上げづらい事業部だけれども、
その存在なくしては、組織は成り立たないとも感じている、とか

・あの人の何気ないフォローが
皆の潤滑油になってチームの一体感を作っていた

というように。

赤ちゃん、老人など、
お世話をされる人の役割は
「筋肉質な組織」の中でほんとう不要なのか。

100%価値がないかというと、
そういうわけでもないようにも思えます。

「空気」とか「風土」とか、
「リアルとオンラインの違い」とは
そんな、微妙な、でも大切なものにも感じるのです。

■目に見えない、
大きな石垣と石垣の隙間を埋める小石や泥。

それは「特定の人」であったり、
「リアルで会う行為」そのものであるかもしれない。

オンラインの研修にも慣れてきた今
システムコーチングや研修などを掘り下げる中で、

「当たり前であった失われていたもの」

を少しずつ言語化しているプロセスが、
今のステージのように、私は感じています。

■皆がリモートが標準になり、、
「リアルな人と会うこと」の価値を明確に認識した時に、

次のステージとして
一部の人だけではなく多くの人が

・オンラインでのメリットと対面で会うことにメリットの違い

を上手に要素分解して、
使いわけられるような時がやってくるのかもしれません。

それらを深く考えず

「オンラインで事足りてるよね」

で終わらせると、

「何かが足りない、、、」と大切なものを
失ったり、見過ごして、得たいものを得られないことがあるのではないか。。。

私は、今回の研修を通じて
そんな事を改めて感じました。

■そして、そういった時に
やっぱり最終的に必要になってくるのは、

『人と人が、身体感覚を伴って深く理解し合うための
コミュニケーションの技術』

だと思っています。

改めて、相手に伝わる、相手の心を汲み取る、
その価値が必要とされている、

そしてその答えは現場にあるし、
ゆえに、

【地図を見るな、現場を見よ】

という姿勢が、

人の心に触れる仕事である教育や研修においては、
あるいはマネジメントにおいても
ゼロにすることはできないことなのだ、、、

そう思った次第です。

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<本日の名言>
轢かれる危険が最も多いのは、
ちょうど1つの車を避けた時である。

フリードリヒ・ニーチェ(ドイツの哲学者/1844-1900)

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