「ホーセン工場実験」から考える、”職場の人間関係”が大切な理由
								(本日のお話 1992字/読了時間3分)
 
 ■こんにちは。紀藤です。
 
 昨日は3件のアポイント。
 ならびに研修の準備などでした。
 
 本日26日から年末のお休みに
 入られた方もいらっしゃるのでしょうか。
 
 良い年末年始をお過ごしくださいね。
 
 *
 
 さて、本日のお話です。
 
 先日より読み進めております、
 
 『組織行動 ー組織の中の人間行動を探るー』
 (著:鈴木竜太、服部泰宏)
 
 という書籍がありますが、
 その内容が大変学びになっております。
 
 
 今日はその中の学びから、
 
 「なぜ職場において人間関係が大事なのか?」
 
 について、ある興味深いお話が
 紹介されていました。
 
 そのお話について皆さまに
 ご共有させていただければと思います。
 
 それでは早速まいりましょう!
 
 
 タイトルは、
 
 
 【「ホーセン工場実験」から考える、”職場の人間関係”が大切な理由】
 
 
 それでは、どうぞ。
 
 
 
 ■企業人事の方と
 お仕事でお話させていただいていると、
 よく耳にする話があります。
 
 それは、人事の方の
 こんな悩みです。
 
 
 ・コミュニケーションが苦手なマネージャーは
 結構多い。
 
 ・ゆえに、「コーチング研修」など
 提供しようと試みたりはする。
 
 ・ただ当のマネージャー本人の本音は
 
 「何でコーチングとかやらなきゃいけないの?
 成果を出せばいいんじゃないの」
 
 「タスクも目標も明確にしているし、
 給与や待遇も悪くない。
 仕事だからやればいいでしょ」
 
 「人間関係が大事とか
 ただ甘えているだけじゃないの」
 
 と感じているようす。
 
 ・”コーチング等を学んだりして、
 部下の話を聞く必然性がわからない”と言われてしまう。
 
 ・というか、そもそも職場で
 人間関係って本当に大事なのか?
 
 
 、、、というような内容です。
 
 上記の話は少し極端ですが、
 仕事は仕事と割り切れる人。
 
 目標は達成するためにあり、
 タスク重視型のマネージャーに
 多い考えのように思います。
 
 
 
 ■確かに、
 
 ・「仕事」で会社に来ている
 「組織からの期待・成果」を出すために、
 ここに集まって給与もらっている
 
 ・だから決められたタスクなど
 各々やればいいんじゃない?
 
 というのは、
 一見シンプルな理屈なようです。
 
 
 しかし、一方、
 
 「そういった無機質な対応じゃ、
 あまり上手くいかなそう」
 
 という感覚も、
 同時に覚えるのもあるのではないかと。
 
 
 その大切さは、昨今の
 
 「心理的安全性」や
 「エンゲージメント」などの
 
 キーワードに繋がっており、
 あえて今声を大にして言う必要も
 ないのかもしれません。
 
 
 
 ■、、、しかし、”そもそも”ですが、
 
 「職場で人間関係が重要」という考えは、
 いつから生まれたのか?
 
 そんな中で、一つ、
 興味深い実験があります。
 
 最新の研究ではなく
 もう90年以上前のハーバード大学の研究で、
 
 
 『ホーソン工場実験』
 
 
 と言われるものです。
 
 これは、1927年から1932年、
 アメリカのシカゴ、ウェスタン・エレクトリック社の
 ホーソン工場で実施されました。
 
 この実験は、途中からハーバード大学の
 エルトン・メイヨー、フリッツ・レスリスバーガーらが
 研究に加わりました。
 
 
 その実験は、
 
 「様々な状況下で、
 生産性がどう変化するのか?」
 
 という、「生産性を高める要素」を
 見つけるための実験でした。
 
 
 
 ■そして、その
 「ホーソン工場実験」の結果、
 当初の予測と全く異なる
 興味深い結果がでたのです。
 
 
 まずわかったこと。
 
 それは、
 
 ・作業所を暗くしたり、
 ・労働条件を変えてみたり、
 
 さまざまな作業条件を
 設定したにも関わらず、
 
 実験対象に選ばれた女性たちのグループは
 「高い生産性を保ち続けた」
 
 ということ。
 
 (つまり、作業条件では、
 生産性は変わらなかった)
 
 そして、作業条件を元に戻したところ、
 過去最高の生産性を示しました。
 
 
 ■、、、はて、これは何だ?
 
 作業条件を変えても
 ”生産性”は下がらない。
 
 では、一体何が彼女たちの
 「生産性」を高めているだろうのか?
 
 
 結果、ハーバード大学の
 メイヨーはじめ、結論付けたことは
 
 
 「彼女たちの生産性を支えているのは、
 作業条件の良好さではなく、
 『職場の人間関係である』」
 
 
 ということでした。
 
 
 実験では、監督が高圧的に監視はせず、
 女性工員は自由な雰囲気で仕事ができている、
 
 作業条件の変更の際は女性工員に事前に相談がなされ、
 工員たちが反対した変更が強行されることはなかった、
 
 など、
 
 実験対象の彼女たちへの配慮が
 「働きやすい関係性」を構築し、
 喜んで仕事をすることで生産性が上がったのでした。
 
 
 
 ■これが「ホーソン工場実験」の結果であり、
 
 この実験の前までは
 
 「疲労・報奨と罰のあり方」などの
 作業条件で生産性が変わると考えられていましたが、
 
 
 【「職場の人間関係」「監督者の態度」といった社会的条件が
 ”モチベーションを高め生産性に影響を与える”ことが示された】
 
 
 と生産性に対する考え方が変わったのです。
 
 そしてこれは、
 「メイヨーの人間関係論」として
 今につながっています。
 
 
 
 
 ■この実験を見ると、
 
 90年前の過去から振り返ってみても、
 仕事や産業が変わっても、
 
 
 ”人間関係が良好であることは、
 生産性につながる”
 
 
 ということが言える、
 そもそもの実験結果かと思います。
 
 
 そうすると、マネージャーが
 
 「何で私が部下の話を
 聞かなきゃいけないんだ?」
 
 という疑問に対しての回答は
 
 
 『それは生産的な職場を実現するために、
 ”人間関係を良好にすることが不可欠”だから』
 
 
 と言えるのでしょう。
 
 
 
 ■人は機械と違います。
 
 ゆえに、関係性の善し悪しは
 良い生産性を保つ上でも
 とても大事なことになるのでしょう。
 
 ということで、
 
 「職場の人間関係はやはり大事」
 
 であるし、
 
 「リーダー/マネージャーは、
 職場の関係性を良好に保つことが
 成果にも繋がる」
 
 のだな、ということを
 改めて学んだ次第です。
 
 最後までお読み頂き、ありがとうございました。
 
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 <本日の名言>
 私は声をあげて称賛し、
 声を和らげてとがめる。
 
 エカチェリーナ二世(ロシアの女帝/1729-1796)
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