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2279号 2020年5月18日

今週の一冊『サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福』

(本日のお話 4176字/読了時間6分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、朝10~18時まで
終日オンラインセミナーの参加でした。

その他、日曜日の
7つの習慣勉強会の準備や
読みたかった本の読書など。



さて、本日のお話です。

毎週に日曜日は、
おすすめの一冊をご紹介させていただく
今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

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『サピエンス全史(上)-文明の構造と人類の幸福-』

ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B01LW7JZLC/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i0

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です。

■今のような
誰もが目に見てわかるような時代の結節点には、
「未来への不安」も、一気に顕在化してくるように思えます。

なんだか不安を煽るようで恐縮ですが、

中高年の方は、定年後も含めた
ゆくゆくの自分のキャリアへの不安、
(2000万円問題等々)

新入社員の方も会社への不安、
(上場企業の倒産などのニュース等々)

社会人で働く多くの人にとっての
「ジョブ型労働」になったときの、
”自分の価値”への不安、

など、メディアでも
ちらほら見聞きします。

■そんな中、
「未来へのサバイバル」というテーマで、
少し前によく目にした面白いデータがありました。

それは、オックスフォード大学が出した、
『2030年に必要とされるスキル』という論文です。

120のスキルから
上記テーマで順位付けをしたものです。

(以下、引用です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<2030年 必要とされるスキル>

1位: 戦略的学習力(Learning Strategies) ※スキル
2位: 心理学(Psychology) ※知識
3位: 指導力(Instructing)  ※スキル
4位: 社会的洞察力(Social Perceptiveness)  ※スキル
5位: 社会学・人類学(Sociology and Anthropology)  ※知識
6位: 教育学(Education and Training)  ※知識
7位: 協調性(Coordination)  ※スキル
8位: 独創性(Originality)  ※能力
9位: 発想の豊かさ(Fluency of Ideas) ※能力
10位: アクティブラーニング(Active Learning)  ※スキル
11位: 心理療法・カウンセリング(Therapy and Counseling)  ※知識
12位: 哲学・神学(Philosophy and Theology)  ※知識
13位: 伝達力(Speaking)  ※スキル
14位: サービス志向(Service Orientation)  ※スキル
15位: アクティブリスニング(Active Listening)  ※スキル
16位: 高度な問題解決力(Complex Problem Solving)  ※スキル
17位: オーラルエクスプレッション(Oral Expression) ※能力
18位: コミュニケーション学・メディア学(Communications and Media)  ※知識
19位: 活舌(Speech Clarity)  ※能力
20位: 判断力・意思決定力(Judgment and Decision Making)  ※スキル
21位: 英語力(English Language)  ※知識

44位: 外国語(Foreign Language)  ※知識

66位: プログラミング(Programming)  ※スキル

出典: The Future of Skills: Employment in 2030 – University of Oxford
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■さて、いかがでしょうか。

どのようなことを、
感じられましたでしょうか。

、、、

おそらく思うところは
皆さまそれぞれだとは思います。

ただ1つ注目できるのは、

「AIの時=プログラミング」
「グローバル化=英語・外国語」

というものでもないということ。
(66位:プログラミング、44位:外国語etc.)

■また、もう1つ
上位にある能力として、
「1位: 戦略的学習力(Learning Strategies) ※スキル」
に代表される

『学ぶ力』

(「教育学」「独創性」
「発想の豊かさ」「アクティブラーニング」など)

が挙げられていることは
やっぱり私達に「学び続けること」が求められていると、
改めて認識させてくれるようにも思えます。

■…ただ、私(紀藤)が何よりも
興味深いと思ったこと、それは、

『人間そのものへの理解に関連した知識・スキル』

例えば、

2位: 心理学(Psychology) ※知識
4位: 社会的洞察力(Social Perceptiveness)  ※スキル
5位: 社会学・人類学(Sociology and Anthropology)  ※知識
12位: 哲学・神学(Philosophy and Theology)  ※知識

などが、
上位に多く出揃っている、
ということでした。

10年後に必要とされる知識・スキルが、
心理学、社会学・人類学、哲学・神学であるって、
どういうことなのでしょうか。

■しばしば未来予測において言われますが、

テクノロジーが発達して
多くの作業を人がやらなくても良い時代に、
「人間」に何が必要とされるかと言うとやっぱり、

”想像し、創造すること”

に尽きるでしょう。
何の捻りもないですけど、
やっぱりそれが事実な気がします。

かつ、今がどういう時代かと言うと、

・発展し拡大し続ける資本主義の未来はどうなるのか?
・LGBTを始めとした多様性をどう考えるのか?
・SDGs(持続可能な世界)をいかに実現するのか?
・保護主義・自国第一主義で本当によいのか?

など、世界全体が繋がった議題が、
ますます多くなってきている時代であると、
これまたよく目にするテーマです。

■つまり、そんな「繋がっていく人類全体の課題」に直面している中で、
何が大切かを知るためには、
”人類有史以来、人がどのように争い、文明を発達させ、
統合と分裂を繰り返し、そして今に至ってきたかという「大いなる文脈」”

を探求することに答えがあるのでは、
とも思うのです。

いわゆる、

”愚者は歴史から学び、賢者は歴史から学ぶ”

というやつでしょうか。

■…なんていうと、

「まあそりゃそうかもだけど、
どうやって理解するの?」

「人間ついて、
宗教、戦争、科学、文明、共通ルールを横断した、
複雑に絡まり合う世界を、いかに1つのストーリーとして捉えるの?」

という問いが、極めて難しいことは
いわずもがな、想像ができそうですし、
答えに窮してしまいそう。

(私なぞは、答えられるはずもありません)

■ただ、もし1つ
答えに至るヒントがあるのであれば、
今回の『サピエンス全史』。

この本は、

”「人間(ホモ・サピエンス)」がどのような歩みを経て、
今に至ったのかという壮大な事実を、
一つの物語として描き出している”

といえるかと思います。

先程の、オックスフォード大学の
「2030年に必要なスキル」で言えば、

”4位: 社会的洞察力 &
5位: 社会学・人類学 を鍛える本”

と(私は)感じております。

■では、この本、
どんなことが書かれているのでしょうか。

かなり「人類の歴史」がテーマなので、
ぶっちゃけ、壮大過ぎて読んで下さい、としか言えません(汗)

しかし1つメインテーマとして
掲げられている注目すべきものは

『認知革命』

というキーワードです。

■「認知革命」とは

”想像上のものを、「真実」であると
集団が共同幻想を持つことができる”

ということ。

これがこれまでのネアンデルタール人と、
20万年前に登場したホモ・サピエンスの、
大いなる違いである、と語ります。

■例えば、「会社」もそう。

この事例で、
”プジョー(車のメーカー)”の例がでてきます。

仮にですが「プジョー」という会社で、

・もし、経営者が全員変わって
・もし、工場も全部移転して
・もし、そこで働く人も総入れ替えして

あらゆるものが
全部入れ替わったとしても、
「プジョー」という会社の存在は変わりません。
毎年、決算報告書を出し続けるでしょう。

では、「プジョー」はどこに存在しているのか?

工場?本社の経営陣?
それともその他のどこか?

、、、そう問うてみると、

”想像の中(認知の中)で、
皆が存在していると認めているから、存在している”

となるのです。

■また、「お金」もそうです。

これもよく言われるように、
共同幻想の最たるものです。

そして、
ホモ・サピエンスの一番の共同幻想の始まりが、
貨幣であると言います。

ゴリラは、目の前にある食べ物が「現実」で、
想像上の「会社」に価値を置いたりしません。
「お金」という目に見えないものにも、価値を置いたりはしません。

実態は、ない。

ただ、皆がそこに”ある”と信じているから、ある。

これによって、人類は
貨幣を生み、宗教を生み、帝国を生み、
そして文明を発展させてきたのです。

■視点を現実に近づければ
「男女の役割(ジェンダー)」だってそう。

”女性は管理職は難しい”
と思われていたのも共同幻想だし、

”男らしさ女らしさの定義が、
中世と現代とでまるで違う”
(※中世は男性がかつらをかぶり、ヒールを履いていた)

のも共同幻想の賜物。
みんながそう思う、ということで成り立っているのが
人類世界であり、社会なのです。

■また、「文明の複雑さ」についても、
興味深く語られます。

例えば、戦争でも
侵略がよい、植民地が悪い、
(つまり、先住民の文明を破壊してきた)
という文脈で語られることも多いものですが、

『そもそも全ての文明は影響を与え合っており、
固有の文明は存在しない』

という、別の視点も投げかけます。

■例えば、イタリアで「トマト」が
昔からの独自の食べ物のイメージがあるようでも、
実はそれはアメリカ大陸の開拓でもたらされたもの。

イタリア固有の食べ物ではない、
というのも”文明の繋がり”が今に至る例。

あるいは、帝国の活動(例えば大英帝国のインド侵略など)も
一方的に「悪」と断罪されるきらいがあるけれども、

その”文明の繋がり”が
今に繋がっていることも事実。

インドの民主主義の制度も、
インフラもそう。

さらに過去に遡れば
インドのイスラム帝国主義の侵略で作られた
世界遺産の「タージマハール」の建造もそう。
インドの純正文化といえば違うけれど、
その文明の交わりで、できたものもある、ということ。

奴隷制度による支配階級と被支配階級の繋がりは、
暇をもたらし、モーツアルトの楽曲を生み出したのも然り。

■もちろん様々な意見はあるけれども、
強きも弱きも含めて、すべては

”人間(ホモ・サピエンス)という種が、
影響し、影響される大きな流れで今にいたっている”

と複雑なシステムで今に至っているということは
間違いがないことでしょう。

そして、

”大きな流れで言えば、
人類は統合している流れにある”

と著者は語るのです。

そして、その視点が、
「未来を見通す鍵になる」とも思えます。

以下、著書より引用です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

歴史の方向性に気づくかどうかは、実は視点の問題だ。

物事の展開を何十年、何百年という単位で考察する、
いわば鳥瞰的な視点から歴史を眺めれば、

歴史が統一性に向かっているのか、
それとも多様性へと向かっているのかを判断するのは難しい。

だが、長期的な家庭を理解するには、
鳥瞰的な視点はあまりに視野が狭すぎる。
鳥の視点の替わりに、宇宙を飛ぶスパイ衛星の視点を採用したほうがいい。

この視点からなら、数百年ではなく数千年が見渡せる。

そのような視点煮立てば、
歴史は統一に向かって執拗に進み続けていることが歴然とする。

(中略)

歴史の進む全般的な方向を理解する最善の方法は、
地球という惑星上に同時に存在する別個の人間社会の数を数えることだ。

今日私たちは、地球全体を1つの単位として考えることになれているが、
じつのところ歴史の大半を通じて、
地球は孤立して散財する無数の人間社会の一大星雲だった。

(※著書より引用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

未来を見通す方法は、

「宇宙を飛ぶスパイ衛星の視点(数千年の視点)を持つこと」。

、、、とのこと。

もう何も言えません。

■歴史学者という視点で
若干40歳にして「人類」という種を軸に、

膨大な知見をもった著者の考えを、
具体的な世界史の出来事を例に出しながら、
縦横無尽に具体と抽象の間を行き来して理論を展開する流れに
驚きと興奮を覚えることかと。

これからの未来を見通す上で
大変学びになる一冊かと思います。
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<今週の一冊>

『サピエンス全史(上)-文明の構造と人類の幸福-』

ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)



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