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2513号 2021年1月7日

「何でもかんでもコーチングで解決出来ると思う病」に気をつけよう

(本日のお話 2240字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は朝から10キロのランニング。
また1件のアポイント。
加えて、コーチング。

夕方からは経営者の集まりによるオンライン懇親会、
その後、システムコーチングの打ち合わせでした。



さて、本日のお話です。

昨日、オンラインコーチングのサービスを
提供している経営者の方を含め、
色々とお話を聞く機会がありました。

その中で出てきたお話が、
大変納得できることで、

私たちもどんな理論や手法を学ぶ時でも、
覚えておきたい姿勢だよな、、、

と思ったのでした。

今日はこのお話について、
皆さまに学びと気付きをご共有させて
いただきたいと思います。


タイトルは、


【「何でもかんでもコーチングで解決出来ると思う病」に気をつけよう】


それでは、どうぞ。



■先日、

オンラインコーチングサービスを
提供している会社の経営者を含め
ZOOM飲み会をしました。


その中で出来きた
今のコーチング業界に対する見解が
興味深い内容でした。


「コーチングを学ぶと、
全部コーチングで解決しようとする
コーチって結構いるんですよね。

でも、どんなシチューエーションでも、
コーチングが機能するわけでもない。
時にはティーチングが必要なときもある。

いつ何時も、
「うんうん、そうなのですね」と
聞いてたら、気持ち悪いじゃないですかw」


「また、何でもかんでも
”関係性の問題”にしてしまうのも違いますよね。

もちろん関係性は大事。
でも、それ以外にも組織には、
構造・制度・権限・情報など
たくさんの要因がある。

その中で、”関係性の問題だ”と
すぐ言ってしまうのを、

「関係性オバケ」って
私、呼んでるんですよね(苦笑)」


、、、というお話でした。

なかなかの切りっぷり。

この話をコーチングの
会社の代表がしているのが
実に興味深いです。



■一方、大変納得しました。

こういうパターン
本当によくあるよなあ、、、、と。

人は、自分が時間とお金と労力を注いだものを、
肯定したくなるものだと感じます。

ゆえに、

「7つの習慣」でも
「ストレングス・ファインダー」でも、
「コーチング」でも、

その分野で力を注いできて、
考え方やツールを愛し、
しかも自分自身が効果を感じているとき、

『全部”その考え方やツール”で解決したくなる』
(あるいは出来ると思ってしまう)

こと、つい起こりがちです。



■何かあれば、

「上司の”コーチング力”が足りないかもですね」(→コーチング)
「”強みの文化”が大事ですね」(→ストレングス・ファインダー)
「社員の自立が大事です」(→7つの習慣)

というように。

それらだけで解決できるとは思わずとも、
多分にバイアスがかかり、それこそが要である、
と思ってしまう。

いわゆる、

”金槌を持つと全部釘に見えてくる”

という現象です。



■ただ冷静に見極めてみると

・情報共有の仕組みを整える
・オンラインで働く環境の整備する
・権限を委譲する
・評価を明瞭にする
・仕事の完結性を保つ

ことのほうが、
コーチングや自立より、
よほど大きい影響を組織に
与えていることもありうるのです。

だから、バイアスをかけず
客観的に、課題分析/ニーズ分析をする必要もある。

ただ、”よせて”みてしまうのです。


■このことは私たちのような、
コーチ、専門家だけが陥るわけではなく、

それを学んだ研修の参加者も
同じようなことが言えます。


例えば、「コーチング研修」などで
参加者からよく頂く質問は、


「メンバーがまだ新人で、
経験も知識も足りていない状況です。
実際コーチングも挑戦していますが
なかなか機能しません」


など。

この場合の答えは、

「もちろん、ティーチングも必要」

という話になります。

そもそも内省が機能し始めるのは
入社3年目くらいからというデータもあります。

それまではとにかく経験を積んで、
色んな仕事をたくさん行うことがポイント、

(つまりコーチングで内省をさせる以上に
ティーチングで経験をさせることが大事)

となります。


その中で、

「コーチングさえやっておけば、
全てのケースに対応できる」

と思ってしまうきらいが
どこかにあるようにも思うのです。



■このことを、MIT名誉教授でもあった
ドナルド・ショーンは以下述べています。

「学習転移モデル」
(=理論を習得し実践に活かす学び方)において

”知識とは限定された状況のみで効果を発揮するものではなく、

状況の境界線を越えて、
多くの(場合によっては普遍的な)状況で適用可能である、

という知識観に基づいている”

と語りました。


つまり、乱暴に解釈してしまうと、

「コーチング」などを含め
理論や手法など教えられるもの(=学習転移モデル)では

「どんな状況でも使えるという”知識観”がある」

ということ。

でも、「どんな状況でも使える」という知識観は、
実際そうなのかと言うと、そういうわけではないはず。

もっともっと
実際の問題は複雑です。
その複雑に入り組んだ中で、
自分の中の知識・考え方を
うまく混ぜ合わせながら、

その時々に応じた即席かつ
一次的に使える理論を編み出しながら、
対応していくことが求められます。

だから、難しいし、経験が必要なのです。



■そんなことを考えると、
改めて何かを学ぶ際に心がけたい姿勢とは、

”「その手法が絶対ではない」という視点も持ちつつ、
手法を真剣に学ぶというスタンス”

が大事だと思います。

例えるならば、
ウルトラCの超必殺技ではなく、
Bクラスの使える技を一つずつ獲得していくイメージ。


真剣に学ぶことは大事ですが、
執着や固執は違います。

学びに終わりはないし、
一つのことを深く掘ると、
必ず別の理論と混じり合う場所が出てきます。

そこを探求していく学習者としての目が、
とっても大切なのだろうな、と思います。


ということで、
常に視野を広く持ち、
学び続ける事が大事だな、と思った次第。


そして改めて、


【 「何でもかんでもコーチングで解決出来ると思う病」に気をつけよう 】


と自戒を込めて締めたいと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

逆説は、頭の働く人の思考癖である。

アンリ・フレデリック・アミエル(スイスの詩人/1821-1881)

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