メールマガジン バックナンバー

2549号 2021年2月11日

「経験学習」による能力向上と、社会人歴はどんな関係があるのか

(本日のお話 1736字/読了時間2分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
また1件のコーチング。
その他研修企画の策定などでした。



さて、本日のお話です。

大学院受験まであと8日。

組織開発・人材開発の本を
ひたすらに読んでおります。

しかし読めば読むほど、
知らない話がたくさん出てきて
不安が募るばかり。。。(汗)


、、、とはいえ、その学び自体が面白く、
なるほどな、と唸らされることは楽しいです。


ということで本日も学んだことを皆さまに
ご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう。


タイトルは、


【「経験学習」による能力向上と、社会人歴はどんな関係があるのか】


それでは、どうぞ。



■なんだか難しいタイトルになってしまって、
スミマセン。。。。


さて昨日、メルマガにて


【統計データからみる上司と部下の「1on1」の重要性】
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3757361/


というテーマで
お話をさせていただきました。


結論としては、

1、経験を振り返り、内省する機会が
  人を成長させてくれる
  
2、上司が内省を促す関わりをすることで
  部下の育成に資することができる
  
というお話でした。



■人は「経験と内省」を通じて
学習をしていく。

このことを、

『経験学習モデル』(デイビットコルブ)

といい、

1,具体的経験(物事を体験する)

2,内省的観察(自分自身を振り返る)

3,抽象的概念化(上手くいく・失敗するパターンなど抽象化する)

4,能動的実験(行動をする)

というように

”経験を通じ、振り返りながら学んでいく”

というのが学習のポイントである。


ゆえに、

”経験”と”振り返り”を自分自身でも、
あるいは部下の能力向上を促す上でも
大切にしましょう、

というお話をお伝えいたしました。



■今日はこのお話の、
もうちょっと深いバージョンのお話です。

ちなみに、ではこの「経験学習」について、
もう1、2歩深めたとある実証研究があります。

それはこんな内容。


『Q, 社会人経験の多寡(短い・長い)が
 どのように経験学習に影響するのか?』
 

というクエスチョンです。

(※参考:中原淳『経験学習論 ー人材育成を科学するー』,東京大学出版会,2012)



■この問いについて

316名の、22歳以上35歳以下を対象に、
以下のように分けて質問をし、
調査をしたとのこと。


わけ方は、

1)社会人歴1~2年目の「駆け出し社員」

2)社会人歴3~9年目の「若手・中堅社員」

に分類。

それぞれで

1,具体的経験(物事を体験する)

2,内省的観察(自分自身を振り返る)

3,抽象的概念化(上手くいく・失敗するパターンなど抽象化する)

4,能動的実験(行動をする)

の1~4のうち、
どれが能力向上に(統計的に有意に)影響を与えたのか、

その違いは、社会人歴の年次により、
違ってくるのだろうか?
という実証研究です。



■これは、きちんと統計をとっているので
実に信頼性が高く興味深いです。

さて、結果ですが、
どうなったのでしょうか?

結論は、

1)「社会人歴1~2年目」 →『具体的経験』が能力向上に繋がった

2)「社会人歴3~9年目」→『具体的経験』『内省的観察』
  『抽象的概念化』『能動的実験』のいずれも能力向上に繋がった
 
となりました。


つまり、違いは、

「駆け出しの若手」は、
”とにかく経験をすること(具体的経験)”がより重要

ということがわかりました。


ある程度自分で仕事ができるようになったら
経験に対して何が良かったのか悪かったのかを
自らで「内省的観察」をし、

そしてそれを「概念化」して
自らのマイセオリーを作る。

それが能力向上に
特に有効になってきます。

でも若いうちは「まず経験!」なのですね。


■また、他の傾向もあります。

職種別で言えば、

・営業職→「抽象的概念化」が能力向上に役立つ
・研究職=「能動的実験」が能力向上に役立つ

というように職種ごとの
経験学習を通じた能力向上の違いもでていて、
これもまた面白い。


■更に更に言えば、

いずれの、

『具体的経験』『内省的観察』
『抽象的概念化』『能動的実験』

という経験と振り返りも、
行っている社員とそうではない社員では、

『業績に違いが出ている』

ことも、まだ半ばの実証研究ですが
仮のデータとして出ているという話もあります。

(もちろん、経験学習のプロセスを経たほうが
 「業績が高い」という結果です)



■「学びや教育」というと、
なんとなく馴染みがあるので、

直感や感覚で
やっていることがあります。

それはそれぞれが
持論を持っている領域だからであるがゆえ。

それは事実としてあります。


ただ、このように理論的に
証明されていることもいくつかある中で、

このようなことを知り、学び、
実践に生かしていくことは

私達の能力向上への近道となりえるのであろう
そんなことを思います。


ちょっとマニアックなお話ですが、
こういうお話も知っていると、
色々ヒントになると思います。

何かしら、ご参考になれば幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

来た道を振り返るという点で、
人は河と違う。

セルバンテス(スペインの小説家/1547-1616)

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