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2597号 2021年3月31日

こんがらがった問題を解決するには「システム思考」が役に立つ

(本日のお話 2460文字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は、東京芸術大学の
某プロジェクトから始まった
新サービスのワークショップづくりの
ミーティングでした。

最近、自分の会社だけではなく
様々なプロジェクトにご一緒させていただく
機会が増えており、実に楽しい限り。

お仕事をさせていただけるご縁に、
改めて感謝でございます。



さて、本日のお話です。

最近「組織開発」に関わる機会を
色々と頂いております。

この「組織開発」なる言葉、
人事界隈でのバズワードとなっており
かなり注目されている言葉(らしい)です。

ちなみに「組織開発」とは、

1,人を集めてもてんでバラバラで、チームの成果が出せない場合に
2,あの手この手をつかって、
3,組織を「Work(成果を出せるように)させる」意図的働きかけであり
4,そのことでメンバーにやり取りが生じ
5,チームの共通の目標に動き始める手助けをすること

と説明されています。
(『組織開発の探求』(著:中原純、中村和彦)より)

、、、ただ皆さまもご存知のとおり、

組織というのは
実に様々な問題が絡まったあやとりのように
こんがらがって絡み合っており、

「1つ、これだけ解決すればOK!」

という単純な話ではないのが、
なかなかに難しいところ。

そしてその問題を解決するためのキーワードが

『システム思考』

なのです。

今日はそのお話について、学びと気づきを
皆さまにご共有させて頂ければと思います。

それではまいりましょう。

タイトルは、

【こんがらがった問題を解決するには「システム思考」が役に立つ】

それでは、どうぞ。

■とある本で、こんなお話が
紹介されていました。

「日本の教育改革」について、
然るべき国の関係者が集まって策定された、
教育方針についてのお話です。

まず、以下お目通しください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

”今後における科学技術の発展や産業構造、
就業構造などの変化に対応するためには、
個性的で創造的な人材が求められている。

これまでの教育は、どちらかというと
記憶力中心の詰め込み教育という傾向があったが、

これからの社会においては、
知識・情報を単に獲得するだけではなく

それらを適切に使いこないし、
自分で考え、創造し、表現する能力が一層重視されなければならない。

創造性は、個性と密接な関係を持っており、
個性が生かされてこそ、真の創造性が育つものである”

ー臨時教育審議会編より抜粋

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

というお話。

、、、上記を見ると、

「まあ、最近言われている
当たり前のことだね」

と思いそうです。

私自身もそう思いました。

ただ、興味深いのが、
然るべき教育関係者で握った上記の内容は

「1987年」

のものである(!)のです。

■つまり、

30年以上前に話をされていたけども
(多分未だ)形になっていない。

、、、これどういうことだろう?

という疑問。

■でも、国のような大きなところでも、
組織でも、あるあるの話でもあります。

この問題には
一つのこれだけと言えることはありませんが、

”握りあったことは「タテマエ」であり、
本音では望んではいない多数派がいる”

ため、見えないところで、
逆風、障害、反発が起こっている、
と考えられます。

■実際に、これは私の感覚もありますが、

非常に尖った、個性的な新人がやってくると
現場は困っているように思います。

やはり組織のルールを学び、
馴染んで貰わないと困るし、

その組織のルールや規範を超えて
新しいことをする人は煙たがられたり。

だから、多様性と言いつつ
予測できる仕事を任せやすい新人のほうがいい。

■でも、じゃあ

個性的な人を必要ないと思っているか、
反対なのかというと、

これもまたそういうわけではない。

どちらもまた真なり、です。

未来に向けて、
個性を重視しようとする
経営陣の意見も事実だし、

でも実務似た豆沢rう現場の課長・部長から見ると
優秀かつ従順な社員がいい、というのもまた事実。

■結局、多くの問題は、

多面性があって然るべきだし、
どれもある側面から見れば真実になりえる、

となります。

”要素還元的に、
何かの問題を要素ごとにバラバラにして
一つずつ潰していけば解消される”

という話はないのが現実、
ということ。

ゆえに、特に組織の問題などを考えるときは

”絡み合ったシステム”

として問題に向き合わなければ、
その絡まったあやとりのごとき現状を
前に進めることはできない、

つまり、

”隠された真因の解決にはならない”

と言えるのでしょう。

■、、、とつらつらと
説明チックにお話をしてしまいましたが(汗)、

本当に多くの組織で
上記のような事象が起こっています。

例えば、

・チームで助け合わない問題に対して
「マネジメントスタイルに問題がある」と言っている。

でも実は、個人ベースの徹底された成果主義の仕組みが
助け合いの文化を妨げていた、

とか

・新事業の抜擢人事に誰も手を挙げないことを
「社員の主体性の問題」としていたが、

実は以前、同部署に抜擢人事をされた人が
ものすごく責められ、干されたことを皆が知っていた。

ゆえに誰も行きたがらなかったという
過去のしがらみがあった

とか、

・新マネージャーが機能しない理由は
リーダーシップが足りないとされていたが、

実際は、元マネージャーの右腕と
新マネージャーの意見の対立が、
チームの空気を悪くしていた

など、

”見えている部分ではない問題が真因”

として隠れていたり

あるいは問題を皆が感じているのに
あえて口に出さずに黙認している状態に
チーム全体がある、ということは

実に多くあります。

■そして問題が解決されない理由として

・何かの1つの要素に
問題を帰結させる

とか、

・聞こえのよいタテマエの言葉で
本音を隠している

というとき、

結局、組織が痛みを抱えたまま前に進めない、
デッドロック状態になっていたりします。

■ではどうすればよいか?

そこで大事なのは、第一に
問題を複雑に絡み合ったシステムである
と捉える、

『システム思考』

を身につける事が重要になります。

その上で、問題は複雑に絡み合った
システムと捉えた上で、

”隠された真因を明らかにしつつ
ガチンコで対話をする”

というプロセスを
関わる全員で行っていく必要がある、

と思います。

■正直、実に手間がかかるし
大変なプロセスです。

特に冒頭に紹介した
「国の教育改革」みたいな

その関連する人々のシステムが
非常に広範囲にわたり、
かつ根深いものだと、実に大変。

システムの規模が大きくなるほど
その複雑性は高まりますので、
難易度は高まっていくし、
だから「なんかへんだ」と思いながら
解決されないまま今にいたる、

とも思います。

ただ、結局根本は同じで

「全体を部分ではなく、
システムとして捉えるシステム思考」

を多くの人が持てるかどうか、は

問題解決のため、
よりよい現実を作るための
一つの鍵となると思っております。

■問題の原因を
1つの要素原因に還元しない。

そのままのシステムとしてみる。

そこに絡み合う
様々な視点・意見を捉えて、

スッキリしない答えの中でも
関係する人と合意をとって前に進める。

複雑性が高まる世の中で
とっても重要な思考だな、

と改めて感じている次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

人生で何より消耗するのは、本心を隠すことだ。
だから社会生活がこれほど消耗するのである。

アン・モロー・リンドバーグ(米国の飛行家・文筆家/1906-2001)

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