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3461号 2023年8月15日

「クライアントとの美しい別れ」を目指そう/『人材開発・組織開発コンサルティング』 第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ7 別れる)を読んで

(本日のお話 2253字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は研修の企画、作成。
ならびに夜は10kmのランニングでした。

やはり走ると、体が目覚めるようで
とても気持ちがよいです。



さて、本日のお話です。

本日も引き続き、

今日も引き続き、
人材開発・組織開発の「日本初の教科書」である、

『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』
(中原淳/著)


を題材にまとめと感想をお伝えしたいと思います。

気づけば、この書籍を味わいながら
書評を書いて早11回…

人材開発・組織開発に
ご縁がない方にとってはなんぞや??

と思われるかもしれませんが、

・人事
・マネジャー
・経営者

多くの人と組織に関わる方にとって、
とても重要な一冊だと読むほどに感じます。

ということで、本日は
「人材開発・組織開発コンサルティングの7ステップ」の最後、
「ステップ7 別れる」にまりいます。

それではまいりましょう!

タイトルは

【「クライアントとの美しい別れ」を目指そう】

~『人材開発・組織開発コンサルティング』
第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ7 別れる)を読んで~

それでは、どうぞ。

■ある研修講師が、
参加者の方に対して言った言葉。

それは

「実際に学んだことは、忘れます。
そしてなかなか定着しません。

だから私達のような研修会社が
儲かるんですよね(笑)」

…とのこと。

聞いたとき、私は戦慄しました。。。
それを提供側がいっちゃ、ダメでしょ、、、と。

もちろん「学んだことを忘れる」というのは
一つの事実ではあります。

しかし、

「忘れる」→「研修する」
→「忘れる」→「また研修する」

それを繰り返すことを良しとして
コンサルタント(研修などの実践者)が認めてしまったら、
それこそ「研修という名のクスリ漬け」にしていることを
認めているのと同義ではないか、、、

そんなことを思ったのでした。

■さて、連日ご紹介させていただいている

本書籍の元となった授業がある
立教大学大学院 経営学専攻 リーダーシップ開発コースでは

大学院1年目の秋のプロジェクト、
大学院2年目の最終プロジェクトにおいて
「何度も問われる問い」がありました。

それが

『クライアントに何を残せたか?』

という問い。

クライアントの組織に対して
「人」や「仕組み」を残せたのか?

あるいはコンサルタントが、
そのプロジェクトを終えたときに
クライアントの対象者に学びの実践を続けられる
「ツール」などを残せたのか?

毎度のこと、そう問われていたように思います。

■正直、私(紀藤)も
研修講師としての役割を担う身としては

”やったことがある複製可能な仕事を
任せていただけるのはありがたい”

もの。

なぜならば、

そこには開発コストもないし、
準備などもある程度仕組みになっているので、
利益を生み出しやすいから。

それは、経営としては
悪い戦略ではないと思う一方、

「自分がいなければ成り立たないような研修に
依存させてしまっているのでは」

と一抹の不安を感じることも
やはりあるものです。

■その中で「クライアントとの別れ」を
前提とした関わりをするのであれば

”クライアント組織が
自分たちで伝えたことを実践できるように「支援」をする”

ことこそが、重要なポイントであるし、
そのために自分ができていないことも、
振り返り考えさせられたのでした。

■では、

クライアントと「お別れ」をするとは、
一体何を、どんなポイントで行えばよいのか?

その点について示しているのが
「ステップ7 別れる」のパートとなります。

ということで、以下本パートの
ポイントをご紹介いたします。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ
(ステップ7 別れる) ポイントまとめ】

<1,相手が自走できる関係をつくる>

・コンサルティングの最終ゴールは、
「クライアントが自ら独力で実践を行い、成果を上げる」こと。

・クライアントを「支援漬け」にしてしまえば、
やがてクライアントは「慢性的支援依存症」に陥る。
(=これを意図的に依存させる状況に作り上げるコンサルタントもいる)

<2)別れには「置き土産」が必要である>

{1}「コンテンツ」を残して別れる
{2}「人」を残して別れる
{3}「制度」を残して別れる
{4}「システム」を残して別れる

<2,実践内容を事例としてまとめる>

・コンサルタントにとっては、
実践こそが最大の学びであり、経験こそが「資本」である。

・コンサルタントの仕事には2つある。
-「これまで何度もやったことのあることを再生し、横展開していく仕事(=儲ける仕事)」
-「これまでやったことのない背伸びの仕事(=能力を伸ばす仕事)」

・背伸びの仕事をした後は、振り返りを行い
事例としてまとめることをお勧めする。

※引用:
『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(中原淳/著)
P425~P431
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■なるほど。。。身につまされます。。

同時に、コンサルタントの立場としては
このパートを読みながら、

「最近、時間や労力がかかる割に、
あんまり利益がでない仕事が多いなぁ(汗)」

と思っており、実は葛藤をしておりましたが、

これは大学院卒業後、

「これまでやったことのない
背伸びの仕事(=能力を伸ばす仕事)」

を知り、そこに取り組まねば、、、!
と葛藤しているゆえなのだ、と合点が行きました。

■クライアントとの「別れ」。

こうした考えはあまり語られることは
ないようにも思います。

ただ人材開発・組織開発の支援者が
数多くの経験をして、

いろんな人材課題・組織課題に対する
課題の捉え方や、介入の手札を持ち、

どんどん出会ったクライアントに
お渡ししていけるような、
そんな関わり方ができるコンサルタントがたくさん増えたら

もっともっと、人づくり組織づくりが
ポピュラーなものとして裾野が広がるのだろう、、、

そんなことを思います。

私もその一端として、

「クライアントとの美しい別れ」を

たくさん作れるような人になりたい、、、
そんなことを感じさせられた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

勇気のある人間は、自分自身のことは
いちばんおしまいに考えるものだ。

フリードリヒ・フォン・シラー
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