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433号 2014年12月11日

「昔はよかった」、というけれど

■おはようございます。紀藤です。

私の今のマイブームの一つが、池上彰さん。

皆さんもご存じかと思いますが、
彼の話は、本当に判りやすいですよね。
無知な私でも、「すっ」と話が入ってきます。

今日は、そんな池上彰さんの
『池上彰の日本の教育がよくわかる本』から、
「へえー」と思わされるお話がありましたので、一つ共有いたします。


■しばしば、

「昔はよかった。今の時代の人は…」

というように、今の時代の道徳心の低さの悪さ(ゴミのポイ捨て、電車内での化粧、いじめ、虐待など)を、
昔と対比させて、嘆く人を見ることがあります。

今の人は、昔に比べて道徳心が低く、信念がない、と。

事実、私も「昔は、清く正しかった」、
そんなイメージがあります。

しかし、ここに面白い事実があります。

よくよく当時の新聞などを調べてみると、
・(道徳教育が盛んだった戦前のほうが)いじめ、虐待、親族殺害などの事件も多かった
・(道徳教育が盛んだった戦前のほうが)電車内で化粧する女性の数は多かった
・(道徳教育が盛んだった戦前のほうが)電車内でも席は譲らなかったし、裸になる人もいたりした
・(道徳教育が盛んだった戦前のほうが)ポイ捨ては多かった、電車内は荒れに荒れていた

(『「昔はよかった」と言うけれど』 大倉幸宏著より)

というように、
「昔の人は道徳心にあふれ、清く、正しい」
という印象とは違った事実があることが分かります。

皆が皆、「昔の人が清く、正しい」、
という印象を持っているかどうかはわかりませんが、
しかし、何割かの方は、
「昔の人は清く、正しい」
という印象をお持ちなのではないでしょうか。

しかしながら、上記の話を見ると、
「もしかしたらそうではないのかも?」
と感じさせられてしまいます。


■「人の印象」というのは恐ろしいものです。

具体的なデータを知ったり、
正しいか正しくないか疑ったりせずに、
「皆がそうだって言うから」
「そうやってテレビでもいっているから」
ということで、
「そうに違いない」と思いこんでしまうことが、
しばしば起りがちです。

そして、その思い込みから、
冷静な判断を欠いた行動をしてしまう。

そんなことも時として起こります。


■ちなみに「7つの習慣」の研修では、
こんな言葉が出てきます。

”私たちは世界をあるがままに見ているのではなく
 私たちのあるがままに世界をみているのだ”

ここに隠されたメッセージは、

”私たちは、自分自身を客観的に見るように気を付けないと、
 自分自身の「ものの見方・考え方(パラダイム)」に囚われてしまう。 
 すると、自分自身の視野を狭めてしまうことになり、
 良い結果を出す妨げになることがある”
 
ということではないかと、私は感じます。

色んな情報が飛び交う世の中です。

よくある噂話、例えば、
「となりの課の○○さんはイヤなヤツ」とか
「会社の経営がちょっと危ない」とか、
具体的に知りもしないのに、
聞いた情報をそのまま鵜呑みにしてしまうことが、
もしかしたらあるのかもしれません。

でも、「昔の人」の印象を、
知らないまま「清く正しい」と判断してしまわないように、
自分自身の考え方を、時に客観的に見ることも大切なのではないか、
そう思う次第です。

(ちなみに、念のためですが、
 実際に「昔の人の道徳心があったかなかったか」、
 というお話ではありませんので、あしからず)


最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今日が皆様にとって、素晴らしい一日になりますように。

【本日の名言】 いつも自分を磨いておけ。
あなたは世界をみるための、窓なのだ。
                
         ジョージ・バーナード・ショウ

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