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2504号 2020年12月29日

ジェリー・ビーンズの実験から学ぶ「集合知のパワー」

(本日のお話 2005字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は夜19:00より

【大学院受験プロジェクト】
「人材開発・組織開発のプロになるための16冊」を学ぼう!の会
https://forms.gle/fLySpASvk6WzY5DMA

の開催でした。

テーマの本は、

『組織行動 ー組織の中の人間行動を探るー』
(著:鈴木竜太、服部泰宏)

で、合計3週間にわたって
一冊の本を読み解きましたが
非常に面白く、実に学びが深まりました。


こういった組織開発、人材開発は
それぞれ繋がっているので
1つの本を熟読することで、
圧倒的に他の本が読みやすくなると感じます。

これからの学びが楽しみです。

年末年始、ガッツリまとめようと思います。



さて、本日のお話です。

今回の『組織行動』の中で、

集合知のパワーについて
興味深いお話がありましたので、
皆さまにご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう。


タイトルは、


【ジェリー・ビーンズの実験から学ぶ「集合知のパワー」】


それでは、どうぞ。



■「三人寄れば文殊の知恵」


という諺がありますね。


この言葉の意味は、

”凡人でも三人集まって相談すれば、
すばらしい知恵が出るもの”

です。

確かに皆さまも、
一人ではなく複数人でアイデアを出したり、
話をしたりすることで、

思いもよらぬアイデアが生まれたり、
一人では考えられなかったような結果が出る経験、
きっとあるのではないでしょうか。



■逆に言えば、

「船頭多くして船山に登る」

という諺もあります。

これは、

”指図する人間が多いために統一がとれず、
見当違いの方向に物事が進んでしまうたとえ”

とされており、

同じように人が集まっても、
むしろ集まったことで統一感が出ず、
船が山に登ってしまうような、
集団がマイナスの方向に働くこともある、

というお話。

これまた、皆さまも
経験があるのではないかと。



■このように

人が集まることで1人では起こらないような
様々な現象が起こることを(良きにせよ悪きにせよ)

『グループ・ダイナミクス』

と呼ぶそうです。


そして、この人が集まって起こる
様々な現象を『組織行動論』では
解き明かしており、その話が実に興味深いのです。



今日はその中から、
「集合知のパワー」を感じる、
ある実験をご紹介させていただきます。



■この実験は、

経済学者のジャック・トレイナーという方の

”「ジェリー・ビーンズ」の数の実験(状況推定問題)”

というものです。
(ジェリー・ビーンズは、
あのアメリカっぽいカラフルなグミみたいなお菓子です。
念の為補足でした)


実験の内容は以下の通り。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<「ジェリー・ビーンズ」の数の実験>

・透明な瓶に入った892個のジェリー・ビーンズがある。

・被験者の学生には何個、入っているかは明かされていない。

・被験者の学生56名に他の人と相談せずに、
「瓶の中に何個のジェリー・ビーンズが入っているか?」を
推定するように指示した。

・さて、どのようなことがわかったのか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

というもの。



■この実験で興味深かったのは、

学生により、色々な回答があり

・正解より遥かに下回る人もいれば(過少推定)

・正解より遥かに上回る人もいて(過剰推定)

本当にバラバラの回答だったのです。


しかし、
その学生56人の平均値を求めると、
驚くべきことに、

「871個」(※正解は892個なので、わずか21個の誤差)

という実に正確な値が得られた、

という話。



■ここでわかったことが、


”学生個人による推定値”よりも

「”学生全体の平均値”のほうが正確」である


ということ。

そして、この実験から分かったことが
このような「状況推定問題」、つまり

・ジェリー・ビーンズの数を当てるとか、
・道の交通量を想定する、とか
・日本の電信柱の数を推定する、とか
・イベントの来場者数を予測する、とか

等の問題の場合、


『複数の人からなる集団による推定
(個々のメンバーの推定の平均をとる)は、
個々のメンバーの大半よりも常に正確である』


ということでした。

(ポイントは、そういう場合が多い、ではなく、
「常にそうなる(!)」ということ)



■もちろん、これは

「状況推定問題」

という単純かつ特殊なケースの一例ですが、
実に興味深いな、と感じたのです。


本人がその道のエキスパートであれば別ですが、
基本、一般的な人が何かを予測しようとしたとき、

”一人で行うより、
皆がそれぞれ考えてその平均を考える”

ほうが、正解に近づくというのは、

「三人寄れば文殊の知恵」

の一つの例なのだろう、
と感じたのでした。




■ただ、上記はあくまでも
一つの状況における例。


全部がそんな状況ではなく、
むしろ複雑に絡み合った状況のほうが
実際の職場では多く発生しています。


ただその中でも、
お互いが集まることの力を認知していくこと、

その可能性を知るという意味で
興味深い実験だな、と思います。



■同時に、人が集まると、

つい人は

”手抜きをする”

などして、集まったのに
その潜在的な可能性が発揮されない
ということも起こります。


このお話は少し長くなりそうなので、
明日は、この「手抜き」を含めて、

”集団になったときに起こりうる3つの問題”

について触れてまいりたいと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

自惚れは進歩の障害である。

ディオゲネス(古代ギリシャの哲学者/B.C.412-312)

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