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2582号 2021年3月16日

「好きを仕事に」も良いけれど 「イヤイヤだったけど天職になった」もまた素晴らしい

(本日のお話 2534字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
また、同僚とのランチ。
そして夜はキックボクシングジムでした。



さて、本日のお話です。

「好きなことを仕事にする」

ことが素晴らしい!と
しばしば言われます。

確かにできれば素晴らしいこと。

ただ、実際のところ
それだけではないようなこと、

すなわち、

「好きではなかったけど、
その道のプロとして、必要とされている」

ということが、

人のキャリアの中では
沢山起こっています。

今日はこのお話について
人材開発の視点から、

皆さまに学びと気づきを
ご共有させて頂ければと思います。

それでは、早速参りましょう!

タイトルは、

【「好きを仕事に」も良いけれど
「イヤイヤだったけど天職になった」もまた素晴らしい 】

それでは、どうぞ。

■のっけから堅苦しい話で恐縮ですが、
”基礎心理学”の分野において

『モチベーション理論』

なんて話があります。

こういう話の面白いのが、

「何となくそう思ってた」が
「理論的にはこういうこと」と説明ができるので、

頭がスッキリするのです。

なのでちょっと

【「好きを仕事に」も良いけれど
「イヤイヤだったけど天職になった」もまた素晴らしい 】

のタイトルの前座として
少しお話をさせてください。

■モチベーション理論には、
”内発的動機づけと外発的動機づけ”
に大きく分かれる、と言われます。

”内発的動機づけ”

とは、

自分自身が「やりたい!」
と思ってやる仕事により、

仕事自体からやる気を得て、
より前のめりで、真剣に取り組めるし
継続的な高業績が期待できる、

というもの。

(この感覚、皆さまにもわかりますよね)

対して、”外発的動機づけ”は
給与とか報酬などの「ごほうび」で
”やる気にさせる”というものです。

働く上で重要なのは、

「内発的動機づけ」

とされています。

■もうちょっと突っ込んで話をすると、

”内発的動機づけの「源」”

として重要と考えられているのが、

「1)知的好奇心(epistemic curiosity)」
「2)自律性(autonomy)」

と言われています。

■「1)知的好奇心」は、
心理学者のブルーナーが語りました。

”新しいことを学ぶこと自体に感じる面白みや興味
=「知的好奇心」”

としました。

「2)自律性」は
心理学者のデシが提唱しました。

自律性には2種類あって、

・自分が周囲の環境を効果的に
処理することができる(自己の有能さ)

・自己の欲求をどのように充足するかを
自由に決定できる(自己決定)

この2つがあるときに、

”内発的動機づけ”

つまり、

自分からメラメラと燃え上がる
やる気が出てくる、

と言われています。

■と前置きが長くなりましたが、
今回のタイトルでも含まれる

「好きを仕事にする」

という状態とは、

・自分がそのことが好きで、
そのことに自体に時間を使っているときに、
ワクワクするような仕事ができる
(「知的好奇心」が満たされている)

かつ

・自分の能力があって、
自分で何をどのように行うのかを決められる
(「自律性」が満たされている)

が実現されている状態、

とも言えるかと。

だって自分が好きなことを
好きなようにできているわけですから、

そりゃ、やる気がでないわけがありません。

■では現実で、
キャリアの最初から

「好きを仕事にする」

を実現できるかと言うと、
実際のケースでは、そうではないことが、
ほとんどでは無かろうかと思います。

、、、というのも、

”そもそも自分が何をしたいのか、
「やりたいこと」がわからない”

というケースもあるし、

”好きなことだけど、
稼げるレベルではない”

こともあるから。

■ゆえに学生を卒業して、

本当はダンスや音楽で食べていきたいけど
そういうわけにもいかないから、

とりあえす社会人として就職をして、

とりあえず目の前の与えられた仕事を
一生懸命やる(やらざるを得ない)

となったりする。

そして上司に言われるのです。

「営業が君の仕事だから。
とにかくまず案件獲得してね」

(ああ、しんどい。興味もわかないけど、
やるしかないか…)

と、内心、釈然としない想いがありつつも
やるわけです。

■でも不思議なもので、

そこで一生懸命やって
成果が出たりすると、
気持ちに変化が訪れたりします。

例えば、上司・先輩・同僚から

「目標達成やったね!
素晴らしいね」

と承認されて嬉しくなったり、

仕事でお客様と関わる中で、

「◯◯さんが営業担当で
本当によかった。
いつもありがとう」

なんて言われたり、あるいは、

仲間と一緒に協力して働く喜びを
得たりすることで、

結果的に数年たったら

「あれ、この仕事、
いつの間にか好きになってる…?」

ということもある。

特に若いうちなど、
このような話のほうがm
ずっと多いのでしょう。

■そして、このことは、
またまた理論で語られています。

この現象、つまり、

”最初はイヤイヤやっていたのが、
いつの間にか楽しいと感じるようになった”

というような状態を

『内在化』

と心理学者デシはよびました。

■最初は、”外発的動機付け”だったのです。

つまり、やりたかないけど、
給料もらえるし、仕事だからやる。

でも、段々と、その仕事の
面白みを感じてきて、

いつの間にか、
”内発的動機づけ”に変わっていった。

こういったことも十分にある、
ということ

■そしてこの

『内在化』のためには、
2つのステップが必要である
と言われています。

まず、

「STEP1 取り入れ」。

規範や価値をそのまま鵜呑みにして
取り入れてみることです。

つまり、社会人で言えば
”上司の言うことをそのままやってみる”
ことですね。

そして次が、

「STEP2 統合」です。

規範や価値を自分なりに噛み砕いて
消化していることです。

その仕事を”自分なりに意味づけている”
という状態です。

「この仕事がお客様に貢献している」
「自分の将来に必ず繋がるはずだ」

と”意味づけ”ができている。

■それを重ねて頼られる人や、
貢献できる広さと深さが大きくなると

人はやっていることに
自分自身で強い意味付けができて、

「イヤイヤだったけど天職になる」

こともあるわけです。

■今の世の中、

「好きを仕事にする」
ことが是とされるようにも感じます。

でも、
「イヤイヤだったけど天職になった」、
これもまた、素晴らしい。

結局は自分自身が、
”今やっていることに
心から満足できている”

ことが大事なわけであり、

”満足できている”を構成する要素は、

決して、

「何をしているか」
だけではありません。

「誰と働くか」もそうだし
「どんな貢献ができるか」もそう。

そして、やりたいこと、
満足できることも、

自分のキャリアが進むにつれて
変わることだってあるし、

それでいいと思います。

■「好きを仕事に」
といえるなら素晴らしい。

そうではない場合も、
それもまた素晴らしい。

ただどちらのケースにせよ
満たしておく必要があるとかと思います。

1つ目は

『自分なりの仕事の意味づけ』(統合)

つまり、

「この仕事をすることは
自分の価値観にとって
どんな意味があるのか」

という”自分なりの意味付け”ができること

そして、意味づけのためには、
”自分の大切な価値観”を自覚していることが
必要になります。

そして、2つ目は

『「自律性」を高める』

こと。

つまり

「目の前のことを一生懸命やって、
価値を提供できる、自分で決定できるレベルになる」

こと。

このことが、

自分の日々の”やる気”を高めてくれ、
働く幸福度にも関わってくるのであろう、

と思います。

■とつらつらと
語ってしまいましたが、

【 「好きを仕事に」も良いけれど
「イヤイヤだったけど天職になった」もまた素晴らしい】

ということを
真面目に書いてみた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

大事をなさんと欲せば、
小なる事をおこたらず謹むべし。
小つもりて大となればなり。

二宮尊徳(農政家・思想家/1787-1856)

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