今週の一冊『きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』
(本日のお話 2166字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
引き続き、宮崎に来ております。
宮崎は実家ではないですが、父母姉などが過ごしている
もう一つの実家のような場所です。
ゆるりとした時間が流れているので、
お菓子を食べまくったり、普段飲まないお酒を飲んだり、
暴飲暴食の限りを尽くす、治外法権的な場所になっています(苦笑)
たまにはこういうのもよいかなと思いつつ、
いちおう22kmのランニングをした週末でした。
*
さて、本日のお話です。
最近、出版のご縁で出版社や編集者の方と話をする機会が増えていますが、こんな話をよく耳にします。
「最近のトレンドは、もっぱらマネー本ですね」と。
投資、お金、資産形成。
先日も「NISA投資にはまった20代が、節約しすぎてNISA貧乏になっている」なんてニュースも目にしました。
先行きの不安と、好調な株式市場の両方が重なって、投資とかお金への関心が高まっているのは、ある意味、必然の流れなのかもしれません。
いつの時代も、人の営みの中心になる存在。
その一つが「お金」です。
そんなマネー本の波の中で、本屋に行くたびに、いつも置かれているロングセラーの一冊があります。
こちらの一冊です。
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『きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』
【読者が選ぶビジネス書グランプリ2024 総合グランプリ「第1位」受賞作】
田内 学 (著)/ 東洋経済新聞社
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累計30万部を突破しているというこの本。「どうやってお金を増やすか」という即物的なノウハウを語るというよりも、少し哲学的な香りがして、なんとなく気になり、手に取ってみました。
読んでみると、物語形式でスルスルと読め、なおかつ「お金とともにどう生きるか」というような、深いテーマが底に流れていて、読後感がとても良かったです。
ということで、中身を早速みてまいりましょう!
■本書の概要
本書は、かつて話題になった『嫌われる勇気』のような対話形式で進む本です。
中学2年生の少年・優斗と、投資銀行勤務の20代女性・七海が、謎めいた屋敷に住む大富豪「ボス」から、お金と社会のしくみを学んでいく、という物語。
取り上げられる問いが、なかなかに絶妙です。
・「投資で自分が動かずに何十億も儲けるのって、ずるくないか?」
・「お客様は神様、って言い方、なんかおかしくないか?」
・「国の借金がヤバいって言うけど、昔の人の負債を返すのは自分は損だ」
⋯こうした、誰もが一度は感じたことのある素朴な疑問に、一つひとつ丁寧に「ボス」が答えていく構成になっています。
大富豪と中学生の対話を通じてわかりやすい例え話に置き換えられていくところがなんとも秀逸だな……と唸らされます。
お金の構造を理解する入口として、とても有用な一冊ですし、その言葉の表現に、手触り感があって、自分事と捉えやすく感じるところに言葉の力を感じます。
以下、書籍紹介ページよりあらすじを引用いたします。
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<あらすじ>
ある大雨の日、中学2年生の優斗は、
ひょんなことで知り合った投資銀行勤務の七海とともに、
謎めいた屋敷へと入っていく。
そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでおり、
「この建物の本当の価値がわかる人に屋敷をわたす」と告げられる。
その日からボスによる「お金の正体」と「社会のしくみ」についての講義が始まる。
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■個人的に印象的だった「格差」と「愛」の話
特に印象に残ったのが、「格差」と「愛」についての話です。
◯「格差」は、ほんとうに広がっているのか?
「格差が広がっている」とよく言われますが、一方で全体の生活水準は、これまでの社会の蓄積によって確実に上がってきている。公共施設も使えるし、図書館もある。スマホを持ち、テレビを見る。
お金持ちの人と、そうでない人の「享受しているサービス」が、実はそれほど大きく変わっていないとしたら、「格差」とは何を指しているのか、という問いです。
「格差」という言葉が指しているのは、実際に受け取っているサービスの差というよりも、他者との比較の中で生まれる、心理的な差なのかもしれない。
そんな視点は、確かに見落としているところだな…とハッとさせられました。
◯「愛する人」を持つことと、お金の未来の話
また本書では、「お金の話」が「社会の未来」を考えることであり、それは「愛する人を持つこと」という行動で接続されると説きます。
愛せる人ができたとき、その人が生きていく社会のことを、真剣に考えるようになるからです。
以前ある友人が言っていた言葉を思い出しました。
「子どもが生まれたとき、自分の人生観が変わった。
大事な人ができると、この社会をどうしていけばいいかを、初めて本気で考えるようになった」
同じ言葉は、幾人もの方から聞きます。また、例外ではなく自分自身も、子どもという存在ができたとき、同じことを感じました。
その子が出ていく社会が良くなければ、その子の幸せの確率を高めることは難しい。
万人への愛、というほど広い視野ではないかもしれないけれど、身近な誰かを思うことが、社会を考えることへとつながっていく。
その当たり前だけど、忘れがちなことを、この本は自然に、納得できる形で語ってくれているのが魅力だと感じました。
■まとめと感想
多くの人に読まれる本というのは、「情報を得た」「学びになった」という単一の感情だけで支えられているわけではないのだな、と改めて思いました。
物語の中で主人公が少しずつ成長していく様子に、読者は自分を重ねていきます。
後半に向けて感情がじわじわと揺さぶられ、気づけば小説を読み終えたような読後感に包まれている。
そうした「読ませる構造」が、この本の大きな魅力だと感じます。
お金のことを、難しい経済学の話としてではなく、「自分の人生」「愛する人」「社会のしくみ」という文脈で考え直すきっかけをくれる一冊です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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