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3094号 2022年8月11日

魔法の杖はない?!「理論のバウンダリー」を知る

(本日のお話 2182字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
その他、論文の読み進めなど。



さて、本日のお話です。

引き続き、夏休みの期間に
大学院の集中授業に参加しております。

その際に学んだ

『理論のバウンダリー(境界)を知る』

というお話が、
脳内に刺さっております。

言われてみれば至極納得の話。

なのですが、意外と見落としているし
それを知らないと、痛い目を見ることもある
大切な内容だと感じております。

、、、ということで、
本日は上記の内容について、
皆さまに学びと気づきをご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【魔法の杖はない?!「理論のバウンダリー」を知る】

それでは、どうぞ。

■「金槌を持つと、全部釘に見える」

なんて格言がありますね。

”使えそうな武器(知識など)を持つと、
全部それで解決したくなる”

という比喩として使われます。

例えば、

・コーチングを学んだら、
なんでもかんでもコーチングで解決したくなる とか、

・ストレングス・ファインダーを学んだら
なんでもかんでも強みで解決したくなる とか

・その他、◯◯を学んだら、
何でもかんでも◯◯でなんとかしたくなる、

というように。
ちなみに◯◯には、
7つの習慣、SL理論、サーバントリーダーシップ、
色々と当てはめることができます。

(うーん、耳が痛い・・・)

■学んだものがパワフルなツールで、

かつ、それが自分にとって
納得できるものであるほど、
知識やツールに対する信頼、
そして愛情があればあるほど
それらに何でもかんでも解決策を委ねてしまう、

という傾向、ありがちではなかろうか。

そんなことを自戒を込めて思うわけです。
(、、、が、皆さまいかがでしょうか)

■そんな前置きの上で、

ここ数日の大学院の授業で論文を読み解く際に、
先生から問われていた質問がありました・

それが、

「この論文の”強みと限界”は何ですか?」

という問いでした。

■論文の”強みと限界”。

「強み」というと、わかりやすいです。

・この論文で何が明らかにされたのか?
・この論文は実践にどのように活かすことができるのか?

大切な問いであり、
問われることは、ごく当然に感じます。



一方、「論文の限界」とは何か。
何を意味し、なぜ問われる必要があるのでしょうか?

その理由ですが、結論、

”理論には必ず”限界”があるから”

なのです。

ゆえに、この理論は、
どのような条件下で適用できるものなのか?
(=境界条件(バウンダリーコンディション))

を明確にする必要がある、
というわけです。

■例えば、ですが
リーダーシップの理論で

「変革型リーダーシップ」

という、世界的に支持されている
代表的な理論があります。

1990年から、2012年までの
リーダーシップに関する論文で
30%以上がこの理論に関わることであった、

という超人気の理論。

※変革型リーダーシップについてはこちら↓
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9758/

しかし、それくらい支持されている
「変革型リーダーシップ」だったとしても、
やっぱり限界があります。

34カ国57000人以上の従業員を対象としたメタ分析によると

”変革型リーダーシップの行動の価値は、
西欧や北米などの先進国では限定的である一方、
アフリカ、中東、南米、東南アジアの一部で最も効果的である”
(Crede,Jong,&Harms,2019)

という批判(限界)が述べられています。

ゆえに、
「すべての国において有効であるとみなされない可能性」が
示唆されており、

言い換えるならばここでは

「文化的な要素が境界条件
(バウンダリー・コンディション)の一つ」

といっても良いかと思います。

つまり、どんなときでも
必ず当てはまるわけではない(少なくともそういう意見がある)
ということ。

■あるいは、「コーチング」もそう。

コーチングについても、
人気の考え方なので、色々と適用したくなります。

でも、やっぱり”境界条件”のようなものはあります。

例えば、

”アンコーチャブル(コーチング不可能)な
クライアントの条件”

として、こんな条件が挙げられています。

1,話を聞けない人
2,約束(時間・行動)を守らない人
3,信頼関係を築けない人
4,常に否定的に考える人
5,思考や感情をコントロールできない人
6,過度に依存性が高い人
7,攻撃的な人
8,治療が必要な精神疾患のある人
(出江,2006)

これもコーチングの限界を指しており、
境界条件(バウンダリーコンディション)と
同義であると言ってもよいでしょう。

■これらのことから思うこと。

それは、

「どんなとき、どんな状況でも
必ず効く”魔法の常”は存在しない」

ということ。

抽象度を思い切り上げて、
時間軸も思い切り伸ばした

”思想的な黄金律”
(=正しいことをすれば報われる)

のような話になると、
それは科学的な理論とは別になり、
多くの人にも当てはまるじゃないか、となるかもしれません。

しかし、論文で取り上げられる
反証可能である科学的な理論であれば

当然ある程度の時間的・空間的範囲内での
理論になっているわけであり、

そうするとそれが機能する条件も、
当然存在するのは自然の話です。

■とすると

「どんな理論(それを応用させたツールを含め)も限界がある」

と思ったほうが、

一つの登り方(理論やスキル)に囚われすぎず
別の見方に、柔軟になることができて、
結果的に現場や実践にも役立てることができるのでは、

そんなことを思ったのでした。

■反省ではありますが、私も一時期、
力を入れて学んでいたスキルについて

「システムコーチングすごい、、、!」

と真剣になるあまり、
とにかく全部システムコーチング、
となっていたときがありました。

、、、がやっぱり今思うと、

それが効果を発揮する条件、
そうではない条件はあったように
振り返り思います。

ゆえに、

・どんな時にその理論やツールが活きるのか?
・何がその理論やツールの限界なのか?

これらの”強みと限界”
を言葉として認識しておくことで、
現実的な活用が可能になるのだろう、と思います。

改めて

”境界条件(バウンダリーコンディション)”

常に意識をしておきたい、と思った次第。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

いつか空の飛び方を知りたいと思っている者は、まず立ち上がり、
歩き、走り、登り、踊ることを学ばなければならない。
その過程を飛ばして、飛ぶことはできない。

フリードリヒ・ニーチェ

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