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3162号 2022年10月18日

優れた聞き手は「ネガティブ・ケイパビリティ」を備えている

(本日のお話 2125字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。

またキャリアについてのインタビューをコーチ仲間に実施。
人の人生には、実に色々なエピソードがあるのだな、

と感じた時間でした。



さて、本日のお話です。

「聴く」というのは、
簡単なようで意外と難しいもの。

コーチングを勉強し始めてから
特にそう思うようになりました。

そんな中、聞くことに関する書籍
『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』
(ケイト・マーフィー/著)の中で、

”聞くことに関する「消極的能力」”

というお話が紹介されていました。


なるほどな、ととても興味深く、
考えさせられましたので、

今日はこのお話について、
学びを共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは



【優れた聞き手は「ネガティブ・ケイパビリティ」を備えている】



それでは、どうぞ。



■誰かの話を聞いているとき、

”心がざわざわするとき”

があります。

私自身、コーチングを勉強していて、

共感的に聞く
相手の立場で聞く
相手の感情の動きにアンテナを立てる

などなど意識しているし、
大事ですよ!と語っておりますが、

ところがどっこい
いつ何時もできているかと問われると
正直、疑問符が浮かびます。
(修行中でございます)



■ちなみに、
どんなときに心がざわつくかというと、

”「自分と相容れない考え方」に出会ったとき”

です。ここにつきます。

自分が大切にしている考えと、
ある意味、真逆のスタンスにいる人に、
真っ向から意見をぶつけられる場合、
そのざわつき感は大きくなります。

そして時に”戦闘モード”が発動します(汗)



■書籍『LISTEN』では、
その理由をこんな風に説明しています。


デューク大学で心理学と神経科学を教える
アハマド・ハリリ教授の話を引用し、こう述べています。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
”現代に置いて最大の心配事は、
 社会からの拒絶、孤立、追放です。
 
 ハリリは、こう述べています。
 
「人間が動物界の頂点に君臨しているのは、
 その社会性や、互いから学ぶ能力、互いを助け合う能力のおかげです。
 
 しかしこの能力のせいで、人は冷遇や侮辱に弱くなりました。
 自分の心身の健康にとって、今や最大の脅威は”他者”です。
 
 そしてそれが、社会的な関係に関する不安として現れるのです」
 
 だから、人は意見が合わないとき、
 互いに耳を傾けるより、額に青筋を立てて
 目をむき出しどなり合うのでしょう”(P153) 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)



■なるほど、、、。

人が持つ社会性がゆえに、
孤立や侮辱に弱くなった。

それに繋がる「意見の相違」に対して、
防衛本能が働いてしまい、脅威を感じてしまう。

そして結果として
戦う(言い合う)か、逃げるかを
本能的にしてしまう。

これが意見が合わないときに対して
バチバチしてしまう理由である。

、、、なんだか、納得です。



■ただ、人は

戦うか・逃げるか以外にも、
選択肢があります。

それが相手の意見を
「受け取る」ということ。

ちなみに「受け入れられる」のでなく、
「受け取る」ということです。
その具体的な行為がまさに、『聴く』ということ。



再度、著書の言葉を借ります。

”「聴く」こそ、
 人類という種の安全と繁栄をもたらすものだといえます。
 
 扁桃体の活性により引き起こされる防衛反応を乗り越えて、
 「聴くこと」を実践できさえすれば。”(P153)
 
と。


■なるほど、それは大切だし、
実際できたら良いと思います。

しかし、実際にこれは簡単ではないです。

例えば、米校では

・政治的イデオロギーの違い、

・スタートレックとスターウォーズ、
 どちらが優れたSFかという言い争い
 
からも暴力事件になる事件もあったり、
日本でもこうした口論はどこかしこであります。

実際に「相容れない考え方を聴く」
というのは言うは易し行うは難し、のようです。


■そんな中、

「優れた聞き手」が持っている能力がある、

と著書で紹介していました。それが、

『ネガティブ・ケイパビリティ(消極的能力)』

なるもの。

これはどういう能力かというと、

「短期に事実や理由を求めることなく、
 不確かさ、謎、疑念を抱き続けられる能力」(P155)
 
だそうです。


■すなわち、
 
・相手の相容れない考え方
・白黒はっきりしないグレーゾーン

などに絶えることができる、言い換えると、

”相手の話には、一見しただけでは
 わからない深い何かがある、と理解しており、
 
 理路整然とした根拠や即答に
 そこまでこだわることがない”


そう、相手がそう思うのには、
ルーツや大切にしているこだわりなどがあるのです。


■なるほど確かに、
論理性や明確な答えを重視するとつい

・正しいか・正しくないか、
・論理的に筋が通っているか、通っていないか、

などの観点”のみ”で見てしまい
短期的に相手を評価することに
繋がりそうです。

しかし、それは
少なくとも”聴くこと”について、

あるいは相手と関係を築き、
創造性を発揮していく上ではネガティブに働く

とも言えるのかもしれません。



■私ごとですが、私もつい

「自己認識?それ何の役に立つんですか?」
「業績に、直結するんですか」
「対話より、答えをください」

みたいに

まさに今、
このメルマガで語っているようなことについて
否定的なコメントを投げかけられると

心がざわつき、戦うか・逃げるか、
という防衛本能が働くのを感じます。

なんとか相手を理論的にも説得しよう、
としたくなる自分も感じるのです。



■もちろん人間ですから、
誰しも程度は違えど、自分の考えを持っています。

ただ、自分の考えを持ちつつも、
相手の話に何かあると耳を傾ける、
そこに短期的な判断をしない、

その心を持ちつつ、
必要に応じて理論で無機質に被せるのではなく、

理解し、理解し合えるように
自分の意見を相手が受け取れるよう
必要な情報を適切に伝えること。

そうしたスタンスと知識や技術を持つことで、
自分が気づいていない考え方や可能性にも、
気づくことができるのかもしれないし、

自分自身の人間的な成長にも
繋がるのではなかろうか、

そんなことを読みながら
改めて思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

前言を一言も翻さないものは、
真実よりも自分自身を愛しているのだ。

ジュベール(フランスの哲学者)

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