今週の一冊『ゆっくり走れば早くなる』
(本日のお話 1535字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
毎週日曜日は、最近読んだ本の中から、一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。
今回ご紹介する本は、こちらです。
マラソンネタばかりで恐縮です(苦笑)。
1984年に発売された、レジェンド的なランニング本です。
ただ「日本のランニング史」において重要なインパクトを残した一冊とのことで、現在のランニングの練習方法などは、歴史的に様々な人が培ってきたものなのだな…と重みを感じる一冊でした。
ということで、早速中身をみてまいりましょう!
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『ゆっくり走れば速くなる』
佐々木功/著
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■ランニングにおける逆転の発想「LSD」が誕生
時は1984年。
「レースを走るためには、速く走ったほうがよい」。
「追い込んで追い込んで、追い込みまくったほうがいい」。
そうした考えが、当時は主流でした。
当時はGarminなどの心拍計もなく、とにかくガンガン走りまくって、というのが普通だったそうですが、
著者の故・佐々木監督(箱根駅伝を4度走り、国際的ランナーを育成した名選手&監督)が、真逆の話を述べるのです。
それが「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」という考え方でした。
この考えは、このような話になります。
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「弱い刺激を長時間にわたって与え続けることによって、
筋肉の眠った抹消毛細血管に少しずつ血液が送り込まれていき、
やがて生きた末梢毛細血管を開発し、心肺機能をも高め、最大酸素摂取量をも高める。
それは長距離に向いた身体をつくっていく(身体資源を開発する)ということを意味します」
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具体的には、全力の40~60%程度のペースで、心拍数130以下(もちろん人の心拍数による)もので、2~4時間走るというものです。
息が上がらず、気持ちよく走れるペースで、ひたすら走っていく。
そんな練習がベースとなることによって走力が上がるのだ、というのは、今では練習のセオリーの一つになっていますが、当時は革命的だったのでした。
■ランニングの科学が発達する前に「体得した知恵」がすごい
この本で語られているのは、
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「積極的休養(LSD)」→「コンディションコントロール(LSDから徐々にペースを上げる)」→「オーバートレーニング」
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という3日間のサイクルによって、身体を鍛えていくという考え方です。
現在でも、1週間あったら追い込みのトレーニングは基本的に「週2日」とするのも、その理論に基づいています。
また追い込んだ翌日も、リカバリー走(筋肉をほぐす)→ジョグ(ゆっくり走る)というのも、まさにこの考えがスタートとなっています。
そして、その後に心拍計やGPSなどが発達し、科学と結びついて今に至るわけですが、
それらのランニング生理学的なものが発展する前に、「経験知」として編み出してきた過去の偉業に、凄みを感じる本でもありました。
選手としての自分自身の有限な時間、周りからの「練習とはかくあるべし」という既成概念とプレッシャー。
それらのものを包み込んだ上で、こうしたトレーニング方法にたどり着いたというのは、
丁寧な内省と己の肉体との対話、そして覚悟が必要であったことが想像されます。
それは、過去のランナーから現代のランナーへのから「時を超えたギフト」のようにも感じるのでした。
その他にも、「背中の痛みには気をつけよ」とか、体感ベースだけれど納得のいく話があったり。
当時のサブ3は、練習でもっと早く走れないと厳しい(3:45/1キロ)などあったのも、もしかするとシューズの性能なども想像されます。
こうしたことを含めて、重みのある本だと感じた次第です。
ということで、完全に練習計画がずれてダメージが溜まりまくりですが、まずは今年最初のレースに向けて、今週はコンディションを整えたいと思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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