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101号 2013年7月26日

人に頼るな。自分を信じよ。

■おはようございます。紀藤です。

皆さまは、「ラルフ・ワルド・エマソン」
という人物をご存知でしょうか。

19世紀のアメリカを代表する思想家で、
アメリカの個人主義の形成に多大な影響を与えた人物です。
あのオバマ大統領もエマソンの書籍を座右の書としているそうです。

先日、その「エマソン」の『自己信頼』という書籍を読み、
色々と考えさせられましたので、今日はそのお話を共有したいと思います。

※ちなみに、『7つの習慣』でも自己信頼という言葉が出てきますが、
 厳密には意味することが違っているようです。
 本日はエマソンの『自己信頼』について、ですのであしからず。


■ちなみに、エマソンについてもう少し詳しくお伝えすると、

18歳でハーバード大学を卒業し、21歳まで教鞭を執り、
その後、ニューハンプシャー州コンコードで啓蒙活動を展開し、
「コンコードの哲人」と呼ばれました。

西洋と東洋の哲学を吸収し、独自の思想を深め、
ニーチェ、日本では宮沢賢治や北村透谷、福澤諭吉などに影響を与えました。

そして、いつもご紹介している『7つの習慣』や
『思考は現実化する』などの自己啓発・成功哲学の名著にも
大きな影響を与えたと言われています。


■彼の主張する考え方は

「形式よりも自己を信頼して生きよ」

というものでした。

個人の中に神を見て、自然から学ぶこと。
社会規範などの通説や形式を否定すること。

彼がこのような主張をしていた19世紀は
キリスト協会が権威を持っており、
そんな社会の中で、この意見を主張はとても過激なものでした。
時に大きな批判にさらされたそうです。


■ちなみに彼は本書の中で、このようなことを言っています。 
少し抜粋してお伝えすると、

・世間の中にあって、大衆の意見に従うことはたやすい。
 ひとりでいるなら、自分の意見に従うのは造作もないことだ。
 偉大な人と葉、たとえ群集の中にあっても、ひとりのときと同じ独立心を保ち、
 にこやかな態度で人と接することのできる人である。

・なぜ、いつも分別を持っていなければならないのか。
 公の場で述べたことと矛盾するまいと、なぜいつまでも記憶の屍を
 引きずりまわさなければならないのか。

・なぜ、アルフレッド(王)やスカンデルベク(英雄)やグスタフ(王)
 をそれほど尊敬しなければならないのか。(中略)
 自分の考えに従って行動するなら、栄誉は王の行為から市民の行為へと
 移されるだろう。

言葉の端々から、

「人に頼るな。自分を信じろ」
「偉人の言葉も借りるな」
「権威に従うのではなく、直感に従え」
「言っていることが一貫してなくてもよいじゃないか」

というメッセージがビシビシと伝わってきます。


■このようなエマソンの主張は、
あくまでも一つの考え方ですので、
正しいか正しくないかもわかりませんし、答えもないと思います。

しかしながら、

「自分の感覚を大切にする」

というメッセージに、私は強く共感しました。


■『7つの習慣』の「第二の習慣 目的を持って始める」においても、
個人が効果性の高い人生を送ること、
成功、すなわち幸福な人生を目指す場合、

「自らの価値観に根差したミッションを作ること」

が大切さである、と伝えています。

私たちは、別々の人間ですので、

・何を見て、心が動くか、
・どんな人を尊敬してしまうか、
・何を犠牲にしてでも大切にしたいものは何か、

などは人により違います。

それはどこからくるかわからないけれど、
確かにそれぞれの人の内面に存在しているもの
それが、私達ひとりひとりが持つ「価値観」なのでしょう。

そして、「価値観」に従って生きているとき、
自ずとエネルギーがわいてきて、
充実した毎日を送るだけでなく、より卓越した成果を残す可能性も高くなると言われます。
その人独自の能力も解放されやすくなります。


■色々な人の思惑の結果、
様々な集団や、組織、家庭においても、
その個人の「価値観」よりも「全体最適」を優先してしまう傾向は
昔も今も、変わらずあるように思います。

「チームの方針で、彼には意志を主張しないでほしい」
「会社のルールだから、何も考えずに同じようにやってくれ」
「この子にはお医者さんになってほしい」

その結果、自分の「価値観」を押し殺したり、
または、他人の「価値観」を抑えるように力を働かせることが、
しばしばあるのではないでしょうか。

周りの状況や環境などを考えると、
大事にしなければと思えることはたくさんあります。

立場が上になればなるほど、
様々な利害関係者の意図を考えたり、
非常に難しい選択を迫られることも多々あるのでしょう。


■しかしながら、エマソンはこのように言います。

”他人には何も求めるな。
そうすれば万物流転の世にあっても、
あなたは唯一不動の柱として、
周囲のものすべてを支えるようになるだろう。”

人は「自分は、本当はこう思っている」という信念に生きているとき、
最も能力を発揮し、自ら輝けるようにも思える言葉です。

答えがわからない世の中で、
何を軸とするのかも定かでないのであれば、

「自分の信念、価値観に沿っているか」

という判断基準で考え、勇気をもって主張することで、
より安定し、充実した人生に繋がるのかもしれません。

きっと、オバマ大統領も、まさしくそんな軸動いているでしょうし、
そんな風に生きてみたいな、思った次第です。

と、朝から大分哲学的なお話になってしまいました。


■今日のお話は

・エマソンというアメリカの個人主義に影響を与えた思想家がいる。

・エマソンは「形式よりも自己を信頼して生きよ」と主張する。

・ルールや社会規範よりも、自分の直感・間隔を信じよ、という。

・組織にいると、色んな思惑があり、自分の気持ちを曲げること、
 または気持ちを曲げることを求めることが、昔も今もあるのでは。

・ですが、自分の「価値観」に沿って生きる時、人は能力を発揮しやすくなる。

・答えが分からない現代だからこそ、エマソンの主張するように
 「自己信頼」(=自己の感覚・価値観)を大切にしてみるのもよいのでは。

という内容でした。


今日も皆様にとってよい一日になりますように。

【本日の名言】 人間の幸福は、決して神や仏が握っているものではない。
自分自身の中にそれを左右するカギがある。

            ラルフ・ワルド・エマソン

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