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2520号 2021年1月13日

「オトナの学び」は『P-MARGE』で加速する

(本日のお話 2647字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は3件の打ち合わせ。
並びに、諸事情により
PCR検査(2度目)を受けに病院へ。
(陰性です。念の為)

その他、コンサルティングの
資料作成などでした。



さて、早速ですが本日のお話です。

最近、人材開発・組織開発の本を
ひたすらに読んでおります。

その中で、

「オトナの学び」
について言及されている
「成人教育論」の話がありました。
ちょっと妖艶な香りがしますね(笑)

、、、というのは冗談として、

人材開発に携わる方にとって、
また部下を教える管理職の方とって、
またご自身で楽しく学びを進めたい方にとって、
とても役に立つ考え方かと思いますので

本日はそのお話からの学びを
皆様にご共有させていただければと思います。

タイトルは、

【”オトナの学び”は『P-MARGE』で加速する】

それでは、どうぞ。

■「こんな理論使えないね。
オレは営業一筋20年だけど、
実際の営業現場は、こんな理論通りには動かないのだよ」

by 研修受講者(50歳/営業ベテラン社員)

「はい、そういう側面もあるかもですが、、、」(人事担当者)

研修の終わりがけにこんなやり取りがありつつ、
内心こう思うわけです。

(ハァ、もっと素直に学んで、試してみたらいいのに。
うちの1歳の息子みたいに、なんで大人って、
素直に学べないんだろうか?)

、、、と。

■こういうシーン、
ここまで極端でなくとも
結構あります。

他人事ではなく、
正直、多少、私(紀藤)も
こういう経験あるよな、と思います。

例えば、

「いや、講師の先生はそういうけど、
ちょっと違うんじゃない?」

とツッコミを入れたくなる、
、、、みたいな。

おそらく、
このメルマガをお読みいただいている
現場でご活躍されているオトナの皆様も、
同じように感じる側面はあるのではないかと(汗)

「オイオイ、紀藤ちゃん。
今日の話は理論はちょっと違うんでないかい?」

みたいに。

(なんて思われていないことを
祈るばかりでございます)

■さて、話を戻しますが、
このような素直に学びを受け入れない現象は、

「成人教育論」によると、

”大人の学び方として
ごくごく自然なことである”

と言います。

そして、

”大人への教育(成人教育)は
子供の教育と違う考え方で
臨まなければならない”

と述べているのです。

つまり、

「はあ、なんで50歳になると、
子供みたいに素直に学べないんだろうか?」

と思っても、
”大人ってそんなもん”ということですね

■このお話申もう少しだけ、
掘り下げさせていただくと

「成人教育論」の研究領域の祖・マルカム・ノールズは、

・「子供」を教えるための科学と技術 = 『ペタゴジー』
・「成人」の学習を援助する技術と科学 =『アンドラゴジー』

と定めました。

このペタゴジーとアンドラゴジー、
どういう話かと言うと、

”子供”の学びの場合、

小学校の授業みたいに、
1限から5限まで国語算数理科社会と
びっしり埋まっていて

「将来の為に必要だから、これを学ぶ必要がある」で、
なんだかんだ学ぶのが求められるし、普通である。

そんな状況に合わせて教育を届けるのが
『ペタゴジー』です。

一方 ”大人”は、
そんなにゆとりを持ってくれません。

「、、、ってか、その学びで売上、上がるの?」
「自分の経験と、今日の理論の繋がりは?」

というように、積み上げたモノ、
目的、やる気、、、子供とは違う要因が
様々あるという前提で学びます。

そんなオトナの状況に合わせて教育するのが
『アンドラゴジー』です。

、、、そう、大人はちょっと、
めんどくさい(?)のです。

■では具体的に、どのように
”大人の学習”を支援すればよいのでしょうか?

そのキーワードが、
今日ぜひ持って帰っていただきたい言葉、

【P-MARGE】

です。

意味は、以下のような定義となります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<オトナの学習のキーワード【P-MARGE】とは?>

P(Practival)…オトナの学習者は“実利的”である
M(Motivation)…オトナの学習者は“動機”を必要とする
A(Autonomy)…オトナの学習者は“自律的”である
R(Relevancy)…オトナの学習者は“レリーヴァンス(関連性)”を必要とする
G(Goal-oriented)…オトナの学習者は“目的志向性”が高い
E(Experience)…オトナの学習者には“豊富な人生経験”がある

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

、、、とのこと。

■さて、「よくわからない」と言う声が
聞こえてきた気がするので(汗)
やや長くなりますが、1つずつ解説させていただきます。

まず、

<P(Practival)…オトナの学習者は“実利的”である>

から。

オトナは、
実の生活の課題を解決する学習を必要だと感じたとき、
重い腰を上げ、学ぼうとします。
”実利的 ”でないと、メリットがないと学ばない、

ということですね。

そして、

<M(Motivation)…オトナの学習者は“動機”を必要とする>

です。

これはシンプルに、
「やる気」や「学ぶ動機」がないと、
オトナはそもそも学ばないという話。
強制的にオトナに学ばせても
あれやこれや言いがかりをつけてやりません。

それは次の、

<A(Autonomy)…オトナの学習者は“自律的”である>

が関わってきます。

この”自律的”とは、
「自分で学ぶぞ!」というスタンスでしかオトナは学ばない、ということ。
オトナの学びは自発的で、自己決定的な性格を持つのです。

■、、、あと3つですね!

そして、

<R(Relevancy)…オトナの学習者は“レリーヴァンス(関連性)”を必要とする>

ですが、

これは「自分が持っている課題」に対して、
「これは学ぶべき内容だ」と関連性(Relevancy)が見出だせるとき
オトナは重い腰を上げるという話。

「これ、絶対役に立つから!」「面白いから!」とアツく語っても、
”自分と関連性がない”と思ったら学ばないのです。

ゆえに、”研修にはマーケティングが必要”、とも言えます。

また、

<G(Goal-oriented)…オトナの学習者は“目的志向性”が高い>

について。

これは、オトナの学習は「即時性を求められること」が多いのです。

子供の場合、長い時間をかけて
「人生のずっと後になって役に立つかもしれない知識」を
学ぶことを求められるが、オトナはそうはいかない。

「で、売上あがるの?」というような
”目的”がどうしてもついてまわるのです。

そして、最後。

<E(Experience)…オトナの学習者には“豊富な人生経験”がある>

です。

オトナは長い経験がある。自分の「経験」に非常に重きを置くのです。

ただし、それが良い方向になること(学習資源になる)もあれば、
悪い方向になること(不遜な態度、理論なんかつきあってられるか)
になることもあります。

この見極めが重要になります。

(※参考:『企業内人材育成入門』(編著:中原淳))

■、、、ふう。
お疲れ様でございました。

ちょっと長くなってしまいましたが、
オトナの学びのために、こういった

『PーMARGE』

という観点で学習を計画することで、

”大人の学びの傾向と対策”

ができる、と言えるでしょう。

■ということで、

【”オトナの学び”は『P-MARGE』で加速する】

こと、留めおいていただくことで、

ご自身の学びをより効果的にできますし、
また部下・社員の学びの巻き込みも
加速させることができるかと思います。

ぜひ、ご活用いただければと!

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人生を建設するには、
一つ一つの行動からやっていかなくてはならない。

マルクス・アウレリウス(古代ローマの皇帝/121-180)

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